Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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新時代第10回本部幹部会
2007.9.6 スピーチ(聖教新聞2007年下)
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2
戸田大学の栄誉は皆さんのもの
ブラジルから、連絡をいただいた。
それは、パラナ州にあるウニンガ大学が、私に対する名誉教授称号の授与を決定してくださったとの通知である。
ウニンガ大学は、医学、生物化学などの研究、教育で名高い。
この栄誉を私は、ブラジルをはじめ、きょう参加された「生命の世紀」の若き指導者である、世界の青年部の皆さん方と分かち合いたい。
私がいただいた栄誉は皆さんの栄誉である。そうした栄誉を受けられる皆さんになっていく。師弟は不二であるからだ。
仏法の眼でとらえれば、この喜びも、栄光も、皆さんの永遠の生命のなかに入っていく。刻まれていく。そのことを知っていただきたい。
私は、「戸田大学」の卒業生である。
戸田先生の事業の挫折。自身の病苦。当時の社会情勢。さまざまな原因が重なり、私は思うように勉強できなかった。通っていた夜学を断念した。
先生は、「全部、私が教える」と言ってくださった。そして約10年間、ご逝去の前まで、個人教授を続けてくださったのである。あまりにも偉大な師であった。私は感動した。
「戸田大学だよ」──先生の言葉を忘れることはない。
この「戸田大学」に学んだ私が拝受した名誉学術称号は現在「218」。決定通知を含めると「239」になる。
この世界一の栄冠を、私は、わが「池田大学」の若き英才たちに伝え、託していきたい。頼むよ!〈会場から「ハイ!」と力強い返事が〉
自ら正義と信ずるものを広げるとき、「誠意」にかなうものはない。これが世界共通の結論である。「要領」や「巧さ」ではない。「誠意」である。
3
きょうは、世界55の国と地域から、若き広宣流布の指導者がいらっしゃった。
ありがとう! ご苦労さま!
現在、学会本部の周辺をはじめ、各地で新会館の建設を予定している。これからいよいよ、後世への基盤をつくり始める決心である。
そこで、新たな会館の最もいい場所に、きょう海外から参加された方々全員のお名前を、永久に刻み残すことを提案したい。
また海外にも、新たな広布の城を築くため、手を打っている。
「これから」が本番である。「これから」が楽しい。今こそ、新しい伝統を築いてまいりたい。
〈ここで名誉会長は、学生部、未来部の新任のリーダーに対して期待を寄せ、代表が抱負を述べた〉
4
リーダーは敏感であれ
若い皆さんは、来日に際して、経済的にも、さぞかし大変だったに違いない。日蓮大聖人が、尊き皆様方をどれほどほめ讃えておられることか。その功徳は無量である。
大聖人は、遠方から訪れた門下を、だれよりも、何よりも大切にされた。リーダーは、この心を忘れてはならない。
皆が疲れていないかどうか、敏感であることだ。手取り足取り、丁寧に、よき方向に導き、励ましてあげるのだ。これがリーダーの責任である。
大聖人は、求道の人々に仏法を語ることを、喜びとされていた。
「佐渡の国の行者が数多くこちら(身延)まで来られたので、今、日蓮が弘通する法門を説き聞かせました。未来までの仏種になるでしょう。これはみな釈尊の法恩であり、ありがたいことです」(御書1486㌻、通解)
世界の皆さん、ありがとう! 本当によく来てくれました。帰りは、皆で送って差しあげましょう!
