Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第12回全米総会 新たな歴史創造へ

1975.7.26 「広布第二章の指針」第7巻

前後
1  自由の天地、アメリカ合衆国の未来に”平和”と”希望”をはらみつつ、朝日のごとく昇りゆくNSAのコンベンションに対し、私は歓呼のあいさつを送ります。
 また、本日は、私もジョージ・M・ウィリアムス理事長にご招待をうけた一人でありますが、ご出席のご来賓の皆さまに対し、心から御礼申し上げます。
 輝く建国二百年祭を明年にひかえ、技術文明の大国として世界平和の指導的役割を担ってこられた貴国が、これよりは再び自由と平和のために、精神文化の大国として、より偉大な貢献をされんことを、私は期待するものであります。
 圧政から逃れ、波濤の大西洋を越え、自由と希望の新天地を求めぬいた”建国の父”の精神、つまりフロンティア・スピリットとは、いうなれば完全なる平和主義に根ざしているといえましょう。
 以来二百年の春秋の歴史をへてきた、その若々しいエネルギーと建国の精神が、流れゆく未来に向かって、今度は世界の民衆の依枯依託となりゆく理想社会の開拓でありますよう、お祈りするものであります。
 皆さまの集い――このコンベンションを目のあたりにするにつけ、私には、いまや遥かなる二百年をめざして、再び建国の父ともいうべき開拓者群の集いであるように思えてなりません。
 私が世界への平和旅の第一歩をしるしたのは、いまから十五年前、このハワイの地でありました。
 私は仏法者であります。私は一切の暴力を否定する生命尊厳の信仰者であり、平和主義者であります。私はいかなる人とも、いかなる国とも、友好を結んでいくことを信条としております。そして、われわれは仏法を基調とした平和と文化を推進していく団体であります。
 したがって、現在の世界平和実現への課題は、民族、国家、イデオロギーの壁を越えて人間対人間の共鳴音をいかに奏でるかにあるというのが、私の一貫した主張であり、行動であります。以来、三十七か国を世界平和のために回ってまいりました。
 国と国との平和協定の延長線上にのみ平和を求めるのでなく、民衆と民衆、人間と人間との友愛と調和のなかにこそ、より深く、より強靱な真の平和は築かれていく。つまり、一個の人間を基調とした”人間平和”があってこそ、崩れぬ世界の平和もありうると、考えるのであります。
 ハワイという美しい島のなかに、この”人間平和”の現実がある。あまたの民族の結晶である意義深いこの地を、人類の平和創出への旅路を誓うコンベンションの舞台に選ばれたことに、皆さまの深い決意と使命の炎の強さをうかがう思いであります。
 では、生活、風習の違う異民族同士の人間共存を可能にしたものは、なんであったりそれは、ハワイの人々の英知が生みだした”アロハの精神”であると申し上げたい。
 ”アロハ”は、歓迎にも、別れにも使われている言葉でありますが、深い好意を示す感情の表現でありました。それが転じて、友愛を重んじる調和の精神を”アロハの精神々というようになったと、聞いております。
 これは生命の絶対的尊厳に根ざす仏法の”慈悲”と”寛容”にも通じるものであります。いかなる国の人であれ、互いに尊重しあい、共存しようとの精神のあらわれであるといえましょう。
 ”寛容”あるいは”慈悲”の根底にある生命の尊厳とは、いかなる財宝といえども、生命という宝の貴さにはおよばない。生命は他の一切に優先して尊厳されるべきものである。他のすべては、そのための手段であり、方法にすぎないという生命最優先の思想であります。この生命の尊厳観が確立されてこそ、恒久平和の樹立があると、私は申し上げたい。
 生命尊厳の思想を堅持する皆さま方の明朗な実践によってアメリカの誇り高い勇気と情熱の”フロンティア・スピリット”と、友愛と調和の”アロハの精神”とが見事に融合し、アメリカ合衆国が平和という全人類の悲願を成就する一大推進力となることを念願してやまないものであります。
 いまや時代の潮流は、友好と調和へおもむかざるをえなくなってきたというのが、実感であります。時あたかも、アポロとソユーズのドッキング成功は、友愛と協力の未来への門出を象徴していると、私にはみえるのであります。
 その意味からも、未来性豊かなNSAに対し、また新たな歴史創造に旅征かれるアメリカ合衆国に対して、私は衷心よりその発展を願い、さらに、その代表であるフォード大統領のご健勝をお祈り申し上げます。
 最後に、この地を提供してくださり、多くの協力をいただいた、州知事、市長をはじめ地元の関係の方々に、心から御礼を申し上げ、わが親友NSAの皆さまの、ますますの功徳あふるる生活を祈りつつ、私の挨拶とさていただきます。(ハクイ・ワイキキビーチ)

1
1