Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

新時代第34回本部幹部会 第34回SGI総会

2009.11.14 スピーチ(聖教新聞2009年下)

前後
1  まず音楽隊の演奏に感謝したい。
 とても上手だった。
 皆さんは、時間をやりくりして、練習してこられた。私は、よく知っている。
 何と尊い努力か。本当に見事だった。
 〈スピーチの前に、会場で音楽隊の創価グロリア吹奏楽団が学会歌「人間革命の歌」「広布に走れ」を力強く演奏した〉
 音楽や歌のあるところは発展する。
 それが歴史の一つの鉄則である。
 学会は、その通りに進んでいる。
 音楽隊、ありがとう!
2  「冥益」が根本
 伝統光る創立記念の「本部幹部会」、おめでとう、ありがとう!
 そして歴史に輝く「SGI(創価学会インタナショナル)総会」、本当におめでとう、ありがとう、ご苦労さま!
 60カ国・地域の偉大な広宣流布の指導者の方々、ようこそお越しくださった!
 皆様は、遠く海外から仏法を求めて、ここに来られた。
 その功徳は大きいことを確信していただきたい。
 仏法の功徳は、「末法」においては「冥益」が中心である。
 今は、はっきり見えなくても、後になって出る。しかも、思いもよらないほどの大きな福徳に包まれる。
3  それが仏法の法則である。
 創立の父・牧口常三郎先生は、すでに当時、宣言されていた。
 「大聖人の仏法は全世界に流布されるものである」と。
 そして恩師・戸田城聖先生も叫ばれた。
 「仏法の生命尊厳の法理と慈悲の精神こそ、人類を救済しゆく大哲学である。この創価の思想を全世界に弘めよ!」と。
 戸田先生は、何度も何度も、「真の生命尊厳の思想は、この仏法しかない。これを世界に弘めることは、何よりも偉大である」と述べておられた。
 その遺訓の通りに、私たちは、世界192カ国・地域に妙法を弘めた。ありがとう!
 仏法史上、かつてない偉業である。
 すべては、皆さん方が弘めたのである。
 皆さん方の同志が弘めたのである。
 誰よりも、御本仏が、諸天善神が、十方の諸仏が、妙法を持ち弘める皆さん方に大喝采を贈っている。万雷の拍手を贈っている。これを忘れてはいけない。
 御書に、「日蓮が讃嘆申し上げることは、ものの数ではありません。“諸仏がおほめである”と法華経に説かれているのだから、まことに頼もしいことである」(御書1112㌻、通解)等と仰せの通りである。
 日蓮大聖人が御遺命され、恩師が夢見た世界広宣流布は、私たちが厳然と成し遂げたのである。
 どうか、いつまでも、いつまでも、生命力をたくましく、元気で、勝利、勝利の人生を送っていってください。
 人生に負け戦は必要ない。勝ちましょう!〈「ハイ!」と元気よく返事が〉
 お帰りになったら、各国の大切な同志に、くれぐれもよろしくお伝えください。
4  無事安穏を祈り合え!
 また、全同志の皆さん方の「健康」と「長寿」と「幸福」を、私も妻も毎日、真剣に祈っている。
 特に「100年に1度」といわれる、この不景気に、絶対に負けることなく勝利することを、強く祈っている。頑張ってください!
 全世界の一人一人の学会員が、無事安穏で、絶対の幸福に包まれて、大勝利の発展をしていくことを、皆で互いに祈り合っていきたいと思うが、どうだろうか。〈「ハイ!」と賛同の返事が〉
 ともあれ、絶対に敗北者を出してはならない。臆病や恩知らずになって、退転していくような人間だけは出してはいけない。
 途中で、どんなことがあっても、最後は必ず勝てるのが、変毒為薬の“妙法蓮華”なのである。
 今は、どんなに苦しくとも、どんな病気でも、どんなにいじめられていても、最後は必ず勝てる。絶対に勝利者になる。
 これが仏法だ。これが信心だ。
 反対に、いじめた人間、悪鬼、魔民は、最後は全部、滅びる。
 これが、“仏法は勝負”の現証である。
 ゆえに頑張るのだ。素晴らしい人生を生きょう!