〈参加したSGーメンバーが、名誉会長に向かって喜びの声をかけた〉
ありがとう! 本当に偉い方々だ。SGIの皆さんの心には、「感動」がある。それが私はうれしい。
今、大聖人の仏法の真髄を求め、遠い道のりをいとわずに集い合ったのが、若き皆さんである。これほど崇高な旅路はない。
偉大な勝利の人生である。行動である。
ここにこそ、皆さん方の一家眷属が、子孫末代まで隆々と勝ち栄えゆく無限の希望の種がある。
そして、それぞれの国・地域の広宣流布が永遠に前進しゆく、栄光の大発展の種がある。
きょうは、世界広宣流布の第2幕の「大勝利の未来」が始まった。その晴れ晴れとした宣言の、出発の幹部会である。
5
駐日アメリカ大使を務められた、私の友人であるマンスフィールド氏は、長年、アメリカの連邦議会の議員として活躍された。
その氏が生涯大事にした、支持者からの戒めがある。それは、初当選の時、鉱山で働く支持者から受けたアドバイスであった。
「マイク・マンスフィールドのままでいるのがよい」
「町の連中の多くが言っていた。あいつ(=マンスフィールド氏)は普通のやつだ、だからあいつに投票すると。
君がいつもただマイク・マンスフィールドであろうとする限り、君は議員でいられるよ」と(ドン・オーバードーファー著、菱木一美・長賀一哉訳『マイク・マンスフィールド』共同通信社)。
責任ある立場になっても、地に足をつけて、気取らない。威張らない。ありのままに──。この姿勢を、伝統として永く伝えていく努力が、民主主義には必要であると私は思う。
6
「目的を忘れたら腐敗する」
ここで、戸田先生の指導を紹介したい。
特に若い人たちは、戸田先生のことをあまり知らないと思う。だからこそ、先生の話を伝えておきたいのだ。
私は、戸田先生が言われたことは全部、書き残してきた。すべて、先生が言われた通りに行動した。
先生は「私は、本当にいい弟子をもった」と最高に満足しておられた。
私がいなかったら、戸田先生はない。また、戸田先生がいなかったら、牧口先生もない。これが本当の師弟である。
戸田先生は、それはそれは厳格だった。悪に対する怒りは、すさまじいものがあった。
先生は言われていた。
「邪な坊主こそ、最高の幸福たる成仏を阻む大悪人である」
まさしく、今の邪宗門は、その典型である(賛同の大拍手)。
戸田先生は、悪い坊主の本質を、鋭く見破っておられた。
先生は、述べておられた。
「なぜ宗門の堕落が始まり、腐敗していくのか。それは、広宣流布という至上の目的に生きることを忘れているからなのだ」
その通りだ(会場から賛同の大拍手)。
さらに、先生の指導を紹介したい。
「多くの坊主が考えていることは、保身であり、私利私欲をいかに満たすかだ。つまり、欲望の虜となり、畜生の心に堕してしまっているのだ」
「断じて坊主の家来になるな! 陰険な宗門に左右されるな!」
「宗門が金を持てば、必ず信徒をいじめるぞ」
「宗門は、神秘性とか荘厳性とか、深遠そうなイメージで、信徒に頭を下げさせるシステムになっているのだ」
また、こう厳しく述べておられた。
「坊主の仕事は本来、衆生を成仏させることだ。しかし、一体、自分自身が成仏できるかを考えたことがあるのか!」
7
「恩知らずから堕落が始まる」
先生は、当時からこう戒めておられた。
「坊主には絶対にだまされるな。日蓮正宗も同じだぞ。御本尊と御書以外は信じてはいけない」
その上で、広宣流布の大精神に立って、宗門を最大に外護された。
先生の後を継いだ私も、宗門の発展のために力を尽くした。
私の時代に行った御供養だけでも、どれほど莫大なものになるか。“これほど尽くした人間は、いない”というほど、さまざまな形で尽くし抜いた。
このことは、御本尊の前で明確に言い残しておきたい。
さらに、先生の指導を紹介したい。
「広宣流布の大闘争に、少しなりとも邪魔だてする坊主があれば、青年は決起して鉄槌を加えよ」
「宗門は、金がたまれば、必ず威張り、贅沢をする。それどころか、広宣流布を断行しゆく正義の団体である学会に嫉妬し、敵対してくるだろう」
まさにその通りになった。御供養を取るだけ取って、日蓮大聖人に違背した邪宗門の罪は、あまりにも大きい。
戸田先生は、本当に鋭かった。
私は、これまで世界の多くの学者と語り合ってきた。しかし先生は、どんな学者にも増して鋭かった。偉大だった。天才的な指導者であった。
また、先生はこう述べておられた。
「宗門は、学会から離れるならば、大聖人の正義を踏みにじった、謗法の宗でしかなくなってしまう」
「恩知らずの坊主ども、不知恩の元政治家ども、そして元幹部どもなどに、この崇高な学会を乱されてたまるものか!」
「会員が喜び、希望に燃えるように、指導できる幹部になれ!」
「恩知らずから、魔が動く。恩知らずから、堕落は始まる。恩知らずから、畜生になる」
すべて、後世のために伝え残しておきたい。
8
世界に貢献する人材をさらに!
