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日蓮大聖人・池田大作

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新時代第25回本部幹部会 広布第2幕第13回全国青年部幹部会

2009.1.18 スピーチ(聖教新聞2009年下)

前後
1  ご苦労さま!
 三世十方の仏菩薩が我らの前進を讃え、見守り続けている。
 この1年も、創価の師弟の真実を、全世界に正しく、堂々と語り広げてまいりたい。
 夫婦、きょうだい、同志、皆が仲良く!
 わが使命の天地に、あの富士のごとく揺るぎない「創価城」を、厳然と築き、護りゆくのだ。
 頼むよ!
 はじめに、記念の詩歌を、私が戸田先生からいただいた「大城」の雅号とともに、代表に贈りたい。
 〈芸術部へ〉
  世界的
    最高人間
      芸術部
  富士の山
    君と私は
      不二の同志とも
 皆様方の御多幸と御健康を祈りつつ
 〈スポーツ部へ〉
  君よ
    今日も負けるな
      明日も勝て
    広宣流布の
      最高スポーツ
 〈音楽隊へ〉
  日本一の
    大音楽隊
      万歳!
 〈合唱団・音楽隊の指揮者へ〉
  日本一の指揮
    ありがとう
 〈鼓笛隊へ〉
  日本一の
    鼓笛隊
      万歳!
 〈創価班へ〉
  三六五日
    創価の宝城を
      守護しゆく
    創価班 万歳!
 〈牙城会へ〉
  三六五日
    創価の宝城を
      守護しゆく
    天下一の
      牙城会 万歳!
 〈白蓮グループヘ〉
  美しき心
    美しき信念の
      白蓮グループ
        万歳!
 いつもいつもありがとう!
 〈各地の合唱団へ〉
  日本一の
    合唱団
      万歳!
 全国を代表して、音楽隊・しなの合唱団、関西男声合唱団、北海道すずらん合唱団、東北・光城合唱団、千葉・菜の花合唱団、神奈川日の出合唱団、中部・ゴンドラ合唱団、信越・長野混声合唱団、北陸・パール合唱団、中国・白菊合唱団、四国・若草合唱団、九州・梅乃香混声合唱団、沖縄・白蓮合唱団の皆さん! 
 ありがとう! おめでとう!
 〈少年少女部へ〉
  少年部
    未来は博士か
      大臣か
 〈中等部へ〉
  中等部
    未来は世界の
      指導者か
 〈高等部へ〉
  高等部
    未来は全員
      大人材
 親孝行・健康・努力を! 一日一日 一歩一歩 歩みゆけ!
 未来部の皆さんは、一人も残らず、民衆のために戦う、偉大な人間になってもらいたい。これが私の願いである。
 これまで以上に、未来部を大事にしたい。若い人を伸ばしたい。これが信仰者です。創価の心です。
 未来部、頑張れ!
 〈男子部へ〉
  努力 努力で
    富士の山
 〈女子部へ〉
  幸福のために成長!
    今日も明日も!
 〈婦人部へ〉
  崇高な
    母の活躍
      皆 涙
 皆で、婦人部に拍手を送ろう!
 その感謝と賞讃の心は、世界中のお母さんにつながっていく。
 それでは次に、合唱をお願いしたい。
 楽しくやろう!
 〈最初に、音楽隊の代表が、池田名誉会長から贈られたラッパを高らかに演奏。そして、芸術部合唱団が新・芸術部歌「使命の舞」を披露。
 さらに、九州の代表が、しなの合唱団とともに、「新生 九州の歌『大九州の友は晴ればれと』」を熱唱した〉
2  世界の友に、英語で、ごあいさつしたい。
 Winter is over.
 Spring has come.
 The sun shines brightly.
 Everyone!
 Be happy!
 Be united!
 Let's win together!
 〈冬は去り、春はめぐり来て、太陽は輝く! 幸せに、皆、仲良く、全員が勝利しよう!〉
3  1年のスタートに当たり、各方面の同志に、記念の言葉を贈りたい。
 幹部会も、新しい方式で進めていこう。まず、関西から!
 〈関西の友へ〉
  日本の広宣流布の
  原動力たる大関西!
  常に模範であれ!
  意気軒昂であれ!
  大関西 万歳!
  常勝関西 万歳!