5  信心から離れてはならない
 若い皆さんは、どんなに今、お父さん、お母さんが大変でも、またどんなに今、家が貧しくても、「いつかは私が頑張って、うんと稼いであげるから」と明るく励ましていくのだ。
 また、独り暮らしの方や、結婚していない方もいるだろうが、所詮、人生は一人から出発して、一人で終わるのである。
 ゆえに何も心配することはない。信心を根本に、自分らしく進んでいけばいいのだ。
 その人を諸天善神が守りに護る。安心して信心していってもらいたい。
 ともあれ、濁世ゆえに、互いに声を掛け合い、励まし合い、支え合っていくことだ。何度も言うけれども、絶対に敗北者になってはならない。信心から離れてはならない。
 みじめである。あわれである。まったく御書の通りである。
 半世紀にわたり、広布の指揮を執ってきて、すべてを見てきた私の確信である。
 変毒為薬の妙法を信じながら、全員が「信心の勝利者」になっていただきたい!
6  女子部国際部からの報告
 第一線で真剣に戦う人を大切にすることだ。そうした方々の中にこそ真実があり、正義がある。
 それをまっすぐに、正しく見て、その声を真摯に聴き、すばやく対応していくのが、仏法の指導者の役目である。
 牧口先生は、“上が偉いのではない。下が偉くなっていくために、上がいるんだ”と教えられたが、本当にその通りである。
 先日、女子部の国際部の方から報告があった。
 一人の女子部の友からの報告にも、偉大な指導が含まれている場合がある。役職とか肩書だけで見ていたら、大事なことを見逃してしまうものだ。
 この女子部の国際部の方の報告によると、「わが地域でも壮年部が奮闘しています。ぜひ、先生から、この箴言をお伝えください」とのことであった。
 それは、インドの非暴力の大英雄マハトマ・ガンジーの言葉であった。
 「男らしさとは、戦うことにある。戦いが、我らを作り上げてくれる。だから、恐れずに戦い続けるのだ。くじけるな。たとえ死力を尽くして戦った結果、倒れることがあっても、少しも落胆するな。再び立ち上がり、戦いを開始するのだ」
 私は、この言葉を探してくれた女子部の友の真心に感動した。また本当によく勉強しておられると感嘆した。
 また、ガンジーの言葉にこうある。
 「私たちは皆、恐れなき心、誠実さ、不屈の精神、正義感、正直さ、確固たる目的観という徳を高めて、国のために尽くすことができる。これこそ、真の宗教のあり方である」
 まさに“良き市民”として、社会のため、国土のために貢献する、わがSGIにこそ、真実の宗教の姿があるのだ。
 さらにガンジーの言葉である。
 「逆境から学ぶべき教訓をつかむのだ。そうすれば、逆境は無意味にはならない。
 私たちは、この試練を経て、より豊かな社会的価値と、より強い正義感を持つ民衆として立ち上がることができるのだ」
 何の苦難もなく、ただ笑って、楽しんでばかり。そこから得られるものなど、大したものはない。逆境こそが人間を偉大にするのだ。
 我ら壮年部も、あらゆる試練をバネとして、今再び、立ち上がろうではないか!
7  いよいよ創立80周年の開幕である。おめでとう! ありがとう!
 今、これほど世界的に発展を続けている宗教団体は、学会以外にない。本当にすごい学会となった。
 仏法では“八とは開く義”と説いている。
 私たちは、ここで、明年の創立80周年へ、次の3点を決意し合いたい。
 第1に、「境涯を開く」ことである。
 リーダーが大きく境涯を開けば、それだけ多くの友を幸福にできる。人材も育つ。組織も発展する。
 その原動力は何か。それは、師弟不二の祈りである。
 第2に、「友情を開く」ことである。
 友情の拡大が、広宣流布である。何でも語り合える友人、心から信頼できる友人を増やしていくことだ。
 私は人間外交で、無理解の人や偏見の人をも味方に変えて、広布を進めてきた。「声仏事を為す」である。確信の声で仏縁を広げていくことだ。
 そして第3に、「勝利を開く」ことである。
 仏法は勝負──すべてに勝つための仏法である。
 信心は勇猛精進だ。勇気に燃えて前進するのだ。
 創立80周年を、晴れ晴れと大勝利で飾ろう! 断じて広布と人生の永遠の栄光を勝ち開こう!