今秋の11月18日、わが創価学園は、創立40周年の大きな佳節を迎える。
創価学園が、いかに素晴らしい人材を育成しているか──。
多くの教育関係者や各界の識者から、「日本一の名門校」「世界的な理想の学園」など、数々のおほめの言葉をいただいていることは、うれしい限りである。
創価学園に来校された世界の来賓は、東京・関西あわせて、じつに64カ国・地域、4,500人を数える。
アメリカの教育哲学の光源である南イリノイ大学カーボンンデール校「デューイ研究センター」のヒックマン所長は、東西の学園を訪問され、こう語っておられた。
「生徒の質問や応答は」“一流”でした。この学園は、世界の学校の模範となるでしょう」「デューイがこの学園を見たら、どれほど喜ばれたことか」
また、ケニア作家協会のインダンガシ会長は、「この世界のなかには多くの学校がありますが、これほど偉大な思想をもつ学園で学べる生徒はいないと申し上げたい」と讃嘆してくださった。
本当に光栄であり、うれしい声である。
ロシアの宇宙飛行士のセレブロフ博士は語っておられた。
「創価学園を訪間して、私は初めて宇宙に飛び立ったときのような感激を覚えました」「こんな素晴らしい生徒は、世界のどこにもいません」
きょうは、学園出身の方はいらっしゃるだろうか?〈会場から「ハイ!」と多くの返事が〉
これが、皆さん方の母校への世界からの評価である。
私が対談した、アメリカ実践哲学協会のマリノフ会長も、学園生との出会いを、こう振り返っておられる。
「情熱を感じました。精神を感じました。希望を感じました。高い水準を感じました。“この人たちだ。この人たちになら世界の運命をまかせられる”──本当にそう思ったのです」
私は、創立者として、学園から世界に貢献する人材を育成していくのだという強い決意をもって、全力を注いできた。
「教育」こそ、私の最後の事業であるからだ。
教職員の皆さんも、本当によく頑張ってくださっている。
しかし、「勝って兜の緒を締めよ」である。
こうした期待の声に、いっそう応えられるよう、「人間教育の世紀」の模範の学府の建設へ、これからも一段と力を入れてまいりたい。
〈ブラジル哲学アカデミーのモデルノ総裁は、関西創価学園を訪れ、こう述べている。
「出発点が大事です。学園が人材を輩出し続けているのは、創立者が偉大であるからです。池田会長の人間的な深い愛情があるから、偉大な人物が出るのです!」〉
9
卒業生の活躍
わが学園は、卒業生も東西あわせて24,000人に及び、日本中、世界中で、活躍を繰り広げている。ここで、その一端を紹介したい。
まず、博士号取得者は228人。小学・中学・高校の教員は1,100人を超え、多くの校長も誕生している。
医師は260人以上。司法試験合格者は95人。公認会計士は110人である。〈国会議員は11人。この点について、東京の創価高校が慶応・麻布と並ぶ“御三家”としても紹介され、学園出身の大臣も誕生した〉
皆、本当に優秀だ。
また、アメリカ創価大学(SUA)初代学長の羽吹好史君、創価大学理事長の田代康則君は創価高校の1期生である。
創価学会の理事長となった正木正明君は3期生であり、ドクター部長の酒井英樹君は2期生である。
きょう、出席されている、海外のリーダーのなかにも、学園出身者の姿が見られる。本当にうれしい!
10
創価学園の創立は、牧口先生、戸田先生の悲願であった。
私は、毎年、学園の創立記念日の「11・18」を迎えるたびに、両先生に、大発展の様子を報告してきた。
この学園が原点となって、創価大学、そしてアメリカ創価大学、さらに海外の創価幼稚園なども、発展してきている。
アメリカ創大を卒業した学園生は、世界第一級の大学院にも雄飛している。〈米ハーバード大学、エール大学、英オックスフォード大学、ケンブリッジ大学など〉
わが創価は、教育で勝った! 人材で勝った! これからも、世界平和のために「人材の大城」を永遠に栄えさせていきたい。
学園の教職員の皆さん、どうか、よろしく頼みます!