 〈東北の友へ〉
  東北健児は
  勝利の健児!
  模範の健児!
  最高に 人生の
  大道を歩む健児!
  東北万歳!
 〈北陸の友へ〉
  希望の太陽 輝く
  忍耐と努力で
  晴れやかな
  仏天地たる
  北陸 万歳!
 北陸の友は輝いている。四国の皆さんも、遠くから、よく来てくださった。
 〈四国の友へ〉
  晴れ晴れと
  広々と
  太平洋を庭とする
  「志国」の大広布城 万歳!
 〈北海道の友へ〉
  初代 二代 三代の会長と
  えにし深き
  緑の帝国!
  北海道 万歳!
 〈九州の友へ〉
  東洋広布の
  出発点!
  常に先駆の
  大九州 万歳!
 〈中国方面の友へ〉
  日本の革命!
  広布の
  強力なる人材群!
  中国 万歳!
  山光(鳥取・島根) 万歳!
 〈中部の友へ〉
  金の鯱光る
  日本列島の
  中心の大城!
  中部 万々歳!
 中部は常に元気よく、強くあってもらいたい。嵐を勝ち越えてきた歴史も光っている。一生涯、皆で支え合いながら進むのだ。中部は大事である。
 〈東京の友へ〉
  東京!
  何もかも
  第一の東京たれ!
  健康 経済
  折伏 組織
  団結 不惜身命
  親孝行 長寿
  人生の喜びも
  全部第一たれ!
 そうなるように、尊き誓願を必ず果たしていけるように、まず最高幹部が、一生懸命、祈り抜いていくことだ。頑張れ!
 〈関東の友へ〉
  完勝の
  世界の模範たれ!
  大関東の勢力は
  天下一なり!
  後輩を伸ばせ
4  リーダーは、多くの人から好かれる存在であってもらいたい。
 歴戦の幹部の皆さんも、いい年配になってきた。
 おじいちゃんになったら、“孫がかわいくて仕方ない”と思うように、“後輩がかわいくて仕方ない”と思えるかどうか。
 これができるのが“先輩”である。できなければ、最後は“惨敗”だ。
 後輩を、ほめるのだ。讃え、励まし、温かな言葉をかけてあげるのだ。絶対に怒ってはならない。決して、見下してはならない。
 きょうだいのように仲良く! いいね!〈「ハイ!」と返事が〉
 後輩は先輩を尊敬する。時には、嫌な先輩もいるかもしれないが、大事なことは、広宣流布のために団結することだ。
 そして、先輩は後輩を、断じて守り抜く。学会は永遠に「創価家族」として進んでまいりたい。
5  さらに全国の同志に指針を贈りたい。
 〈信越の友へ〉
  英才と
  勝利の集まり
  信越は
  三世の果てまで
  広布の旗持て
 〈東海道の友へ〉
  日本一の
  富士を仰ぎ
  世界一の
  太平洋を望む
  正義と使命の天地
  東海道 万歳!
 〈沖縄の友へ〉
  沖縄健児は
  青年勝利の
  春を先駆!
  幸福の花
  爛漫と咲き薫る
  平和島! 沖縄万歳!
 この1年、我らはともどもに、元気に前進しよう!〈「ハイ!」と力強い返事が〉
6  きょうは、正義の僧侶の方々も参加されている。
 ご苦労さま! 一緒に頑張りましょう!
