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新時代第40回本部幹部会 清華大学「名誉教授」称号授与式

2010.5.13 スピーチ(聖教新聞2010年上)

前後
1  中国・清華大学の諸先生方、遠方から、ようこそお越しくださいました。
 また祝辞を述べてくださった中国の程永華てい・えいか駐日大使の日本語が、じょうずとても上手だったことに驚きました。
 私の後ろで聞いていた妻も、大変に感動しておりました。
2  今から30年前のことであります。
 清華大学の学生の有志が、一つのモットーを生み出しました。
 それは「私から始める。今から始める」という確信であり、言葉であります。
 すなわち、新しい社会を築くために、誰かではない、自分が行動する。いつかではない、今である――。
 これは、中国の青年たちの社会貢献の合言葉となったのです。
 「私から始める。今から始める」――この「清華の精神」で、わが創価の青年も大前進を開始しよう!〈「ハイ!」と会場から大きな返事が〉
3  苦しんだ分だけ 人の心が分かる
 大中国を担い立たれる胡錦濤国家主席も、この清華大学の魂を体現した卒業生であられることは有名です。
 私が、胡主席と初めてお会いしたのは、1985年(昭和60年)の春3月でありました。
 中華全国青年連合会の指導者として、代表団を率いて来日され、東京の聖教新聞社で、ゆっくりと懇談をしました。深い深い思い出です。
 帰国後、若き胡主席は、さまざまな困難を抱えた地方(貴州省)での任務に就かれました。
 たとえ、いい職場でなくても、一番苦しい職場であったとしても、大事なのは、自分がどうかです。人のため、社会のため、一生懸命に頑張るのです。
 自分が苦しまなかっならば、人民の苦しみは分からないからです。これが正しい人生の法則です。
 胡主席は、その地にあっても、一番大事な母校愛を光らせて、「清華の誉れ」を胸に、人民への奉仕を貫き通されたのであります。
4  今、全世界が貴国の旭日の大発展を熱く見つめております。
 その躍動する力は、一体、どこから生まれ出るのか。
 それは「人材」であります。
 青年部の諸君も、社会のあらゆるところで人材として光っていっていただきたい。
 貴国は教育で勝ちました。
 なかんずく、その最高峰の頭脳たる知性の殿堂こそ、貴・清華大学なのであります。
 私も、大学を創立した人間として、貴大学に脈打つ精神に、その深い歴史に、どれほど啓発されたことでしょう。心から尊敬申し上げています。
 その貴大学からの栄誉を、私は最大の誇りと責任をもって拝受させていただきます。
 尊敬する顧秉林こ・へいりん学長はじめ先生方、まことに、まことに、ありがとうございました。
5  また、程大使におかれましては、激務の中、真心あふるる祝辞をいただき、心より御礼を申し上げます。
 貴・清華大学の輝く校風は「行動は言葉に勝る」とうかがっております。
 口ばかりで行動をしなければ、人からも決して信用されません。
 行い必ず果たす――貴国では、周恩来総理をはじめ歴代の指導者に、この精神が脈々と続いておられる。すごいことです。
 私も行動の人間です。貴大学、そして貴国へ、さらなる平和・文化・教育の行動をもって、ご恩返しを果たしてまいる決心であります。
 この私の心を、貴国を敬愛する世界192カ国・地域のわが友も、深く深く分かち合ってくれると信じております。
6  地球的な視野を
 顧学長は、傑出した世界的な物理学者であり、大教育者であられる。
 日本の教育界も注目しております。
 顧学長は、これからのリーダーの「3つの要件」を明快に提唱されております。
 すなわち――
 第1に「新しいものを創造しゆく能力」。新しい発想で、創造力を花開かせていく。新しい組織、新しい人材を育てる。すべて方程式は同じです。