11
生命尊厳の大哲学を!
今年は、戸田先生の「原水爆禁止宣言」から50周年である。〈1957年9月8日、横浜・三ツ沢の競技場で発表〉
今、この宣言の精神を、一段と世界へ広めていくため、記念の平和行事が世界各地で行われている。
すでに、ニュージーランドの国会議事堂やマレーシアでは、核兵器の廃絶を目指した展示会が、SGIが中心となって開催された。
さらに8日を中心に、次のような行事が行われる。
まず、ニューヨークでは、市民平和フォーラムとともに、SGIが制作した新展示である「核兵器廃絶への挑戦と人間精神の変革」展が開かれる。
これらの会場となるクーパー・ユニオン大学は、あのリンカーン大統領が、奴隷制を糾弾する演説を行った、歴史的な場所である。
また、サンフランシスコでは、戸田記念国際平和研究所が核時代平和財団とともに「核兵器廃絶への挑戦」をテーマに国際会議を開催。
「原水爆禁止宣言」の原点の天地・神奈川では、世界55カ国・地域の若き創価のリーダーが集っての「SGI世界青年平和会議」である。
神奈川の同志の皆さん! 大勝利、おめでとう!
東京では、日本の婦人部が「母と子のための平和の文化フォーラム」。来賓として、歌手のアグネス・チャンさんも参加される。
創価大学では記念のシンポジウム、そして広島では「総広島青年部大会」が行われる。
世界中へ、生命尊厳の大哲学を広げてまいりたい。
12
希望の大陸
きょうは、「希望の大陸」アフリカからも、若き尊きリーダーが参加されている。
よくおいでくださった。ありがとう! うれしいです!
私は、多くのアフリカの指導者の方々と、深い交友を結んできた。
そのお一人であるタンザニア連合共和国のムカパ大統領(当時)は、聖教新聞本社で、こうスピーチしてくださった。〈1998年12月〉
「池田博士は、1960年10月に、他の多くの人に先駆けて、アフリカの発展を展望されました」
「当時、その信念を批判する人もいましたが、今まさに、アフリカの行く手には光が見えてきました!」
そして、こうも語ってくださった。
「今こそ世界は、もっと多くの“池田大作氏”を必要としていると信じます」
光栄にも、世界のリーダーが、幾多の「池田大作」青年よ、出でよ! と期待してくださっている。
私個人のことであり、大変に恐縮であるが、アフリカの皆さんに敬意をこめ、そして、わが愛する青年部の諸君に期待をこめて、紹介させていただいた。
〈ムカパ大統領は、こうも語っている。
「池田博士は、正義と真理のために戦っておられる。その真理は月のごとく輝いています。真理は最後には悪に打ち勝ち、人々を結び付け、自由にするのです」〉
13
一人立つ人に信頼は集まる
私は、世界中の国家指導者と、友誼の語らいを広げてきた。
フィリピンでは、ラモス元大統領と、これまで5度にわたり会見してきた。
元大統領は、次のように語っておられた。
「私たちは民主社会に生きています。
この民主社会においては、大統領、総理大臣そして国王や女王などの重要な立場の人よりも、もっと重要な立場の人がいます。
それは一般民衆です。
民主国家ですから、主権は一市民にあるのです」
また、世界的な政治リーダーであるゴルバチョフ元ソ連大統領とは、9度会見してきた。いずれも、忘れ得ぬ出会いである。
〈ラモス元大統領は、こうも語っている。
「池田博士は、精力的な行動者であり、フィリピンの友人であり、『世界平和のチャンピオン』であられます」
「池田博士という“模範”によって、多くの人々が心を動かされ、博士の“模範”に続きゆくことを、私たちは期待しようではありませんか!」
また、ゴルバチョフ元大統領は、次のように語っている。
「池田会長との出会いは、一回一回が“驚き”です。会長の情熱に、その生き方に、本当に感銘します。
このような人物と友情を結ぶことができた運命に私は感謝したい」
「私も人の評価がどうであろうが、かまいません。それよりも、池田会長とともに仕事をすることができれば、それでいいと思っています」
「お会いするたびに、会長の心の深さと言葉の高みに感動するのです」〉