 信心なき寺院は、いくら権威で飾り立てても、大謗法の、魔の巣窟にすぎない。
 「人間」が大事である。「世界」が大事である。「平和」が大事である。
 皆さん方は民衆の幸福を願う、真実の僧の連帯である。
7  1月8日は原点の日
 きょう1月8日は、創価の師第の原点の日である。
 昭和20年(1945年)、獄中闘争を続けておられた戸田先生が、牧口先生の獄死を知らされた日だからである。〈牧口先生は、前年の11月18日、すでに逝去されていた〉
 戸田先生は、この日、妙法の巌窟王となって、牧口先生の正義の仇討ちを、固く誓われた。今年は、牧口先生の殉教から65年である。
8  初代会長の牧口先生と、第二代会長の戸田先生が、日蓮仏法の生命尊厳の理念を貫き、軍部権力に逮捕されたのは、昭和18年の7月であった。
 この軍部の大弾圧で、当時の学会の幹部21人が逮捕された。過酷な取り調べに次々と正義を曲げていった。
 最後まで信念を護り抜いたのは、牧口先生と戸田先生だけであった。
 戦後、戸田先生は、小説『人間革命』を執筆され、非道な獄中の様子も書き残された。
 刑事の取り調べに対して、戸田先生が、こう言い放ったことが記されている。
 「牧口先生を粗末に扱ってはいまいな」
 「(学会のことは)理事長のぼくが全部切廻していたんだ。ぼくのいうことを聞きさえすれば、なんでも判るんだ。牧口先生もほかの連中も帰した方がいい」と。
 獄中で、戸田先生は、ひたすらに祈っておられた―― 一切の罪は、若い私に集まればいい。ご高齢の牧口先生が一日も早く釈放されますように、と。
 これが師弟である。これが真実の弟子である。
9  平和な社会を
 先師・牧口先生は獄死された。
 しかし、不二の弟子たる戸田先生は、生きて牢獄を出られた。
 昭和20年の7月、敗戦直前の東京の焼け野原――。
 そこに、戸田先生は、決然と一人立って、深く心に誓われた。
 「牧口先生の志を受け継いで、平和な社会をつくるのだ。それが、牧口先生の仇を討つことだ!」と。
 2年間の獄中闘争によって、戸田先生の体は衰弱の極みにあった。しかし、胸中には、師弟の黄金の誓いが光を放っていた。
 広宣流布という、全人類のための「平和革命」「幸福革命」そして「人間革命」に、わが一身を捧げていかれたのである。
10  師弟の魂で勝ち進め!
 広布に戦い抜けば、必ず、大きな障魔が立ちはだかる。
 「如説修行抄」に仰せである。
 「真実の法華経の如説修行の行者として、師となり、その弟子となるならば、三類の敵人が必ず現れるのである」(御書501㌻、通解)
 この御聖訓通りに、三類の強敵と戦い、勝ってきたのが、創価の三代の師弟である。
 戸田先生は、牢獄までもお供して、牧口先生にお仕えした。
 私は、青春のすべてを捧げて、大難と戦う戸田先生に尽くし抜いた。
 嘘や中傷で、先生を貶る人間がいれば許さなかった。ただ一人で、どこにでも出ていって、正義を叫んだ。
 ただ師匠のために動き、師匠のために祈り、師匠のために生きた。私は厳然と師匠を護ってきた。
 何の悔いもない。わが人生は師弟不二であった。
 烈風の青春時代を、私は、この師弟の魂で勝ち進んできたのである。
11  人類史に輝く勝利の劇を!
 牧口先生、戸田先生を、平和と正義の大偉人として、第三代の私は、全世界に宣揚してきた。
 牧口、戸田両先生の直弟子として、各国各地の最高峰の大学や学術機関から、数多くの名誉学術称号を拝受してきた。世界中から顕彰される時代となったのである。
 〈これまで名誉会長に贈られた、海外からの名誉学術称号は「246」を数える。さらに決定通知も届いており、本年、「250」を超える予定である。世界一の知性の宝冠である。
 また、国家勲章は「27」。
 世界の各都市からの名誉市民称号は、台湾の龍崎りゅうき郷からの「名誉郷民証」(5日)を含め、「610」。その代表をあげると、アメリカのサンフランシスコ市、イタリアのトリノ市、ブラジルのサソパウロ市、チリのサソティアゴ市、ペルーのリマ市、キューバのハバナ市、オーストラリアのオーバン市、中国の西安市、台湾の台北市、韓国の釜山広域市、ネパールのカトマンズ市、トルコのイスタンブール市などである。
 さらに、パラオ共和国、トンガ王国、ミクロネシア連邦からは「名誉国民」の称号を受けている〉
 こうした世界からの栄誉は、すべてが、広宣流布に殉じられた牧口、戸田両先生が偉大であった証しにほかならない。
 そしてまた、この栄冠は、創価の師弟に連なる全国・全世界の同志の皆様の大福運となって、子孫末代にまで流れ通っていくことは、御聖訓に照らして間違いない。
 創価の三代の師弟は、尊き同志の皆様とともに、堂々と、人類史に輝く勝利の劇を飾ったと、私は高らかに宣言したい!
