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創価大36回・創価女短大24回卒業式 西安交通大学「名誉教授」称号授与式

2010.3.21 スピーチ(聖教新聞2010年上)

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2  君を見守る!
 誉れの母校を巣立ちゆく皆さんは、全員が創価の兄弟姉妹です。
 一生涯、尊き友情を忘れることなく、青春の誓いを貫いていってください。
 また、きょう帰宅したら、皆さんは、まず、ご両親に丁寧におじぎをして、心から感謝の言葉を伝えていただきたい。
 親元から離れて生活している人は、電話でもいいから、真心を込めて、「お父さん、お母さんのおかげで、卒業することができました」と連絡を入れてほしい。
 なかには、お父さんがいらっしゃらない人、お母さんがいらっしゃらない人もいると思います。その人も、わが胸中の父母に、「立派に卒業しました」と誇り高く報告していただきたい。
 みんな、本当によく頑張りました。
 創価大学、創価女子短期大学で学び育った人は、必ず幸福になっていく。強い人、正義の人、偉い人、勝利の人になっていく。
 私は、そう祈っています。皆さんを見守っています。
 これからも努力して、必ず立派になり、社会で成功して、一家の繁栄の力となってください。お世話になった両親や祖父母の皆さん方に、心から喜んでいただける親孝行の人になってください。
 よろしく頼みます!
3  卒業生を代表して、今回の創立者賞のメンバーを紹介させていただきたい。
 創価大学・創立者賞の小島健君、おめでとう!
 小島君は、経済学理論同好会の一員として、経済学検定試験(日本経済学教育協会主催)の「大学対抗戦」で、創価大学の5回連続日本一に貢献してくれた。
 同じく創価大学・創立者賞の高橋有紀さん、おめでとう!
 高橋さんは、英語能力試験「TOEIC」で満点の990点を獲得。卒業後は、アメリカのコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジへ進学します。
 かつて私も、要請を受けて、そこで講演しました。
 〈創立者の池田名誉会長は1996年6月、ニューヨークのコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジで「『地球市民』教育への一考察」と題し講演した〉
 創価女子短期大学の創立者賞は、押金ひろ子さん。英語は最優秀の成績。全経簿記の1級の資格も取得している。学生会でも短大のために健闘してくれた。大変におめでとう!
4  強く! 賢く!
 成績が優秀なことは、もちろん大事である。
 そのうえで、皆さんは、どこまでも楽しく、愉快に、そして強く生きてもらいたい。
 どんなに優秀でも、人と衝突して、相手を困らせたり、自分や親をも苦しめてしまう生き方は、愚かである。
 上手に家族や友人と調和して、仲良く楽しく、成長の道を歩んでいく。その人が勝利の人である。
5  また、創大の別科を卒業したレイチョンバン・イレンドロ・シン君は、このほど、ハーバード大学のケネディ政治大学院に合格しました。
 シン君は、アメリカ創価大学の出身です。昨年4月に創大別科に入学し、1年間、真剣に勉学に取り組んできた。本当におめでとう!
 〈名誉会長は、1991年9月、ハーバード大学ケネディ政治大学院の招聘にょり、「ソフト・パワーの時代と哲学──新たな日米関係を開くために」と題して講演した〉
6  山本創大学長をはじめとする教員の皆さんにも、心から感謝申し上げます。創大別科長の石川先生も、ありがとうございます。
 学生を幸福にしていく責任者こそ、教員であると思います。
 学業だけではない。何かで落ち込んでいれば、温かく心を癒やし、向上の道を開いてあげていただきたい。
 学生の「心」を育てる。「魂」の触発をしていく。
 それを創価の教員の根本としていただきたいのです。
7  「源」を忘れるな
 壮麗な西安交通大学の北の門には、4文字の言葉を刻んだ記念碑があると、うかがいました。
 それは「飲水思源いんすいしげん」。すなわち「水を飲む時には、その源を思い、感謝を忘れない」との戒めであります。
 常に「源」を思い、「原点」に立ち返る。そして、「恩ある人」に報いようと、さらに努力し、前進する。
 この最も深く強い心が流れ通う人材の大河こそ、偉大なる貴大学なのであります。
 私たち創価大学もまた、同じ精神で進んでまいりたい。
 心から尊敬申し上げる王建華おう・けんか博士。
 また、西安交通大学の諸先生方。
 何よりも栄えある貴大学の名誉教授の称号を賜り、誠に誠に、ありがとうございました。
 私が瞬時も忘れず、常に思いを馳せる「源」は、創価教育の父である牧口先生であり、人生の師匠である戸田先生です。
