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創価栄光の集い 陝西師範大学名誉教授授与式

2007.10.6 スピーチ(聖教新聞2007年下)

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2  「創価教育万代の之碑」の設置を
 創価大学の新しい発展は、いよいよ、これからです。
 太陽の丘にそびえ立つ「新総合体育館」も、土台ができあがりました。再来年2009年の完成を目指して、建設が順調に進んでいます。さらに、学生食堂を備えた大教室棟も新たに建設されます。
 そして、創大の栄光門の近くには、明春、新しく美しい女子寮「創春寮」が完成します。
 いよいよ、この秋からは、桜とイチョウの並木からなる「創大シルクロード」の整備工事も本格的に始まります。
 この創大シルクロードの一角には、「創価教育万代之碑」(仮称)を設置したい。
 この碑の土台には、平和の意義を込めて、世界各国の石も埋納したいと考えております。
 世界中の創価教育の同窓生、さらに、教員、職員の方々のお名前を、万代にわたって、厳然と残して差し上げたい。
 これが創立者の真情です。まず最初に、皆様方に発表させていただきます。
3  さらに将来は、堂々たる「新総合教育棟」も建設します。
 アメリカ創価大学にも2010年には、新しい「講堂」が誕生します。
 また、創価大学に隣接する東京富士美術館も、来年の5月には、明るく大きな「新館」が完成します。
 わが創価の「教育」と「文化」の大城には、一段と、大建設の希望の槌音が響いております。
 私も、いっそう強い決心で、皆様方の成長を祈り、勝利を見守ってまいります。
4  法科大学院が新司法試験で勝利
 先月、最難関である、第2回の新司法試験の結果が発表された。
 わが創価大学の法科大学院は、全国でトップクラスの見事な勝利を飾ることができました。
 きょうは、晴れて合格した英才20人が、昨年の合格者らとともに、出席してくれている。おめでとう!
 新制度となってから、この2年間の通算で、わが創大の合格率は、全国の私立大学で、堂々の第3位である。
 各界からも、驚嘆と絶讃の声が寄せられています。学生に力をつけてくださった先生方、応援してくださった先輩方に、心から、御礼申し上げます。ありがとうございました。
 法科大学院の皆さん、頑張ってください。先輩として、道を開いていただきたい!
5  「人生は、真っすぐに行け!」
 恩師・戸田先生は言われました。
 「人生は、真っすぐに行け!」
 私は、この言葉の通りに進んできました。
 若き皆さんも、道を外れて落ちぶれたり、家族に迷惑をかけたりしては、絶対にいけない。
 教員の方々も、どうか、学生をよろしくお願いします。
 大事な大事な学生の皆さんです。
 「わが子以上に大事にせよ」とは、戸田先生の指導でありました。
 若い人に対して、からかったり、威張ったりしては絶対にいけない。立派になるように祈り、応援していくのです。
6  パイオニア吹奏楽団も、ありがとう!
 皆さんの一番好きな曲は何ですか。
 〈学生の代表が「(創立者作詞の)『滝の詩』です」と返事を。ここで、同吹奏楽団が「滝の詩」を演奏し、会場に感動が広がった〉
 これは、スコットランドの名門・グラスゴー大学のマンロー博士が大好きな詩なのです。
 〈1994年、創立者はグラスゴー大学の名誉博士に。学位授与式の際、マンロー博士は推挙の辞を滝の詩で結んだ〉
 皆さんの見事な演奏の様子を聞かれたら、博士も、きっと喜ぶでしょう! ありがとう!