8  「一人が10人を」
 先日、アメリカのオハイオ州・デイトン市に新たな会館が誕生した。本当におめでとう!
 〈デイトン市から、SGI会長夫妻に「名誉市民」の称号が贈られた〉
 デイトン市といえば、飛行機を発明した、あの「ライト兄弟」の故郷である。
 〈ライト兄弟は1903年12月17日、人類で初めて動力(エンジン)付き飛行機による有人飛行に成功した〉
 ライト兄弟の兄ウィルバーの言葉を紹介したい。
 「一人の人間が、直接できることには限りがある。しかし、一人が10人を奮い立たせ、共に行動してくれるようになれば、それは、すでに偉大なことを成し遂げたことになる」
 「一人が10人の友を!」──私たちは、これを合言葉にして、楽しく対話を広げてまいりたい。
 学会は、これまでも一人一人と友情を結び、信頼を広げてきた。だからこそ、世界的になったのである。
9  「負けじ魂」で栄冠をつかめ
 日本、そして世界の芸術部の皆さん、いつもいつも、本当にありがとう!
 ドイツの大詩人ハイネは謳った。
 「剣はひかる 凛々しくも/旗はひらめく 清しくも」(井上正蔵訳『歌の本〈下〉』岩波文庫)
 芸術部の皆様方こそ、「勇気の剣」を掲げた文化の英雄である。
 そして、芸術部の皆様方こそ、「勝利の旗」を掲げた希望の旗手である。
 「芸術部」と聞くと、多くの同志は安心する。喜ぶ。「ああ、顔を見たいな」となる。
 芸術部の皆様は、それぞれの特性を生かして、先頭に立って戦ってくださっている。
 仕事においては、華々しく活躍する時もあれば、そうでない時もあるかもしれない。
 しかし、皆さんは何があろうと、どこまでも信心根本に歩んでいただきたい。地道な学会活動に挑戦していただきたい。そして、わが「芸の道」を進んでほしい。
 皆で芸術部の栄光を祈り、応援していきたいと思うが、どうだろうか。
10  今、スポーツ部の活躍が目覚ましい。
 きょうも、代表が勇んで参加してくれている。ありがとう!
 スポーツ部のメンバーの中には、悔しいケガや病気を信心根本に乗り越えて、猛練習の末に栄冠を勝ち取った人もいる。
 私は、不屈の「負けじ魂」で進む友の活躍を心から讃えたい。皆さんにお会いできて、本当にうれしい。
 どうか、体を大切にして、ますます頑張っていただきたい。
 フランスの思想家モンテーニュは綴った。
 「武勇とは腕やすねの強さではなくて、魂の強さだ」(関根秀雄訳『新選モンテーニュ随想録』白水社)
 スポーツ部は、色心不二の妙法を持っている。魂の究極の強さで、断固と勝ちまくれ! 負けても次に勝て! 皆で祈り、応援しています!
