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広布第2幕第4回全国青年部幹部会 ロシア芸術アカデミー名誉会員証授与式

2007.12.16 スピーチ(聖教新聞2007年下)

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2  最強の力が自分の中に
 ロシアの大文豪ドストエフスキーは言いました。
 「人生は、大いなる芸術である。生きるということは、自分自身を芸術作品として創り上げることである」と。
 人生とは、一大芸術作品にも等しい。なかんずく、「若さ」は、それ自体が最も美しい。
 たとえ、お金がなくとも、何がなくとも、若さがあれば、最高無上の財産を持っているのと同じです。
 青春は、無限の創造力に満ちています。
 わが人生を、生き抜き、勝ち抜いていく「力」を、美しい勝利の「世界」を、皆さんは、全部、自分の中に持っている。
 また、それを、存分に出し切りながら生きていける。それが「若さ」というものです。
 君たち青年は、「無限の可能性の塊」なのです。
3  青年部の皆さん、広宣流布のこの1年、本当にご苦労さまでした。
 とくに、創価班、牙城会の大学校の皆さん!
 さらに、女子部のヤング・リーダーの皆さん!
 きょうは、使命深き青春の大勝利の大会、おめでとう!
4  もしもロシアの芸術がなければ
 もしも、ロシアの芸術がなかったならば、この地球は、どれほど、わびしい星になってしまったか。
 貴国の芸術は、「人類の宝」です。
 その最高峰の美の殿堂から、「名誉会員証」を拝受し、これほどの光栄はございません。
 貴・ロシア芸術アカデミーのツェレテリ総裁、そして、総裁の名代であられる(ロシア・芸術家同盟国際連合の)ファトクーリン執行委員長、まことに、まことに、ありがとうございました。
5  名作を読め!
 私の青春時代は、トルストイ、ユゴー、ホイットマン、チェーホフ……あらゆるものを読みました。
 読書を怠れば、戸田先生が許さなかった。
 「大作、今、何を読んでいるのだ」
 「それは、どこまで読んだのだ」
 「では、その内容を言ってみろ」と。
 矢継ぎ早に追及され、ごまかそうにも、ごまかしようがありません。
 当時、私は、苦境にあった先生の事業を支えて、朝から夜中まで、くたくたになるまで働きました。
 それからです。私は読みました。
 皆も読まなくてはいけない。いい小説を。いい本を。
 くだらない雑誌などを読んでいる者がいると、戸田先生は烈火のごとく叱られました。
 現実の課題と必死に格闘しながら、心は広々と、世界の文学に学んでいくのです。
 チェーホフ 「この世に破れない壁は絶対にない」
6  批判を恐れるな
 名作『桜の園』などで知られる貴国の作家チェーホフは綴っています。
 「およそ打ち破ることのできない壁などというものが、ある筈はない」(原卓也訳「ある令嬢の話」、『チェーホフ全集7』所収、中央公論新社)
 私も、この信条で、青春時代から、一つまた一つ、あらゆる「壁」を打ち破り、乗り越えて、今日を築いてきました。
 44年前(1963年)、民衆に芸術を開き、世界を文化で結びゆくことを願って、民音(民主音楽協会)を創立したときも、周囲からは反対されました。宗教団体に必要ないと。
 さらに、日本と中国の国交正常化を提言したときも(1968年)、そして、ロシアを初めて訪問したときも(1974年)、激しい悪口と圧迫を受けました。批判・中傷ばかりでした。
 しかし、私は、戸田先生の弟子です。
 戸田大学の薫陶を受けた「革命児」であり、「開拓者」であるとの自負がありました。ゆえに、何も恐れなかった。
 自分のことばかり考えていると、恐れる心が出てきます。大目的に向かって進めば、限りない勇気がわいてくるものです。
 正義の人に恐れなし! 信念の人に恐れなし!
 この心意気で進んでいきましょう。
7  文化の橋を!