イギリスのサッチャー首相とは、2度お会いした。
首相は述べておられる。
「お高く止まっている(傲慢に人を見下した態度をとる=編集部注)人は、他を排除します。そのような態度は政治の場で、有効ではありません。なぜなら、政治というものは、よりよい生活ができるように、人びとを手助けすることにあると思うからです」(ケネス・ハリス著、大空博訳『マーガレット・サッチャー』読売新聞社)
また、中国の周恩来総理とは、1974年12月5日、北京で会見した。
当時、周総理は病床に伏しておられた。医者からも、会見を止められていたそうだ。そのなかで、総理は、無理を押して、私と会ってくださった。
〈周総理の夫人・
鄧穎超
とう・えいちょう
女史は、このときのことを述懐している。「恩来同志は言いました。『池田会長には、どんなことがあっても会わねばならない』と」〉
社会の指導者にとって最も大切なことは何か──この点について、周総理は語っておられる。
それは、「革命的な熱意をもち、覇気にみち、意気ごみに燃えることである」と(中共中央文献編集委員会編・中共中央ML著作編訳局訳『周恩来選集(1949年〜1975年)』外文出版社)。
その通りである。
真剣に、そして真面目に働くリーダーにこそ、人々は信頼を寄せる。
指導者が“人を動かそう”“何かを人にやらせよう”というような、人まかせの無責任な態度であれば、人々の心は離れていく。
まずリーダーが一人立つ。一心不乱に働く。友に尽くし抜く。
そこにこそ、新時代の指導者像がある。
14
戸田先生の慧眼
先ほども申し上げたが、戸田先生は、かねてから、宗門に巣くう悪の本質を鋭く見抜かれていた。
戦後、学会が宗門とは別個の宗教法人になったのも、戸田先生の英断であられた。〈学会の宗教法人の設立に強く反対したのが日顕であった〉
ゆえに、いくら日顕宗が、一方的に“学会を切る”などと騒いでも、学会はもとより独立した宗教法人である。何の社会的な影響力もない。
反対に、邪宗教と化した宗門は、大聖人から破門され、愚かにも衰亡の坂を転げ落ちていったのである。
戸田先生の打たれた手はすごかった。きちっと学会は守られてきた。
この仏意仏勅の学会を絶対に甘く見たり、軽く見てはいけない。
15
励ましの声を!
学会のリーダーには、見栄や格好はいらない。ありのままの裸の人間として、どれだけ動き、どれだけ語り、皆の心に入ったか。戦いの結果を残したか。それが大事である。
「声仏事を為す」である。
いい声、変な声、ドラ声──声もさまざまである。
抑揚のない単調な声の人もいれば、まるで悟りを得たかのような澄ました声の人もいる。
リ一ダーならば、真剣な祈りを込めた「温かな声」「励ましの声」「正義と真実の声」を友の心に響かせていくのだ。
ツンとした冷たい感じでなく、頭を低くして、皆にうんとよくしてあげるのだ。
皆が喜んで、「こんなところにまで」と感嘆するくらい、こまやかに気を配っていくのである。
人間なのだから、人間の中に入っていくのだ。同じ人間として、皆と平等にスクラム組んで進んでいくのだ。
一人が尊い。一人を大切に──これが学会精神である。仏法の智慧は、民主主義の根幹を成しているのである。
16
中国人民の父であった周総理は、本当の政治家の精神を持っておられた。幹部の中に官僚主義がはびこる危険についても鋭く警鐘を鳴らされた。
「経歴を鼻にかけて、いばりちらす。さかんに飲み食いして、つらい仕事を嫌がり、物見遊山に明け暮れて、実地調査はいい加減にすませる」「これは堕落、変質した官僚主義である」(前掲『周恩来選集』)
権力者が偉いのか。断じて違う。権力者は民衆に仕える公僕である。
いわんや、学会のおかげで偉くなったにもかかわらず、地位や名誉に驕り、身は堕落して、一家一族のために、また私利私欲のために学会を利用する──こうした輩が出たならば、絶対に許してはいけない。その増上慢の命を厳しく責め抜いて、叩き切っていくのだ。
17
弟子の戦いをただ事でないと
ここで御書を拝したい。