12  戸田先生は、ある日の手紙の中で、こう綴っておられた。
 ――私の信仰は天下の正義である。この信仰の『信』『行』『学』を、私は、師匠である牧口先生のおかげで得ることができた。ゆえに私は、若人の情熱を失わないのだ――
 先生の胸中には、仏法の真髄を教えてくださった師への感謝の念があふれていた。
 信仰への確信。師匠への報恩。その心が一切の勝利の原動力であった。
13  新成人に期待
 きょうは、新成人のメンバーも参加している。おめでとう!
 今年は、皆様方の「新成人の木」として、アメリカSGI(創価学会インタナショナル)のフロリダ自然文化センターに、「樫の木」が植樹される。
 樫は、「森の王」と呼ばれる堅固な樹木である。「勇気」「力」「長寿」,などの象徴とされている。
 大文豪ゲーテは語った。
 「風や嵐から安穏に守られて育つと、樫の木もだめになる。しかし、自然と戦うこと百年にも及べば、まことに強く堂々たるものとなって、その伸びきった姿を目のあたり見ては、誰しも驚嘆せざるをえないのだ!」(エッカーマン著、秋山英夫訳編『ゲーテとの対話』社会思想社)
 戸田先生は、ある青年部員に次のように指導された。
 「難にあった時に、“賢者は喜び、愚者は退く”のです。愚か者になってはいけない。難をきっかけに、自分を見つめなさい。
 みっちり信心してごらん。今の10倍の功徳を受けられるよ」と。
 私は、限りない期待を込めて、新成人の皆さんに呼びかけたい。
 “学会の創立100周年を創りゆく君たちよ! 試練の嵐を恐れるな! 強く堂々たる大樹と育ちゆけ!”
 私自身、そのようにして自分を鍛えてきた。微塵も後悔はない。
 戸田先生という師匠のもとで、いかなる嵐も勝ち越えた。“これ以上は、だれもできない”というほどの、ご奉公をさせていただいたつもりである。「本当の師弟の道」を生き、「真実の仏法の世界」をつくりあげてきた。
 一人の「青年」が立ち上がったのである。
14  仏法の正邪を決する1年に
 建治2年(1276年)の正月の11日。大聖人は御手紙にしたためられた。
 「今年は殊に仏法の邪正たださるべき年か」(御書893㌻)と。
 今年は、特に、仏法の正義と邪悪が明確にされるべき1年であろう、との仰せである。
 1年また1年、正邪を明快に峻別する。そして、正義の勝利の証しを、堂々と、厳然と、打ち立てていくことだ。この「破邪顕正」「仏法勝負」の魂こそ、学会精神の真髄である。
 大聖人は「悪を滅するを功と云い善を生ずるを徳と云うなり」と仰せである。
 唱題に励み、広布を進め、さらに、人々を不幸に陥れる悪を責めてこそ、自分自身の生命の悪を滅することができる。それが功徳である。悪と戦ってこそ、功徳が生じるのである。
15  16・17世紀スペインの劇作家ローペ・デ・ベーガは、ある戯曲のなかで、王に、こう語らせている。
 「余としては、仁慈を第一とすべきであるが、正邪をただすことも、また、なおざりにしては居らぬと知るがよい」「成敗の正しきを失わしめて、慈悲を行うは誤りである」(永田寛定訳「上なき判官これ天子」、『世界古典文庫36』所収、日本評論社)
 正邪を決しゆけ!