11  下から支えるリーダーたれ
 先日、アメリカの友から報告が寄せられた。
 それは、私と対談を行ったアメリカ実践哲学協会のマリノフ会長が、次のように語っておられたというものであった。
 「リーダーには、2つのタイプがあります。一つは、ピラミッドの頂点に立つ存在です。
 そしてもう一つは、逆の形をしたピラミッドの底辺に立ち、民衆を下から支える存在です。支配するのではなく、奉仕しながら、人々の精神を高めていくのです」
 〈マリノフ会長は、こうも述べている。
 「池田SGI会長は、すべての人々を高めようと、下から支えておられます。創価学会の発展と繁栄の秘けつは、この一点にあると、私は見ております」〉
 世界の知性の目は鋭い。
 学会のリーダーは、どこまでも広布の同志を支え、同志に尽くしていく存在である。リーダーが一人一人を本当に大切にすれば、世界広布の前進は、もっと勢いを増していくことができる。
 皆様は、どうか、この一点を深く心に刻んでいただきたい。
12  誠実に、真剣に
 日蓮大聖人は、「撰時抄」で弟子一同に対して仰せである。
 「法華経の通り身命も惜しまず修行し、このたび仏法を試みなさい」(御書291㌻、通解)
 大聖人の門下には、長年にわたって信心してきた人も多くいた。しかし打ち続く大難の中で、疑いを起こして退転する弟子も出た。
 仏法の真髄は、あまりに深い。妙法の功力は、あまりに大きい。
 ゆえに、わが門下よ、断じて退いてはならない。妙法流布に生き抜くならば、必ず最高の幸福境涯を築くことができる──。
 御書には、御本仏の大確信が脈打っている。
 リーダーは惰性を排し、どこまでも誠実に、真剣に、広布のため、同志のために行動し抜くことだ。
 増上慢になり、油断し、横着になれば、自分が損をする。大福運を逃してしまう。特に、役職が上になり、自分が偉くなったように錯覚し、会員を下に見て、威張るようなことがあれば大変だ。
 これまでも、そうやって堕落し、ついには退転していった人間がいたのは、皆様がご存じの通りだ。
 今こそ、全リーダーが初心に立ちかえって、命を惜しまず、労苦をいとわず、思う存分、戦うことだ。
 題目を唱え抜いて、悔いなく戦いきることだ。
 必ず、永遠の成仏という大果報を勝ち取っていくことができる。
 創立80周年は、皆が大功徳を開く時なのである。
13  「用心を厳しく」
 大聖人は、弟子の四条金吾に対して、その安全と無事故を祈られ、繰り返し、注意しておられた。
 「以前より百千万億倍、用心していかれなさい」(同1169㌻、通解)
 「夜は用心を厳しくして」(同1164㌻、通解)
 「帰る時には、いっそう心に深く用心しなさい」(同1176㌻、通解)
 戸田先生も、婦人部、女子部に何度も言われた。
 「帰宅する時間が絶対に遅くなってはいけない」
 「暗い道を一人で歩いてはいけない」
 婦人部・女子部は会合などで、夜の帰宅が遅くなることはあってはならない。このことは、何度でも申し上げておきたい。
 全員が、絶対に事故を起こさず、健康と幸福の「賢者」の前進をお願いしたい。よろしく頼みます!〈会場から「ハイ!」と返事〉
 また男性のリーダーは、女性のために、こまやかな配慮と注意をお願いしたい。
14  全てに意味がある
 大聖人は、大病と闘う南条時光に対して述べておられる。
 「(あなたは)上下万人から諫められたり、脅されたりしながらも、ついに信仰を捨てる心がなく、もはや成仏しそうになったので、天魔・外道が病気にさせて脅そうとしているのであろう。命にはかぎりがあるものだから、少しも驚いてはならない」(同1587㌻、通解)
 病気には深い意味がある。信心を試されているのである。ゆえに、諸天善神が護らないわけがない。
 勇気ある信心を奮い起こして、断固として祈り抜き、病魔に打ち勝つことだ。何があっても、大聖人は厳然と見守ってくださっている。
 そのことを深く確信していただきたい。
15  戸田先生のご指導を、私は後世のためにと思い、書き取っておいた。