大聖人の御在世、最愛の子どもを失うという悲しみを乗り越え、懸命に信仰を貫いていた夫妻がいた。この夫妻を大聖人は、最大に讃えられた。
「あなた方は、人々が皆、憎んでいる日蓮のことをふびんと思われて、このように、はるばると、山の中まで種々のものを送ってくださいました。それも、一度や二度のことではありません。これは、ただごとではない。ひとえに、釈迦仏が、あなた方の身に入り替わられたのでしょうか」(御書1397㌻、通解)
大聖人は、門下の信心の素晴らしさを、また、師匠を守る「弟子の戦い」を、「ただごとではない」と讃嘆しておられる。よくよく銘記したい御文である。
戸田先生は叫ばれた。
「一番大事なのは、弟子である」
このとき、その場にいた者は、皆、シーンとして厳粛な空気が流れた。
さらに先生は言われた。
「弟子で未来が決定する。弟子が偉いから、師匠が仰がれるのだ」
先生の一番の急所の指導であった。
これが人生の真髄である。これが仏法の真髄である。
この戸田先生の師子吼を、私は、わが青年部に、そのまま贈り託したい。
18
「師匠」と「弟子」という仏法の厳粛な関係を明快にし、教えたのが創価学会である。師弟が仏法の縮図である。
慢心の人間には、この師弟が分からない。ゆえに、仏法が分からない。
どれほど、私が、戸田先生にお仕えしたか。
私は、もともと肺を患い、体が弱かった。
それを心配され、戸田先生は、「私の命を代わりにあげたい」と言ってくださった。
そして、私の義理の父母もいる前で、「大作は、30まで生きられないだろう。残念だ。私を助けて、働きすぎた。学会のために、苦しめてしまった。申し訳ない」と落涙された。そういう師弟であったのである。
19
牢獄までも共に
牧口先生と戸田先生の師弟は、ともに牢獄に入られた。
〈戦時中の1943年(昭和18年)7月6日、牧口先生と戸田先生は、軍部権力によって逮捕された。治安維持法違反と不敬罪の容疑であった。この弾圧によって、学会幹部21人が逮捕されたが、最後まで正義を貫いたのは、牧口先生と戸田先生だけであった。牧口先生は、昭和19年の11月18日、東京拘置所の病監で逝去された〉
生きて牢獄を出られた戸田先生は、牧口先生の3回忌に、「あなたの慈悲の広大無辺は、わたくしを牢獄まで連れていってくださいました」とおっしゃった。
これが創価学会の師弟である。
この師弟の「生命の結合」があるかぎり、創価学会は永遠に盤石である。なくなってしまえば、ばらばらの烏合の衆となってしまう。
師弟こそ仏法の根幹の法則である。師弟こそ学会の魂なのである。
「学会には正しい御本尊、正しい信仰、正しい指導が揃っている」 日淳上人
20
本門の弟子よ立ち上がれ!
ご存じのように、法華経の「本門」には、「迹門」とは一変した「師弟の世界」が展開されている。それは、久遠の弟子である地涌の菩薩の登場で始まる。
本門の涌出品第15においては、地涌の菩薩の代表である四菩薩が、師の釈尊に対して、「世尊が、今、救おうとされている者たちは、たやすく導くことができるでしょうか。世尊を疲れさせてはいないでしょうか」等とお聞きしている。
一心に師を思い、師を案ずる地涌の菩薩の姿が描かれているのである。
「師匠をお守りする」
「師匠とともに戦う」
「師匠のために勝つ」──この一念の祈りと戦いに徹しゆくときに、仏に等しい力が湧き出ずるのだ。
それを履き違えて、師弟を疎かにするならば、学会精神が蝕まれ、信心が蝕まれていくのである。「
師弟相違せばなに事も成べからず
」と仰せの通りだ。
21
私の青春の誉れは何か──。
それは、広宣流布の師匠である戸田城聖先生が、事業に失敗され、学会の理事長も辞任され、一番苦境にあられたときに、ただ一人、お守りしたことである。
そして、どんなことがあっても戸田先生に第二代会長になっていただくと心に決め、その通りに、敢然と第二代会長就任の道を開いたことである。
自分のことになってしまうが、後世のためにあえて明快に申し上げておきたい。
22
日淳上人は、かつて、こうおっしゃった。