 この明快なる文学者の叫びを、天高く「正義の旗」を掲げゆく、勇敢なる青年部の諸君に贈りたい。
16  私は、今この時に集った、若き君たちに、一言「未来の広宣流布を頼む」と申し上げたい。
 かつて私と対談集を発刊した、ローマクラブの創立者ペッチェイ博士。苦難を越えた博士もまた、若い人々に期待を寄せていた。
 「(大人よりも)若者のほうが、既存の価値観や行動様式のなかで、質的に変えなければならないものはなにかをよりよく察知しているし、変革を実現させる力をそなえている、と私は思う」(大来佐武郎監訳、読売新聞外報部訳『未来のための100ページ――ローマ・クラブ会長の省察』読売新聞社)
 そして、若者には「再生への適応力」があり、「新しい考えを実行し、前進しながら自らを変革できる積極的な生き方をしている」というのである。
 新成人、頑張れ!〈会場から「ハイ!」と大きな返事が〉
17  幹部は青年を徹して大事に
 未来は若い人に頼む以外にない。
 私は、戸田先生に19歳の時に見出していただいた。先生に尽くし抜いて、本年、81歳になった。青春の誓いのままに生きてきた。
 何より学会は、若い人を大事にすることだ。
 幹部に、若者を自分のために“使う”という心があっては、絶対にならない。広宣流布のために働いていただくのである。
 リーダーは、若者の舞台をつくるために、自分が犠牲になるつもりで戦うのだ。
 これが真の学会の幹部の姿であり、人生のあり方であると思う。
 戸田先生は私に、「お前は、よくやってくれた。本当にいい弟子をもった。満足だよ、おれの一生は」――こう言ってくださった。
 私は諸君にも、そうなっていただきたい。誉れの人生を歩んでほしい。
 たとえ、遠くにいたとしても、たとえ、会わなかったとしても、広布に戦う師と弟子の心は、常に一体だ。それが師弟不二だ。「心こそ大切」なのである。
 立場や肩書ではなく“心”で決まる! “行動”で決まる!
18  鍛え抜かれたたたき上げの人
 「鉄鋼王」と謳われる、アメリカの大実業家アンドリュー・カーネギー(1835〜1919年)。
 彼は、貧しい中から身を起こして、働きながら学び、自らを鍛えていった、叩き上げの人間である。
 それだけに、何の努力もせずに得た地位や特権に、あぐらをかく人間には、我慢がならなかった。
 心中深く、軽蔑して見ていた。
 「この人物はなにも内容がない。なにもせず、ただ偶然の機会によって、借り物の羽根を頭に飾って、威張って闊歩しているにせ物なのだ」(坂西志保訳『カーネギー自伝』中公文庫)
 時の大統領が、カーネギーの製鋼所を訪れた。その時、カーネギーが大統領に紹介し、会わせたのは、ほかのどこにもいないような、腕のいい工員たちであった。
 カーネギーは、現場で働く人の要望を汲みながら、協調していけるよう、心を砕いた。
 長年、貢献してくれたある熟練工に、大統領と同じ給料で報いたという逸話もある。
 カーネギーは、こう語ったという。
 「大統領は政治家としてアメリカの最高の地位にある人だし、君は職工としてアメリカ最高の地位にある人だ。同一の待遇をうけるのに何の遠慮がいろう」(『下村湖人全集5』国土社)
 第一線で、実際に戦っている人こそが、偉大なのである。
19  陰の功労者
 歴史の陰には、必ず功労の人物の存在があるものだ。戸田先生は、指導者たる者は、そうした陰の功労者にこそ光を当てなくてはいけないと語っておられた。
 学会における「陰の功労者」とは、健気な同志の一人一人にほかならない。
 先生は、「仏子である学会員の労をねぎらい、疲れをいやしてあげたい」「指導者は、一日も早く会員一同が、幸福であらんことを願うべきである」とも述べておられた。
 また、「日夜、歓喜に燃えて折伏を行ずる学会員は、日蓮大聖人のお使いである」「折伏をする人を最も尊べ! 仏意のままに戦う人だからだ。尊貴な人なのだ」と、何度も教えてくださった。
 私は、戸田先生の広宣流布の「心」を受け継ぎ、同志と「心」を合わせて戦い続けてきた。この「心」を軽んじ、私欲に溺れる幹部は、すべてインチキである。
 もしも将来、人々を救う慈愛も、祈りも、力もない幹部が、偉ぶったり、幅を利かせるようなことがあれば、そのような学会は、真の学会ではない。
 昭和54年(1979年)、私は第三代会長を辞任せざるをえなくなった。戸田先生と私が築いてきた「師弟の道」を、壊そうとする人間が出たのである。