 ここで、いくつか紹介させていただきたい。
 「誰が何と言おうが、創価学会は、日本の潮流に成長した。
 この潮流を全世界の潮流として、やがては、この地球上に、理想の社会をつくるのだ」
 戸田先生のご構想通りに、今や、創価の平和と文化と教育の潮流は、世界192カ国・地域へ広がった。
 牧口先生も、戸田先生も、どれほどお喜びであろうか。
16  また、戸田先生は学会の草創期に、こうも言われていた。
 「今は、学会員がまだまだ少ない。しかし、20年、30年後には、ビックリするぞ。
 日本のどこへ行っても学会員がいる時代が来る。そして、世界中に、地涌の菩薩が地からわき上がるように出てくるのだ」
 今、その通りの時代になった。日本中で同志が大活躍しておられる。世界の津々浦々で、SGIの友が“良き市民”として社会貢献に励んでいる。
 万年にわたる世界広布の礎は、盤石に築かれたのである。
 「先生、関西は勝ちます!」
 若き弟子は「誓い」を果たした
17  一番大変な所へ
 ありがたいことに、戸田先生は、弟子の苦闘を、すべてわかってくださっていた。
 「一番、大変なのは、『大阪の戦い』であった。
 しかし、大作は、『なんとしても、私がやります。先生のために勝ちます!』と言った。だから、大作に任せたのだ。
 そして、勝ってくれたのだ」
 昭和31年の戦いは、学会にとっても、私にとっても、広く社会に打って出る、歴史的な“初陣”であった。
 新たな戦野に飛び込んで、私が活路を切り開いた。関西の同志とともに、勝利の金字塔を打ち立てた。
 〈昭和31年(1956年)、若きSGI会長の指揮のもと、大阪支部は1カ月で11,111世帯の弘教を成し遂げた。関西の同志が証言している。
 「昭和31年の戦いが忘れられません。
 池田先生は、たった今、燃えるような大情熱で指導をされたかと思えば、次の瞬間には、もう大阪中を飛び回っておられたのです」
 「池田先生は、関西のすみずみまで、何度も何度も回ってくださり、激励し抜いてくださったのです」
 同年の参院選大阪地方区では、学会の支援した候補が、予想を覆して勝利。「“まさか”が実現」と朝日新聞は大きな見出しで報じ、日本中が驚いた〉
 ともかく、大阪中を回った。当時、私は自転車で動いた。あまりに動きすぎて、タイヤがパンクしてしまうと、もう乗れない。仕方なく、自転車を引きずって歩いた。そうして、大阪のすみずみまで回ったのだ。
 決戦の当日。戸田先生は東京、私は大阪。朝5時ごろ、電話が鳴った。“戸田先生からだ!”──私は、ぱっと受話器をとった。まさしく先生からだった。
 「大作、起きていたのか」「はい」「関西は、どうだい?」「こちらは、勝ちます!」「そうか、本当か!」──あの時の先生のうれしそうな声。東京が厳しい情勢であっただけに、先生の喜びは大きかった。
 リーダーに手抜きや甘えがあれば、激戦は勝ち抜けない。私は心底、戸田先生のために、真剣に戦った。戦って戦って戦い抜いた。
18  「師弟共戦」の不滅の歴史を
 若き日の私は、恩師のもとで、「先生、関西は勝ちます!」と叫んで戦い、不滅の歴史を築き残した。
 それと同じ決意で、わが後継の友が毅然と立ち上がっていくならば、学会は負けない。常勝城は崩れない。
 今再びの前進を開始するのだ。よき人材を伸ばすのだ。後輩たちが自分らしく輝き、新しい人材群が、思う存分、力を発揮していけるように、全力で応援してまいりたい。
19  烈風の社会の中で、創価の同志の皆さんは、人類の希望の道を開くため、ただひたむきに、真剣に、戦ってくださっている。
 広宣流布の大将軍として指揮を執る者は、懸命な同志に応えて、その何倍も戦わなければいけない。このことを、よく覚えておいていただきたい。的確に、迅速に、あらゆる手を打つのだ。
 戸田先生の指導が、わが胸に響いている。
 「学会の青年部は、意気地なしでは絶対にだめである。
 “自分には力がある。闘争には負けないそ”と頑張るのだ。
 一人一人が学会精神を受け継いで、本物の人材と育て!」
 皆、頼むよ!