 1974年の9月17日、クレムリンにおいて、コスイギン首相と初めてお会いした折に、私は率直に申し上げました。
 「日本人は、ロシア文学やロシア民謡には親しんでいても、ソ連には親近感をもっておりません。どこか“怖い国”という印象をもっております」
 「政治や経済の分野だけでは、真の友好はありえません。文化交流こそ、最も大切になってきます」と。
 コスイギン首相も、私の発言に「賛成です」と大きくうなずいてくださいました。今も忘れない、懐かしい歴史であります。
 ここにお迎えしたファトクーリン執行委員長も強調しておられる通り、「文化・芸術こそ、人間を結び合う橋」なのであります。
8  途中がどうあれ最後に必ず勝て
 きょうは、青年の芸術部の代表も出席してくれております。
 かのヴィクトル・ユゴーは叫んだ。「芸術は勇気である」と(榎本秋村訳『ユウゴオ論説集』春秋社書店)。
 人生も、勇気で開くのです。人生そのものが、芸術なのであります。
 私は「若き君たちよ、『勇気』で勝ち進め!」と申し上げておきたい。
 自分自身に勝つのだ。負ければ不幸であり、みすぼらしい。もしも男性が、そういう意気地なしだったら、女性から見ても、魅力がないのではないだろうか(笑い、拍手)。
 口がうまくても、格好がよくても、それで人間の真価は決まらない。生活力があるか。社会で光っているか。愛情、勇気、包容力があるか。聡明に見極めねばならない。
 ともあれ、わが学会の女子部は、一人も残らず幸福に。素晴らしい人生を!──そう私と妻は、心から祈っています。
 勇気をもって勝ち進むのだ。低次元の争いではなく、善のため、人のため、自分のため、国土のため、法のために、勝利を獲得するのだ。
 仏法は勝負です。ゆえに人生も勝負だ。勝つか、負けるか。
 世の中には、見た目は勝った格好をしながら、“心”は負けている、“人として”負けている者たちがいます。そういう情けない輩が、偉ぶっている場合がある。
 途中がどうあれ、最後には必ず勝つ。そういう勝利の劇を、堂々と残していただきたい。そのための信心だ。そのための人生だ。
 スポーツ界の友も、きょうは、ご苦労さま! 頑張って! 皆で応援しよう!
9  宗教・芸術は民衆のために!
 貴アカデミーは、栄光輝く250年の歴史を刻んでおられます。
 貴アカデミーの先生方が明晰に論じておられるように、ロシアの芸術の中心には、一貫して「人間」があり、「民衆」があります。
 素晴らしい本質であり、根幹です。
 どこまでも人間生命の尊厳を信じる。いかなる苦難も悠然と乗り越え、全世界の民衆の幸福と、正義の勝利のために尽力しゆかんとする、高貴にして偉大な魂が光っているのであります。
 私の胸には、貴アカデミーの芸術家たちと、巨人トルストイとの魂の交流が思い起こされてなりません。
 「獅子」(ロシア語で「レフ」)という名前を持つトルストイは、「宗教のための人間」ではなくして、「人間のための宗教」の時代を開くために、まさに獅子のごとく戦い続けました。
 それゆえに、当時の宗教権力から、理不尽にも「破門」されたのです。あまりにも有名な史実であります。
 私たちも、嫉妬に狂った邪宗門から、同様の迫害を受けてきたことは、ご存じの通りです。
 正しかったのは学会であります。きょうの式典に出席してくださっている、アメリカの著名な宗教研究者であるストランド氏は、この点について、創価学会は「人間のための宗教」を実践し、100年先の時代をリードしていると、洞察してくださっております。
10  わが人生勝利の堂々たる名画を
 トルストイが破門されると、ロシア芸術アカデミーの教授だった偉大な画家レーピンは、激怒しました。
 「(僧侶たちは)ならず者と一緒になってロシアの天才を虐殺しようとしている」と(モスクヴィノブ、モルグノワ=ルドニツカヤ著、本田純一訳・編『レーピン』美術出版社)。
 そしてレーピンは、若き日から「人生の偉大な太陽」と仰ぐトルストイの見事な肖像画を発表し、精神界の王者の真実を世に宣揚していったのです。
 晩年のトルストイが、信念の言論ゆえに弾圧され、中傷された時も、レーピンは叫びました。
 ──トルストイは、皆が恐れて言えないことを言ってくれたのである。トルストイは正しい。いずれ、幾百万、幾千万人の人々が、我らの偉大な天才(トルストイ)の声に賛同し、そこに自らの名を連ねるだろう──。
 〈トルストイは生命尊厳と絶対平和主義の理念に立ち、論文「一人たりとも殺すなかれ」「黙ってはいられない」などを発表。革命家らを次々と処刑する政府を非難して死刑の廃止を訴えた。