7  ぜひ対談をと英国の歴史家から
 本年は、イギリスの歴史学者トインビー博士と私が対談を開始して、35周年となります。
 始まりは、博士のほうから送ってくださった、丁重な手紙でありました。
 博士は、どうして私を対談相手に選ばれたのか。
 それは、歴史学者として、仏法についてさらに深く知りたい。仏法を実践しているあなたと会って、日本の現実を知りたい。そして、新しく伸びている青年の組織のリーダーと語り合い、対話を後世に残したい──こういう思いでおられたようであります。
 博士は当時、すでに齢80であり、できればロンドンにおいでいただきたい、という内容の手紙でした。
 対談の際に、困ったのは、私が英語ができないということでした。
 これほど悔やんだことはありません。本当に苦しみました。
 私は、後悔はあまりないけれども、語学だけは後悔している。
 皆さんには、語学を勉強していただきたい。何を聞かれても、パッと言えるように。〈参加している学生から「ハイ!」と元気な返事が〉
 語学を勉強できる環境にいるにもかかわらず、勉強しない。それは、どれほど損なことか。
 創価教育の、語学の先生方にも、くれぐれもよろしくお願いしたい。
 皆が一流の語学力を身につけられるように、上手に教えていただきたい。〈ここで、式典に出席していた語学の教員の代表が皆に紹介された〉
 語学は、これからの世界平和の大きな力です。
 他のことも、もちろん大事であるし、一番の根本は、全体的な知性である。そのうえで、語学には、さらに力を入れていきたい。
 ともあれ、トインビー博士との対談集は、これまで27言語で出版されています。
 中国語版は1985年に発刊。「この20年で、中国に最も大きな影響を与えた100冊」にも選ばれたとうかがっております。
 〈トインビー博士との対談集には、各界から「人類の教科書」「世界の文化の道しるべ」「知性の百科事典」等の声が寄せられている。また創立者の対談集・著作の海外での出版は、まもなく40言語、1,000点に及ぶ。全集はすでに100巻を超え、150巻となる予定である〉
8  軍国主義の非道を忘るな
 戦争中、私の4人の兄は、軍に召集されました。3人は、命からがら復員してきました。
 長兄は、戦地から一度帰国し、また従軍し、そして戦死したのであります。
 帰国したとき、長兄は、「日本軍は、ひどすぎる。あれでは中国の人たちが、あまりにもかわいそうだ」と語っておりました。
 また、あとになって、あんなに偉大な歴史と文化を有する国を、どうして苦しめてしまったのか、悪いことをしてしまったと、猛省する人もいました。
 生意気で、傲慢な日本だった。中国の民衆は、何も悪いことをしていない。中国の文化から多くを習い、日本という国が成り立ったのである。
 それを、戦争で中国の人々を殺して、殺して、殺し抜いて、威張る。そういう人間を称える。これが、軍国日本の姿でありました。
 この日本の軍国主義の非道を、断じて忘れてはならない。
 そしてまた、未来へ向かって、謙虚に歴史に学び、貴国と心から友好を結んでいってこそ、日本は正しい道を歩んでいけるのです。
 このことを私は、ありのままに、率直に言っておきたいのであります。
9  ロシアの大文豪トルストイは、自ら綴った箴言集のなかに、中国の言葉を幾つも織り込んでいます。
 牧口先生も、戸田先生も、中国を大切にしておられました。
 トルストイは、中国の金言を紹介しながら、たとえ学ばない人、理解できない人、全力を注げない人がいたとしても、決して絶望させてはならない。他の人たちの何倍も努力すれば、必ず、その人たちも成し遂げることができる、と強調しています。
 絶え間なく前進せよ!──「この不撓不屈の方針をあくまで貫く人は、たとえどんなに無知でも、いつか必ず賢くなり、どんなに弱い人間でも、いつかは強い人間になることができるのだ」と(北御門二郎訳『文読む月日中』ちくま文庫)。
 味わうべき言葉であります。
 また、中国の温家宝おん・かほう総理は、「いかなる苦難も恐れず、勇んで登攀していけば、必ずや、輝かしい頂点に到達することができる」と、自らの信念を語っておられます。
 どんな苦難にも進んでゆけ! そうすれば 、自分の目的、所願が溝足するところに到達できるんだ! そういう信念を持て! との、力強い精神であります。
 皆、一度しかない人生です。それぞれ、自分の中の宝を生かして、お父さん、お母さんに喜んでもらうことです。
 ご両親を安心させてあげる。そのために学問があるのです。
 言葉遣い一つ、態度一つ、笑顔一つで伝わる。それが親というものだ。
 感謝を込めて言葉を交わす。明るく返事をし、真心の声をかける。そして、父母、弟、妹、隣近所、友人にまで、そういう心で接し、心を結ぶことのできる人になっていただきたい。
10  「自由な精神」を「鋭敏な直感」を
 青年こそ、夜明けを告げる鐘である!──これは、近代中国の大思想家である李大釗り・たいしょう先生の叫びでありました。
 きょうは、秋晴れの清々しき創価大学で、「輝く生命の世紀」の夜明けの鐘を打ち鳴らす、創大祭、そして白鳥祭の開催、本当におめでとう!
 45カ国・地域からの留学生の皆さん方も、それぞれの国の将来の大指導者になるために、尊い努力を重ねておられる。ご苦労さま!
 貴国の大哲人・李先生は、こうも語られました。
 「青年の辞書には『困難』という文字はない。青年の口元には『不可能』という言葉はない。躍進のみを知り、雄飛のみを知り、自身の自由な精神のみを知る。斬新な発想、鋭敏な直感、活発な生命をもって環境を創造し、歴史を制覇する」と。
 この世に、青春の生命ほど、誇り高いものはない。ゆえに、わが創大生よ、わが短大生よ、喜び勇んで、わが人生を快活に前進してください!