 授与いただいた貴大学からの最高の栄誉を、私は、この先師と恩師に捧げたいのであります。
 師匠に報恩の報告ができる喜びが、どれほど大きいか。
 皆さんもお父さん、お母さんに感謝し、恩返しできるような人生を、青春時代を生き抜いてください。
 とともに、日本にとって、絶対に忘れてはならぬ、文化大恩の「源」こそ、中国であることを深く知っていただきたい。
 かつて日本は、この大恩ある国を侵略した。愚かな軍国主義の日本でした。
 牧口先生、戸田先生は、教育によってこの日本を改革しようとした。牧口先生は逮捕され、獄死された。戸田先生も投獄された。
 私も冤罪で牢獄に行きました。
 悪逆の国家権力は、必ず善人を嫌い、弾圧しようとする。
 それではいけない。本当の人間主義、本当の勝利は庶民の連帯にある。真の学問を身につけた人間にある。こういう社会をつくりたい。
 それが牧口先生、戸田先生、そして私の思いです。頑張ろう!〈「ハイ!」との元気な返事〉
8  報恩の心で
 私は、愛する後継の卒業生の皆さん方とともに、中国との万代の友好へ、決意を新たにしたい。日中の友好がなければ日本の繁栄もない。真の平和もありません。
 卒業生の皆さん、できれば将来、ご両親を中国へ、西安交通大学の立つ西安へ、案内してあげてください。
 ともかく、お父さん、お母さんを明るくしてあげる。ホッとさせてあげることだ。
 例えば、たまにはお母さんに、「お掃除とご飯の支度は私がやりますので、あとはゆっくりしてください」と言う。感謝の気持ちを伝える。そうすれば、お母さんが、どれほど喜ぶか。親を悲しませてはいけない。嘆かせるようなことがあってはいけない。
 西安の誇る唐の大詩人・李白は、自らが立派に社会へ貢献することで「恩に報いて親の栄誉を輝かせる」(市川桃子・郁賢皓著『新編 李白の文』汲古書院、現代表記に改めた)との思いを述べました。
 皆さん方のお父さんや、お母さんは、厳しい経済不況の中、大切な大切な宝のわが子を、私の創立した大学に送り出してくださいました。
 親にとって、自分の子どもは宝です。どんな小さなことだって心配する。私はよく知っています。特に母親はそうです。
 しかし、子どもは親の気持ちがなかなかわからない。親の心がわかる人が、本当の教育を受けた人です。
 私は、皆さんのお父さん、お母さんのご健康、一家のご繁栄、そして栄光の人生を、妻と一緒に毎朝、毎晩、祈っています。創立者として、当然のことだと思っています。
 どうか、この最高の父母の慈愛に、皆さんは最高の真心の親孝行で応えてください!〈「ハイ!」と元気な返事〉
 それができれば、自分にとって、家族にとって、こんなにうれしい、幸せな、安心の人生はない。
 反対に、親を苦しませれば、不幸をつくりだしてしまう。それではいけない。
 本当の人間を育てるのが創価大学です。
9  西安交通大学を心から大切にした文豪の郭沫若かく・まつじゃく先生は、「青年教育には国境はない」(小野忍・丸山昇訳『郭沫若自伝6』平凡社)と語られました。
 私は特に、健気な留学生たちの奮闘を讃えたい。本当に偉い。よく頑張りました!
 創大の教員の皆さんは、留学生を最大に大切にしていただきたい。わが子以上に、教え子を大切にする──これが本当の教育者です。牧口先生、戸田先生の精神です。
 どうか、よろしくお願いします。
 100年ほど前、牧口先生は、中国からの留学生のための弘文学院で、地理学を講義しておりました。
 その学院に学んだ英才の中から、後に貴大学の英邁な学長が、2人も誕生しております。
 わが留学生たちも、輝く勝利の歴史を飾ってください!〈「ハイ!」と元気な返事〉
10  真の「創価」とは
 きょうは、この5月に卒業する、わが愛するアメリカ創価大学6期生の代表も勇んで参加してくれた。
 ありがとう。うれしい! 皆、これからも、偉大な学問の伝統を築き上げていただきたい。
 価値ある人生だ。一度しかない人生だ。
 「本当によかった」「楽しかった」「私は成し遂げた」と言える一人一人であってください。
 お父さん、お母さんを頼みます。
 そして、「社会をよくしよう」「不幸の人を幸せにしよう」──こう思って戦ってください。生き抜いてください。
 一人だけ満足し、あとは皆、不満ばかり。それでは不幸だ。
 自分だけでなく、皆の境涯も開き、幸福の道を開く。これが本当の「創価」です。
 アメリカ創価大学のハブキ学長からも、うれしい報告を受けました。卒業生の皆さんが見事に活躍し、堂々たる世界的な大学へと、大発展を遂げております。
 年々、志願者も増え、今年は中国、ロシア、ベトナム、中米のエルサルバドルからも合格者が誕生した。おめでとう!
 若き世界市民のネットワークは、いよいよ50カ国に及ぼうとしている。
 明年、開学10周年には、新しい講堂と教室棟も晴れ晴れと完成する予定です。おめでとう!