 思うにまかせぬ現実にぶつかることもあるだろう。そのなかで、建設的な声をあげる。堂々と信条を述べる。そして立派な人、真面目な人を尊敬し、威張る者とは、断固戦う。それでこそ青年だ。
 年をとって自分勝手になる人もいる。立場が上になり、注意や指導をしてくれる人がいなくなって、堕落する場合もある。リーダーは人一倍、自己を律しなければならない。
20  生きて生き抜く
 戸田先生は、あえて厳しく言われた。
 「闘争に負けるようでは、創価学会の青年部ではない。広宣流布は、よほどの信心と勇気と智慧がなければ遂行できない大事業なのだ」
 私も、戸田先生のもとで徹底的に鍛えられた。 “先生が広布の戦を進めやすいように”と終始考え、万般にわたって、人知れず準備を重ねた。
 先生は、弟子のそうした努力を、すべて、ご存じであられた。しかし、大てい、知らないふりをして、黙って見守っておられた。あの厳愛の鍛錬ありて、今の私がある。
 また一方で、先生は深く憂えておられた。
 「大作は、これだけ戦ったから、もう長生きはできないだろう。俺が大作の身代わりになってあげたい」──そこまで言われた師の祈りが、私を長生きさせてくださったと信ずる。何とありがたい師匠か。
 私は、先生の弟子として、生きて生きて生き抜いてきた。これまでの人生に一点の後悔もない。これが偽らざる心境である。“この私ほど師匠を護った人はいない”と、御本尊に堂々と申し上げることができる。
21  「皆が幸福になるように」
 私は毎日、御祈念している。学会員の皆さんに事故がないように。皆、幸福になるように。広宣流布のために、楽しく戦えるように──。
 その心と行動が、これからのリーダーにあるかどうかだ。嵐に負けない常勝の指揮は、小手先の“策”とは、天地雲泥なのである。
 なぜ、このように申し上げるのか。私も80代である。いよいよ、これからが本当の総仕上げだ。
 今、広宣流布の舞台は大きく開かれてきた。未来のために、世界中に堂々たる基盤が築かれた。
 万代にわたる勝利は、すべて後継の皆さんにかかっている。
 この世界には、想像を超えた、卑劣な人間や、傲慢な人間もいる。そういう者たちに、将来、大切な同志が、騙されたり、威張られたりしたら、あまりにもかわいそうだ。そうならないために今、言っておくのである。
 私は今、未来の展望を真剣に考えている。
 広布の戦は長い。難は必定だ。それを乗り越え、勝利しゆく民衆こそ王者だ。
 勝利の手柄は、その栄光は、ほかの誰でもない、同志の皆さんに輝く。これを、きょうは宣言しておきたい。
22  師弟不二の仏法
 どこまでも師弟不二の仏法である。
 思えば、戦時中、軍国主義の時流と戦い、戸田先生は、師匠・牧口先生とともに、牢獄に入られた。
 のちに戸田先生は、牧口先生を偲んで、「あなたの慈悲の広大無辺は、わたくしを牢獄まで連れていってくださいました」と感謝された。
 これが弟子である。
 この戸田先生の心を、私は、よく知っている。
 私自身、どれだけ、先生に尽くしたか。何一つ、悔いはない。最後に先生は、「大作、ありがとう。大作、ありがとう」と言ってくださった。
 師弟不二とは、こういうものでみる。
23  座談会が大事
 戸田先生は叫ばれた。
 「広宣流布は私がやる! この大確信で折伏をするのだ。自分が行ったところで自分の力を示すのだ」
 この意気で、来年も戦おう!