 私は、たった一人で苦闘した。当時の本当の苦労を知り、私を守り続けたのは、妻であった。
 信心を失い、嫉妬にかられ、虚栄に目がくらんだ「師子身中」の反逆者が、師弟を分断する。増上慢が仏法を破壊する。
 この重大な戒めを、永遠に忘れてはならない。
20  皆に尽すのが真のリーダー
 今年は、アメリカの第16代リンカーン大統領の生誕200周年である。〈リンカーンが生まれたのは1809年2月12日〉
 この奴隷解放の大指導者が、人々を感動させた振る舞いの一つは、何であったか。
 それは、威張らないということであった。
 カーネギーは、リンカーンの振る舞いについて、「自分をあらゆる人たちと同じ立場において親しみの情を表わす」人間らしいものだったと記している(前掲『カーネギー自伝』)。
 また、カーネギーはこうも綴っている。
 「彼の他人に対する態度には差別がなかった。誰にでもみんな同じで、シーワード長官に話すと同じ口調で給仕に話しかけた。彼の魅力はどこにももったいぶったところがなかったところから来るといったらよいであろう」
 「彼は最も完全な民主主義者で、ことばに、行為に人間は平等であるということを表わしているのであった」(同)
 「自分は偉い」などと威張らない。皆の声に、謙虚に耳を傾ける。どこまでも、皆のために尽くしていく。これが民主主義における真のリーダーである。
21  油断を排して
 きょうは、多くの女性が参加しておられる。ここで、平安朝時代の有名な女性作家・紫式部の言葉を紹介したい。
 紫式部の傑作『源氏物語』については、イギリスの大歴史学者トインビー博士との対談でも話題になった。
 彼女は『源氏物語』の中で、登場人物に語らせている。
 「女というものは、常に身のまわりに用心して、自分を守っているのがよいにきまっています。気をゆるして投げやりにふるまっていては品格を落すことになる」(阿部秋生・秋山虔・今井源衛・鈴木日出男校注・訳『源氏物語』小学館)
 もちろん現代とは状況が異なるが、女性のあり方の一面を示したものといえよう。
 今の社会では女性を狙った凶悪な犯罪も多い。ちょっとした油断などから、大変な事件や事故に巻き込まれてしまうことがある。
 女子部は、一人一人が大切な宝の中の宝だ。夜は帰宅が遅くならないよう、くれぐれも注意していただきたい。
 そして十分な睡眠を取り、賢く、朗らかに、仲良く、無事故で健康第一の青春を送っていただきたい。よろしく頼みます!
22  強き祈りが根本
 また『源氏物語』の中には、「その道その道」に師匠がいるとの言葉がある(同)。
 人生の道においても、良き師匠に付き、真剣に努力を重ねていけば、必ず大きな前進を遂げることができる。
 さらに紫式部は綴っている。
 「世の中には権勢をかさに着て、人の迷惑になることなどもしぜんとありがちのものである」(同)
 「自分の身分がいいからというので、思う存分たかぶったことをして、他の人を苦しめたりする人もある」(今泉忠義『源氏物語 全現代語訳』講談社学術文庫)
 地位を得ると傲り高ぶる。人々を見下す。いつの世にも、こうした人間はいるものだ。
 また紫式部は「法師というものは聖僧といっても、道理にはずれた異常な嫉妬心が深くて、いやらしいもの」との言葉を記している(阿部秋生・秋山虔・今井源衛校注・訳『源氏物語』小学館)。
 『源氏物語』には、嫉妬や欲望による執着のゆえか、死後も浮かばれない坊主らの姿が描かれている。
 現代にも、腐敗・堕落した極悪僧がいる。
 幸福への道を閉ざす、広布破壊の坊主、そして不知恩の輩とは断じて戦っていく。徹して破折する。それが真実の仏法者だ。その根本は、真剣な祈りである。
 特に婦人部の皆様が、ひたぶるな唱題を続けてくださっていることを、私はよく存じ上げているつもりである。
 さらに、紫式部が綴った一節を紹介したい。
 「心の持ちよう次第で、人はどうにでもなるものです。心の広い器量の大きな人には、幸いもそれに従って多くなるのです」(同)
 深い味わいのある言葉だ。
 御書には「さいわいは心よりいでて我をかざる」と仰せである。
 どんな苦難にあっても、「負けない心」「強い心」があれば、必ず壁を破っていくことができる。
 たくましき楽観主義の人生に敗北はない。必ず最後の勝利をつかむことができる。信心は、その最高無上の原動力なのである。
23  悪は結託する 鋭く見破れ!