11  青年を愛した周恩来総理
 さて、貴・西安交通大学は1956年(昭和31年)、西安へ移られました。
 それは、厳しい環境のなか、西部地域の開発を推進するという、重大な挑戦でした。
 その貴大学を励ましたのが、周恩来総理でありました。
 「あまりに快適すぎては、青年を鍛え育てることはできません。
 風雪に耐えられるよう、鍛えあげねばならないのです。
 苦難を乗り越えるよう青年を導くには、(西安交通大学の立つ中国西北部は)願ってもない場所です」
 周総理は確信を持ち、希望に燃えながら、語っておられた。
 青年を信じ、青年を心から愛し、期待しておられた。
 私も周総理と語り合いました。たくさんの思い出があります。
 この崇高なる貴大学の足跡に学ぶべき精神は、あまりにも多い。
 なかでも学ぶべきは、人々の幸福のため、一番大変な最前線へ飛び込む「勇気」であります。
 要領がいい。頭もいい。策も上手。しかし、“正義を貫く勇気”が欠落していれば、それは根本的な欠陥となってしまう。
 正義を貫く勇気──これが、わが創価のキャンパスにはあると思うが、どうだろうか。
 「学ぶ」こと自体、正しい道である。だからこそ、学び抜くためには勇気がいる。
 親孝行も、人間としての正義です。だから勇気がいるのです。
 また、先生方が学生を大切にするのも、勇気です。
 「勇気」は「正義」につながる。「勇気ある人」「正義の人」として、人生を歩んでいかなければならない。
12  「どんな仕事もやり遂げよう」
 昨年、尊敬する温家宝総理は、貴大学を訪れ、就職難の時代に巣立つ卒業生を、ご自分の体験を通して激励されました。
 温総理も若き日、卒業して困難な地方へ赴任された。若き総理は決心した。
 「断じて後ろを振り返らず、最後までやり抜き、たとえどんな仕事をしょうとも、それを立派にやり遂げよう」と。
 「自分自身に勝ってみせる!」という心意気です。
 これこそ、大事な人生の一点であると思います。君たちも、この「負けじ魂」で断固、乱世を勝ち抜いてほしい。
 父も母も、自分自身も、晴れやかに楽しく「私は勝った」「親孝行ができた」と言える人になってください!〈「ハイ!」と卒業生から元気な返事が〉
 人生において勇気を忘れてはいけない。小手先のずるさで生きてはいけない。何度でも申し上げておきます。
13  語学力を磨け
 36年前(1974年)、私は厳しい冷戦の時代に、貴国を訪問し、シルクロードの都である西安市も訪れました。
 その旅を一つの起点として、私は、中国と日本、ロシアと日本、中国とロシア、アジアと欧州など、世界を結ぶ平和の対話を勇敢に繰り広げてきました。
 最高峰の“人類の頭脳”ローマクラブの創始者であられるペッチェイ博士とも、地球環境の未来を守るために、持続可能な社会に向けて、大いに語り合いました。
 思えば、無名の一青年だった私が、世界の識者と語り合う力を磨いたのも、恩師・戸田先生のお陰でした。19歳で先生と出会い、万般の学問を授けていただいたのです。
 ただ、天才的な知性の持ち主であった戸田先生も、語学だけは不得手であった。私の青春時代も“英語は敵国語”。語学の先生に恵まれませんでした。
 ともあれ、若い時には、何でも頭に入る。どんどん吸収できる。学んだ分だけ、自分の財産になる。
 どうか諸君は、英語を勉強してください。また、中国語を学んでください。語学力を磨き抜いてください。
14  未来を創りゆけ
 本日は、ローマクラブの偉大な知性であられるヴァイツゼッカー博士が、ご臨席くださいました。
 博士が鋭く提唱されているように、大切なのは、人間の「協力やチームワークの開発」であります。
 洋々たる平和の未来を生きゆく皆さん、そして未来を創りゆく皆さん! ここ創価大学・創価女子短期大学で磨いた誠実な人格の力をもって、わが足もとから、ああゆる方々との友情と信頼のシルクロードを広げ抜いていってください!
15  古の西安の天地で歴史を刻んだ唐の大詩人・白楽天は「無敵の者は正義に根ざし」(岡村繁著『新釈漢文大系104』明治書院)と記した。民衆の幸福のため──ここに正義がある。
 同じく、西安に生きた詩人の杜牧も、「正しい道は堂々と構える宮殿のようなもの」(稻垣裕史訳「唐故平盧軍節度巡官隴西李府君墓誌銘」、京都大学中国文学研究室編『唐代の文論』所収、研文出版)と綴りました。
 「永遠の都」西安にそびえ立つ「永遠の知性の大宮殿」たる貴大学の無限の栄光を、私たちは心からお祈り申し上げます。
16  貴大学の勇壮な校歌には、「世界の光とならむ」という誇り高き一節があります。
 わが愛する卒業生よ、正義の生命を炎と燃やし、いずこにあっても光れ! 健康で朗らかに光れ! 燦々と輝き光ってゆけ!
 頼むよ!〈卒業生が「ハイ!」と元気に返事を〉
 そして、21世紀を悠然と照らしゆく勝利の人生たれ!──と叫びに叫んで、私の謝辞といたします。
 謝謝(シェシェ)! 誠にありがとうございました。

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