 真面目な女子部の皆さんは、むしろ、ゆったりとした気持ちで進んでいただきたい。婦人部は、すでに走っている。今、心新たに立ち上がるべきは、男子部であり、壮年部であり、幹部であろう。
 「広宣流布は私がやる!」──この魂を失えば、もはやリーダーの資格はない。
 苦労を避けようとして、自分のことしか考えない。それでは、信心の本当の喜びを味わうことはできない。
 自覚した一人一人が、わが師のために立ち上がるのだ。そうやって、広布の大道は開かれてきた。
 今、集い合った皆さんこそが、新しい勝利の指導者なのだ。
 「大きい会合に出れば、心は躍動するが、それだけではいけない。小単位の座談会こそ、真の指導の根本である」
 これも、重要な戸田先生の教えである。座談会を最も重視して進むのだ。
 また、婦人部、女子部に対し、戸田先生は次のように示された。
 「これからの女性は、明るく、はつらつと、周囲へ、地域へ自分自身を開いていかなくてはなりません」
 創価の尊き婦人部に最敬礼するとともに、「女子部の池田華陽会、万歳!」と申し上げたい。
24  次の御聖訓は、戦時中の弾圧の際、当局に押収された戸田先生の御書に、先生が線を引いておられた一節である。
 「日蓮は世間には日本第一の貧しき者なれども仏法を以て論ずれば一閻浮提第一の富る者なり
 この御境涯に連なる永遠の福徳の大長者こそ、創価の友なのである。
 戸田先生がお好きであられた『巌窟王』や『三銃士』などで有名なフランスの文豪デュマの小説に、こうある。
 「いつも勇敢に振る舞うと、どれほど威厳が出てくるか、よく目にとめておくがいい」(鈴木力衛訳『ダルタニャン物語第4巻』ブッキング)
 “臆病は恥なり”との快男児の心意気を示した一言である。
 威厳とは、人徳であり、生命の力であり、勝利のための力でもあろう。きょう集い合った男子部の諸君の中からも、必ずやこの力が出てくると私は思う。
 さらにデュマの言。
 「裏切ったという永遠の恥辱はかれらの上に落ちるのだ」(同)
 その通りだ。ましてや仏法の因果は厳しい。自らの信念を裏切り、同志の信望を裏切った人間の末路は哀れだ。皆様がよく知っている通りである。
 戸田先生はおっしゃった。
 「戦っているような格好をしていても、戦っていない人間は、すぐわかる。十人前の信心の戦いをせよ」
 大きな責任を担う幹部への戒めとして、心すべき指導である。
25  教学試験に挑む友の健闘を祈る
 さらにドイツの大詩人ゲーテの言葉から。
 「なお強いて迫り来らば/われら奮いて戦うあるのみ」(想民守峯訳『ファウスト』岩波文庫)
 これでいこう!〈会場から「ハイ!」と勢いよく返事が〉
 私が戸田先生とお会いしたのは、戦後間もないころである。
 戦争によって、わが家は、さんざん苦しめられた。一家も、また時代も、最悪の状況のなかで、私は戸田先生とお会いすることができた。
 先生は「俺が全部、教えよう」と万学を授けてくださり、難に打ち勝つ信心を打ち込んでくださった。ありがたい師匠であった。
 ゲーテであれ、誰であれ、青春時代、戸田先生から、どのような読書をしているのか、たずねられた。
 「その本の、どこを読んでいるか」「それはどういう意味か」等々、毎日毎日、365日が勉強だった。
 皆さんも忙しいなかではあるが、御書を拝し、一流の書物をひもとく時間をつくっていただきたい。
 今、教学部初級試験、青年部教学試験3級に向かって、尊い研鑚に励んでおられる皆様のご健闘を心から祈ります!
26  後継を育て抜く真のリーダーに
 きょうは、アフリカから、ナミビア共和国をはじめ4カ国の友が、はるばると、お見えになった。本当にうれしい! 私は心から讃えたい。
 遠路、来日するのも大変なことだ。皆で応援したい。本当に、よく来られた。ありがとう!
 そのナミビアの諺に、こうある。
 「時間と世界は、どんどん前へ進んでいく」
 遅れてはならない。
 時代から時代へ、世代から世代へ、バトンタッチしていくことが大事である。
 我らも、後継の人材を育てよう!