 大事なのは、自分自身が強くなることです。そして、希望に燃え、学びに学んでいただきたい。
 私は、戸田先生のもとで、約10年間にわたって万般の学問を学んだ。毎朝のように個人教授を受けました。
 日曜日には、先生のお宅で授業が行われた。朝から晩まで勉強したこともありました。
 休みの日だからといって、遊びに行くことなどできなかった。
 しかし私は、今では先生の厳しき薫陶に心から感謝しています。
 先生が全魂を注いで教えてくださったからこそ、世界の識者と語り合えるほどの実力を養うことができた。そして、全世界を舞台に活動し、皆さまを代表して、多くの知性の栄誉をお受けできるようになったのであります。
 皆さんの模範となるような姿を残したいこれが私の決心です。
11  教育は「最も光り輝く仕事」
 この4月、日本にお迎えした、中国の偉大な人民の指導者である温家宝総理と、私は「青年こそ未来なり」と語り合いました。
 温家宝総理は、つい先日も、教育者を目指す学生たちを励ましながら、こう語っておられます。
 「教育は、人類の最も崇高な聖業である。教育者は、太陽の下において、最も光り輝く仕事である」
 この最も崇高にして、最も光り輝く教育の聖業を厳然と担い立ってこられたのが、ここにお迎えした房喩ぼう・ゆ学長であり、陝西せんせい師範大学の先生方であります。
 私たちは、熱烈に歓迎申し上げましょう!
 真剣に学べ! 人間を鍛えよ
12  ただ今、私は、皆さん方の創立者として、大中国を代表する「教育の大城」より、最高に栄えある名誉教授の称号を賜りました。
 「厚き人徳」「学問の錬磨」「高邁な志」、そして「誠実な行動」という卓越した学風を、わが身に深く体しつつ、妻とともに、名誉ある貴大学の一員とさせていただきます。
 まことにまことに、ありがとうございました。
 貴大学の創立は、新中国の建国の5年前。
 それは、残忍な日本軍の侵略が荒れ狂うなか、7人の教師と268人の学生での出発でありました。
 初代の学長であられた郝耀東せき・ようとう先生は、学生たちに、こう訴えました。
 “正義の人が誹謗され、悪に迎合する者が賞讃される。君たちよ、この狂った人間社会の不条理と戦い給え!”
 学問、そして教育の真髄とは何か。それは、人間の善なる英知を引き出し、社会に正義の勝利の柱を打ち立てていくことであります。
 皆さんは、いずれ社会へと出ていくことでしょう。例えば、会社に入れば、その会社の「勝利の柱」を打ち立てていくことです。立派な会社にするために、貢献していくことだ。
 本当の「人格」と「学問」が一体となった人──その人が、勝利者です。頑張ってください!
13  私は、これまで企業のトップをはじめ、各界を代表する多くの識者とお会いしてきました。
 本当に苦労し、鍛錬を重ねてきた一流の方は、パッと相手の本質を見抜いてしまいます。
 例えば、会釈や歩き方など、学生のちょっとした姿を見ても、「この青年は立派だな、優秀だな」「人格が素晴らしいな」と、すぐにわかってしまう。
 大切なのは、真剣に学び、人間を鍛えていくことです。だれに対しても、誠実と真心で接していくことです。
 創価大学は、まだまだ新しい大学である。だけれども、創価大学の学生は本当に立派だ──そう思われるような皆さんであっていただきたい。
 頼みます!〈会場から「ハイ!」との元気な返事が〉
14  人材こそ資源
 正義の勝利を! 善なる社会を!──。
 この貴・挟西師範大学の魂をたぎらせて、イギリスに留学し、世界の学術界で創造的知性を見事に発揮してこられたのが、ぼう学長です。
 房学長は、そのまま国外に身を置いて、最大に恵まれた待遇で、自由に研究を続けることもできました。
 しかし、それを、あえて、なげうって、自身を育ててくれた愛する母校へ舞い戻り、大中国のため、祖国の人材育成のため、獅子奮迅の戦いを開始されたのです。
 房学長は、こう宣言されました。
 「人材という資源こそ、第一の資源である」
 そしてまた、「人材で勝つことこそ、最大の勝利である」と。
 この学長の透徹した信念に、私も心を打たれました。
 学校も、会社も、国も、全部、人材で決まる。
 一人の人間が真剣に立ち上がれば、そこから、一切が変わるのです。
 家庭においても、皆さんが「真心」で接して、安心させてあげれば、お父さんも、お母さんも変わる。
 環境ではない。自分です。自分が変わればいいのです。
 今年、全中国の1,500万人の教育者を代表して、5人の「模範教師」が選ばれました。
 そのうち、実に2人の「模範教師」が貴大学の誉れの卒業生だったのです。
 房学長も、貴大学も、晴れ晴れと勝ちました!