 古代中国の兵法書は教えている。
 「悪人を一人でも甘やかせば、即座に多くの悪人が結託して悪事を企むようになる」(眞鍋異夫訳『三略』中公文庫)
 悪人は、ずるい。悪は悪を呼ぶ。その悪を見て見ぬふりをする人間も、ずるい。
 悪に対して、黙っていてはいけない。戦わなければならない。
 民衆を利用し、愚弄し、苦しめて、名利を貪るのは、悪である。
 正義の人、功労ある人を、デマで中傷するのは、悪である。
 師匠を裏切り、同志を裏切り、信念を裏切るのは、悪である。
 悪は断じて許さない!――その強き祈りで立ち上がるのだ。
 ロシアの文豪トルストイは、弱肉強食の野獣のごとき社会を変えねばならないと憂えていた。そのために精神の変革を訴えた。
 「人間の悪は人間によって滅ぼされるものであり、そのことにのみ人間に課された課題があり、人生の意義があるのです」(原久一郎訳『トルストイ全集22』岩波書店)と。
 たとえ偉そうな格好をしても、悪の本性は醜い。陰湿で、欲深く、利他の行動もない。だまされてはいけない。
 悪を悪と見極めなければならない。
 中国の兵法書『尉繚子うつりょうし』には、「賞罰を明らかにするのは、悪を根絶するためである」(守屋洋・守屋淳著『司馬法・尉繚子・李衛公問対』プレジデント社)とあった。
 一人の悪人が野放しにされれば、千人の善人が損をする。悪は叩き出すのだ。断固として打ち破るのだ。
 師弟という原点に立ち、皆が団結してこそ、広布破壊の悪を根絶することができる。
 不惜身命の信心で進むのだ。正邪の決着は、必ず厳然たる現証となって現れる。
24  希望を手放すな!
 昭和26年1月。
 戸田先生の事業は失敗し、絶体絶命の苦難の冬であった。
 私は日記に綴った。
 「冬来りなば、春遠からじ。極寒の冬なれど、春近しを思えば、胸はときめく。いかなる苦難に遇っても、希望を決して捨ててはならぬ」
 信心強き人に、春がこないわけがない。そう私は心に決めて、創価の春を勝ち開いていった。
 戸田先生は、宿命と戦う関西の同志に、こう語られた。
 「病気や経済苦も、上ったり、下ったりしながら、必ず良くなっていくものだ。信心をとしっかりやり遂げていきなさい」
 人生の旅路には、悩みの谷もある。逆境の山もあるだろう。
 しかし、信心で乗り越えられない試練はない。妙法に生き抜けば、すべてが自身の糧となり、宝となっていく。絶対に勝ち越えていくことができる。
 私がお会いした、アフリカの環境の母・マータイ博士は、力強く語られている。
 「人間は、一人一人が、その人にしかできない変化をもたらすことができる存在である。ゆえに、皆で力を合わせれば、どんなに不可能と思われるようなことも、必ず成し遂げることができる」
 一人一人が尊極の力を秘めている。使命をもっている。皆さん方の前進が、一家を、地域を、社会を、大変革していくのである。
 不況の荒波と戦う方々をはじめ、私は全同志に「断じて勝ちまくれ!」と心からエール(声援)を贈りたい。
25  勝利の富士へ共々に前進!
 では、以上をもって、新年の有意義な、思い出深い幹部会を終了いたします。
 ありがとう!
 どうか元気で、健康第一で、一日一日を努力しながら、勝ちながら、富士の山を登ろう!〈「ハイ」と力強い返事が〉
 広宣流布の山。青年・勝利の山。創立80周年の山。
 すべてが我らの富士の山である。〈ここで名誉会長の導師で、参加者全員が唱題を行う〉
 長時間、本当にご苦労さま!
 創価の法城も、同志の皆さんに喜んでいただけるよう、立派に整備していく。
 女子部をはじめ、青年部の体制も整ってきた。
 ともに戦おう!
 海外の皆さん! 重ねて、遠いところ、大変な中、本当に、よく来てくださった。うれしい、うれしい! どうか、お幸せに!
 そして、平和と文化の「使命の舞」を舞いゆく、花の芸術部の皆さんのご活躍をお祈りします。全同志で応援しよう!
 ありがとう! ありがとう!

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