 私は、ありとあらゆる機会をとらえて、青年を育てるために手を打ってきた。
 人材を育て、伸ばしゆく以外に、真の勝利はない。
 人材を出さなければ、真のリーダーではないのである。
27  南アフリカの人権の闘士、マンデラ元大統領との出会いは、今も心に鮮烈だ。
 初の来日で、わざわざ聖教新聞社へ、足を運んでくださった。あなたに会いたい──その真情に、私は強く心を打たれた。
 元大統領は言われている。
 「世界の苦悩を取り除く力は、まさに、君たち青年の世代の手中にあるのです」
 「より輝く未来に向けて道を示す星のごとく、青年こそが、自らの運命と未来の作者となれ!」
 青年部よ、輝かしき創価の勝利を頼む!〈会場から「ハイ!」と元気な返事が〉
28  私の敬愛する友人に、フランスの哲人指導者であるポエール上院議長がいた。
 お会いした際、こう述べておられた。
 「人生には、生きていく上での基本の軌道、『道』が必要です。心のままに振るまうだけではいけない。人生の不変の知恵を伝える宗教の必要性もそこにあります。
 確かな宗教をもつ人は、ドラマに富んだ人生を生き抜く上で、他の人にはない力を得るのです」
 〈ポエール議長は、反ナチ・レジスタンスの闘士で、臨時大統領を2度も務めた政界の重鎮。1996年に世を去るまでSGI会長と交友を重ねた。「私とSGI会長は、平和のために戦うという点で一致しています」とも語っている〉
 ポエール議長とは、フランスを訪れるたびに友情を深めた。大変な人物である。公邸に何度も招かれ、文豪ユゴーをめぐり、平和を見つめて語り合ったことが懐かしい。
29  戸田先生は、こう鋭く言われた。
 「難が来たら喜ぶのだ。その時が、信心の踏ん張りどころであり、チャンスであるからだ。
 その嵐を乗り越えれば、永遠にわたる大福運をつかむことができるのだ」
 信念の人は最後に光る。驕れる者は久しからず──これが歴史の教訓である。
 ドイツの詩人ヘルダーリンは、栄枯盛衰を見つめて叫ぶ。
 「おお怠るな! いましめ 罰をくだし勝利をかちえよ!」(川村二郎訳「敢為の霊に」、『ヘルダーリン全集1』所収、河出書房新社)
 真実と偽りは、最後には明らかになると詩人はうたう。真実に生き抜かなければ、損をする。結局、苦しむだけである。
30  自分の時代に立派な人材城を
 中国の大詩人・蘇軾そ・しょく(=蘇東坡そ・とうば)は詠んでいる。
 「りっぱな手本を後世に示した功はとこしえに滅びない」(小川環樹・山本和義著『蘇東坡詩集第2冊』筑摩書房)
 各国各地のリーダーも、自分の時代に戦い切って、立派な手本を残しゆくことだ。そして、たくさんの後輩を育てゆくことだ。
 その功績と功徳は、三世永遠に不滅である。
 きょうは長時間、本当にありがとう! ご苦労さま!
 もうひと踏ん張り、本年を戦いきって、来年も勝利しよう!
 楽しく生きよう!〈ここでSGI会長の導師で、全員で題目を唱えた〉
 ご苦労さまでした。ありがとう! お元気で!
 海外の皆様も、遠いところ、本当にご苦労さまです。これから広布の法城も、一段と整備していく。学会は隆々と発展している。世界広布の開拓者である皆様のお名前は、永遠に輝きわたります。
 お体をお大事に! 奥様によろしく!
 お父様によろしく! ご家族の皆様に、どうか、くれぐれもよろしくお伝えください。
 健康第一で!
 よく睡眠をとることです。無理をしすぎで、寝不足になってはいけない。仏法は道理である。皆さんが健康であることを、仏は一番、喜ばれるのです。
 〈ここでブラジル青年部の代表が「私たちに広宣流布をおまかせください。私たちは戦ってまいります。誓願を果たしてまいります!」と力強く決意を述べた〉
 偉い! うれしい! 素晴らしい決意、ありがとう! ありがとう! ありがとう!

1
1