15  光栄にも、きょうは、ロシアの法華経研究の最高峰であられるヴォロビヨヴァ=デシャトフスカヤ博士(ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部)をはじめ、多くのご来賓の方々がおいでくださいました。ありがとうございます。
 人生の大先輩の皆様方は、あらゆる試練も苦難も勝ち越え、堂々たる勝利の晴れ姿を示してくださっています。
 ロシアといえば、大文豪トルストイが有名です。
 わが恩師の戸田先生は、青年に徹して本を読ませました。会うたびに、「今、何の本を読んでいるか」と鋭く聞かれました。
 私も、何をどこから問われても大丈夫なように、必死で読み、学びました。
 それが今、自身のかけがえのない宝となっています。先生には、いくら感謝してもしきれません。
 また、先ほど申し上げたトインビー博士との対談が終わろうとしていた時のことでした。
 博士は、私に、こう言われました。
 「私は、世界のいくつかの大学から名誉博士を贈られています。あなたは、必ず、私以上に、世界中から名誉博士号を贈られるようになるでしょう」
 若き私への励ましと受けとめましたが、それから約35年を経た今、博士の予見は、現実のものとなりました。
 これが、超一級の“知性の眼”です。
 反対に、嫉妬に曇った“偏見の眼”に真実は見えないものです。
16  大文豪トルストイが『戦争と平和』で論じた勝負の哲学の要諦は何か。
 それは──“戦いは、必ず勝つと決めたほうが勝つ”“勇気のあるほうが勝つ”“粘り強いほうが勝つ”“わが身を惜しまず、猛然と戦い抜いたほうが勝つ”。
 これがトルストイの「勝利の方程式」でした。
 わが創大生、短大生も、断じて、全員が、青春と人生の大勝利者になってもらいたいのです。頼むよ!
17  “だれかが やるだろう”は無責任
 きょうは、うれしいことに、王乃坤おう・ないこん団長をはじめ、「中華全国婦女連合会(婦女連)」の代表の先生方も出席してくださっています。
 私と妻が8回の出会いを重ねさせていただいた鄧穎超先生(=周恩来総理夫人)は、この婦女連の名誉主席でもあられました。
 鄧先生は、18歳のとき、こう叫ばれました。
 「今、私たちが戦わなければ、後に続く姉妹たちも戦えない。戦う人間がいなければ、何千年たっても、女性の権利は実現できない」と。
 “だれかが、やるだろう”“何とか、なるだろう”という、狡賢い要領や、無責任な態度は絶対にあってはならない。
 後に続く後輩たちのために、自分が行動するのだ! 自分が先頭に立つのだ! 道なき道を切り開いていくのだ!
 これが大中国を興隆させてきた魂です。
 そしてまた、わが創価の魂も同じでなければならないと申し上げたいのです。
18  平和と創造のシルクロードを
 挟西省が生んだ著名な作家で、周恩来総理とも交友を結ばれた、柳青りゅう・せい先生は高らかに謳いました。
 「胸には、百の川を納めよ。志は、万の山を越えゆけ。眼は、千年を見つめよ。そして心は、大平原のごとくあれ」
 この壮大な生命の息吹をもって、私たちは、新たな人類の「平和」と「創造」のシルクロードを、明朗に、勇敢に、聡明に開き進んでいきたいと思います。
 結びに、敬愛する貴大学に永遠の栄光あれ! ご列席の皆様方に、健康あれ! 勝利あれ!──と心の底からお祈り申し上げ、私の御礼のスピーチといたします。
 謝謝!(シェシェ=ありがとうございました!)
 中国屈指の師範大学である西安の名門「陝西師範大学」から「名誉教授」称号が創価大学創立者の池田名誉会長と香峯子夫人にそれぞれ授与された。「名誉教授」称号の授与式は6日午後、第37回創大祭、第23回白鳥祭の開幕を告げる「創価栄光の集い」に続いて創大記念講堂(東京・八王子市)で行われ、来日した挟西師範大学の房喩ぼう・ゆ学長一行が出席した。世界から「220番目」となる池田名誉会長の名誉学術称号の受章、そして「10番目」となった香峯子夫人の栄誉を、来賓の中華全国婦女連合会代表団、ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部のヴォロビヨヴァ博士、堺市博物館の角山榮館長、世界からの交換教員らが祝福した。

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