 第2に「グローバル(地球的)な視野」。
 地球的な思考法で物事を見ていく。探究をしていく。
 小さな小さな日本の枠組みにとらわれていてはいけない。もっと視野を大きく広げていくのです。
 そして、第3に「社会的責任」であります。
 この3点をうかがい、心が震えました。私も深く賛同いたします。
 創造力と国際性、そして社会貢献。ここにこそ、新時代のリーダーシップがあることを知ってください。〈会場から「ハイ」と返事が〉
7  一念岩をも通す
 貴大学の栄光の100年は、まさしく「勝利のリーダーシップ」光る逸材を、事実の上で育んでこられました。
 その伝統から、私たちは大いに学んでまいりたい。日本中、そして世界中が学ばなければならない。
 それは、何よりもまず、苦難に恐れなく挑み、苦難と勝負する「勇気」であります。
 1920年代、貴大学で教壇に立たれた、思想家の梁啓超りょう・けいちょう先生は叫ばれました。
 「戦いは勇気である」「なす事が大きいほど、障害は大きい」「一念は岩をも通す。障害など恐れるな!」と。
 これが、世界的な哲学者であられた梁先生の格言です。
 正しいです。本当に素晴らしい。多くの教育者が見習うべきでしょう。
 人生は戦いです。勇気で勝つのです。
8  「諦め」こそ敵だ
 貴大学の大先哲・梁先生は、さらに、こうも言われました。
 「諸々の苦難は勇気を鍛えてくれる」
 「乱世に生まれ合わせた以上、苦労を耐え忍ばなければ、しっかりと立つことはできない」(島田虔次編訳『梁啓超年譜長編第5巻』岩波書店)
 人生には、苦労がつきものであると教えておられる。
 「失望や意気阻喪というのは、生きて行く上で一番恐るべき敵なのであり、我々は生涯そいつの侵入を許してはならないのだ」(同)
 梁先生は、このようにも若い人たちを励まされております。全くその通りであります。
 ゆえに、「心こそ大切」です。すべて心で決まる。勇気をもって、前へ進むことです。
 この梁先生と同時代を生きた創価教育の父・牧口初代会長も、日本の軍国主義と恐れなく戦い抜き、獄死しました。
 創価とは、まさに「勇気」の異名なのであります。
 意気地なしや臆病者、卑怯な人間には、何も成し遂げることはできません。
 創価とは「勇気」であり、「正義」です。
 いいですね!〈「ハイ!」と力強い返事が〉
9  大事なのは地域
 私の恩師・戸田第2代会長と同世代である、貴大学出身の大詩人・聞一多ぶん・いった先生は宣言されました。
 「人民は永遠に進歩する」
 「強さは我々人民にある」
 「人民の力は必ず勝利する」
 胸に深く迫る、正しい言葉です。
 特に、貴大学は、地域や産業の発展のために「清華科技園」を設立されました。
 私は、よく存じ上げております。どれほど、すごいことか。
 地域のために――大学は、ただ学生に学問や知識を教えればいいというものではない。
 地域・社会にどう貢献できるか――この点を重視されている。
 大事なのは、地域であります。これを忘れてはなりません。
 わが地域、わが地区の一人一人の力を高めゆくところから、勝利と真の発展の道は必ず広がっていくということを知ってください。〈「ハイ!」と元気な返事が〉
 きょうは最優秀の若き皆さんが集われた。よく分かってくださると思う。
 ともあれ、皆、優秀な人生を生きてもらいたい。ご両親やご家族を喜ばせてあげてほしいのです。
 親孝行という一点を忘れずに、前進してください。
10  聡明な女性が時代を変える
 清華の信念の大詩人・聞先生は、いち早く、時代を展望しておられました。
 私も詩人ですから、貴国の詩人のことは、勉強してきました。
 聞先生は、こう指摘されています。
 「真の女性は気丈であり、慈悲、忍耐、勇敢さ、強靱さという、あらゆる美徳を備えている」
 「将来の文化は女性によってリードされるであろう。