 これに対して政府は、論文を掲載した新聞を弾圧。トルストイへの中傷が行われた〉
 このレーピンの言葉の通り、トルストイの80歳の誕生日には、その偉業を讃えて世界中から無数の祝賀と感謝が寄せられました。
 ともあれ、正義の師弟ほど強いものはない。
 病弱で、医師から“30歳までしか生きられない”と言われた私も、全世界の知性から祝福をいただき、真心からの同志と後継の青年に囲まれて、まもなく80歳を迎えます。ここに「創価の師弟」の勝利の証しを、厳然と示すことができました。
 どうか、わが青年部も、この私に続いて、一人ももれなく試練を勝ち越えていってほしい。
 試練がない人生など、本当の人生ではない。試練を勝ち越え、乗り越えていく。それが本物の人生です。偉くなる一つの証左なのです。
 そして、50年先の未来へ、人生勝利の堂々たる名画を描いていっていただきたい。そう約束し合いたい。
 約束を破ったら、大変だよ。頼むよ!〈会場から「ハイ!」との元気な返事が〉
11  勇気と強さを
 わが親友のテヘラニアン博士(戸田記念国際平和研究所所長)とも語り合ってきた、13世紀ペルシャの大詩人ルーミーは歌いました。
 「人間を正しい道に手引きするものは苦悩である」「この世ではどんなことにせよ苦労なしに成就するものはない」(井筒俊彦訳『ルーミー語録』岩波書店)
 青春時代に勇んで苦労した者が、勝利者となるのです。男性の皆さん、いいでしょうか!
 また、今は「女性の世紀」ですので、女子部の皆さん、よろしくお願いします!
 33年前、周恩来総理と私の会見を撮影してくださった于広華(う・こうか)先生も、きょうは、本当にようこそお越しくださいました。
 感謝申し上げます。
 人民の大指導者であり、世界中から尊敬されている周恩来総理は、次の言葉を若き友に贈りました。
 「同志にたいしては、春のように温かく、仕事にたいしては夏のように激しく、利己主義にたいしては、秋の風が落葉を吹き散らすようにこれを一掃し、人民の敵にたいしては、冬のように厳しく対処する」(新井宝雄著『周恩来の実践・指導力の秘密』潮出版社)
 これが周総理の心でした。
 正義の青年は、この勇気と強さを持たなければいけない。また、これが私たちの学会精神でもあります。
12  実行で決まる
 私が、第1号の名誉博士号を拝受したのは、モスクワ大学からでした。1975年の5月のことです。
 その記念の講演で、私は、人間と人間の心を結ぶ「精神のシルクロード」を全世界に築きたいとの信念を語りました。
 私は、開かれた生命の対話と、たゆみなき文化の交流によって、この信念の大道を開いてきたつもりです。
 大事なのは「実行」です。その人間が、偉いか偉くないか。それは実行で決まる。
 いくら口がうまくても、立場が上であっても、何も実行しない人間は信用してはならない。逆に、何も言わなくても、また社会的地位がなくとも、正義のために行動する人は偉大なのです。
 動けば、道はできる。語れば、友は生まれる。
 わが愛する大事な青年とともに、一段と人類を結び合う「平和と友情のシルクロード」を、そして「正義と勝利のシルクロード」を、勇敢に、朗らかに、また地道に広げゆくことを決意して、私の謝辞といたします。
 世界を照らすロシア芸術アカデミー、万歳! 未来を照らす、青年の太陽、万歳!
13  最後に、いつも私たちを鼓舞してくれる音楽隊の皆様に、4首の和歌を贈りたい。
  全軍を
    常に鼓舞せむ
      音楽隊
    広宣流布の
      輝く前途を
  晴れ晴れと
    希望と凱歌を
      天までも
    舞いに舞いゆく
      創価の楽雄
  この一年
    我らに勇気を
      贈りたる
    音楽隊の
      凛々しき君たち
  千万の
    我らの心に
      歓喜をば
    与え響かむ
      音楽隊かな
 いつもありがとう! どうか、体を大事にしてください! きょうは長時間、本当にご苦労さま!
 また1年間、大変にありがとうございました。
 来年も、一緒に頑張りましょう! 勝ちましょう!
 ご出席くださった先生方にも、改めて深く御礼を申し上げます。
 それでは皆さん、よいお年を! お会いできなかった同志の皆様に、くれぐれもよろしくお伝えください。

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