 そして、一切が女性を手本とし、模範とし、中心とすることになろう」
 今、その通りの「女性の世紀」が到来しました。
 男性は、女性への感謝を絶対に忘れてはなりません。
 温かい声をかけ、本当の誠実で尽くしていくのです。
 また女性は、どんどん男性を鼓舞し、元気づけてほしい。
 聡明な女性のリーダーシップが、時代を変え、世界を変えるのです。
 その先陣を走る創価の女性に、感謝と尊敬の大拍手を贈りたい。
 本当に女性を大事にし、尊重していけば、そこから新しい力が生まれる。
 一家でも、社会でも、団体でも、全部そうだ。
 この点に早く気づいたところが、勝ち栄えていくのです。
11  異体同心が根本
 ともあれ、正義の旗を掲げた人生は、朗らかです。悠然としている。
 そこに本当の喜びがある。清らかな心が光る。
 草創期、「清華精神」を確立された周詒春しゅう・いしゅん先生は、信頼する学生たちに“傲慢や安逸を戒めよ! 皆で智慧を出し、力を合わせ、心と声を民衆と一つにして、試練に挑みゆけ!”と呼びかけました。
 私も教育者として、胸に刻んできた言葉です。
 勝つための団結をつくれるリーダーが最も偉大です。第一の英雄なのです。
 皆さんも、そうした存在であってもらいたい。
 誰かにつくってもらうのではない。
 自分が団結をつくるのです。
 要領ではいけない。人まかせの無責任な心では、真の和合をつくることはできません。
 仏典には、中国の故事を踏まえて「異体同心なれば万事を成し」と勝利の根本が明かされております。
 〈御書には「異体同心なれば万事を成し同体異心なれば諸事叶う事なしと申す事は外典三千余巻に定りて候」と記され、暴政を行った殷(いん)の紂王(ちゅうおう)の70万騎の軍勢が、800人の諸侯からなる周の武王の軍勢に敗れたとの、中国の故事が紹介されている〉
12  文化大恩の国
 日本は中国から、多くのことを学んできました。
 文化の大恩の国です。だから私は中国を尊敬します。
 私たちは、中国を大切にしていかねばなりません。かつてのように、日本は、決して傲漫になるようなことがあってはならない。
 若き皆さんは、中国と深い深い心でつながるように、将来、どんどん中国を訪れていただきたい。勉強していただきたい。そして、友情を深めていってください。
 私も、これまで中国との友好に力を尽くしてきました。中国の人々と友惰を結び、交流の道を開いてきました。
 ともあれ、「異体同心なれば万事を成し」――これが勝利の根本です。
 この「異体同心」を、さらに深めて前進しよう! 朗らかに勝とう!〈会場から「ハイ!」との力強い返事〉
13  常に向上の道を
 私が対談集を発刊した大学者の季羨林(き・せんりん)先生は、清華大学の卒業生として、誇り高く語られました。
 「“清華精神”とは何か? それは、いつまでも精神の若さを保ち、永遠に生命の活力を漲らせ、そして永遠に向上の道を歩むことである」
 牧口先生、戸田先生に続く私たち創価の精神も、若々しくあらねばならない。
 気高き清華の先生方と一緒に、私たちは永遠に前進し、勝利しましょう!
 最後に、創価教育の80周年を祝賀してくださった顧学長をはじめ先生方のご厚情に、私たちは心からの拍手をもって感謝申し上げたい。
 清華大学は明年、意義深き創立100周年を飾られます。
 本当に素晴らしいことです。
 アジア、そして人類の未来のために、大切な大切な貴大学のますますのご隆昌を、私たちは心からお祈り申し上げようではありませんか!
 ご出席の先生方、そして皆様が、清々しい大勝利の華を咲かせゆかれることを心か念願し、私の謝辞とさせていただきます。
 ありがとうございました。謝謝(シェシェ)!

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