「(学会には)良き信仰、正しい御本尊に正しい信仰、正しい指導、この三つが揃うておりまする」〈創価学会第15回総会講演〉
思えば、60年前の8月24日、私が入信した当時の寺院で住職をされていたのが日淳上人であられた。
「おめでとうございます」と心温まる祝福をいただいたこともよく覚えている。
ただし、そのときの長い勤行・唱題には、ほとほとまいった。
前もって教えてくれる人もいなかった。だまされたかと思った。
ともあれ、私にとっては、戸田先生がいらっしゃるというだけでよかったのだ。以来、私は戸田先生とともに師弟の道を歩み抜いてきた。
また、かつて日昇上人と御宝蔵で勤行をご一緒させていただいたことがあった。
勤行が終わった後、私の方をぱっと向かれて、「勤行の声が、とてもきれいですね」とほめてくださった。
日昇上人も、日淳上人も、学会を深く理解された大変に立派な人格の方であられた。僧俗和合を願う法主の本当の姿であられた。
23
無限の力を開放する仏法の法理
私が創立した「ボストン21世紀センター」の学術書は、これまで、世界の大学の400以上の講座で、教材として活用されてきた。
センターが新たに編さんした学術書『教育の道徳的ビジョン──実践の哲学』も反響が大きい。
〈同書は本年、アメリカを代表する教育出版機関、コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ出版局から発刊され、名誉会長が序文を寄せた〉
アメリカのジョン・デューイ協会の会長である、ジム・ガリソン博士も、深い共感を寄せてくださっている。
博士は、今春、銃乱射事件で33人もの命が奪われたバージニア工科大学の教授である。
博士は、真摯に、そして誠実に、教育に新たな力を与える哲学を探究し、実践しておられる。だからこそ、“人間には無限の可能性がある”と論じた私の序文に、確かな希望の光を感じ取ってくださったようだ。
24
博士はその後、学会の思想の源流を探ろうと、法華経を読破された。そして、感想をこう語っておられた。
「法華経は、実に力強い経典です。とくに、8歳の竜女の成仏は、すべてを変えてしまう力を持っています。そこでは、性別や年齢など、あらゆる差別が、克服されています。
私たち一人一人が、例外なく仏性という無限の力を持っている。そして、それは、どこか他のところではなく、今いる場所で、瞬時に開放していくことができる──。
この仏法の法理が、SGIにとって、どれほど重要な意味をもつか、私にはよくわかります」
深いご理解に感謝したい。
「苦難の体験なしに 人間は成長しうるだろうか」 トインビー博士
25
信仰でこそ魂は目覚める
ここで、世界の哲人の言葉を贈りたい。
イギリスの詩人バイロンは叫んだ。
「わが魂よ、めざめよ! 思ってもみよ、『何びと』を経て わが生命の血が、その源の泉から流れてきたかと そして、ましぐらにその源へもどれよ」(阿部知二訳『バイロン詩集』小沢書店)
目覚めよ! 源へもどれよ──詩人は劇のごとき人生の最後に謳った。
究極的には、信仰でしか、魂は目覚めない。
大いなる魂の源──それこそ、仏法なのである。
古代ローマの哲学者ポエティウスは綴った。
「お前たちは何故お前たちの内にある幸福をお前たちの外に求めるのか」(畠中尚志訳『哲学の慰め』岩波書店)
まさに仏法に通ずる。賢者の言葉には、真実の智慧が含まれている。
そして、イギリスの大歴史家トインビー博士は言った。
「人間が精神的に成長するためには、ある程度の苦難の経験が必要なのではあるまいか。そういう苦難の体験なしに、人間は果して成長しうるだろうか」(黒沢英二訳『現代人の疑問』毎日新聞社)
その通りだ。苦難の体験なくして人間の成長はない。勝利はない。
悩みや迷いと戦うからこそ、自身の境涯を大きく広げられる。「煩悩即菩提」である。喜び勇んで、頑張ろう!
大聖人の仏法を学び、幸福の哲理を人々に広げゆく私たちは、世界一の哲学者なのである。尊き仏の集いなのだ。
私たちは、この無上の誇りに満ちあふれ、朗らかに、勝利の歌声を響かせていこうではないか。
〈ここで名誉会長の提案により、「滝の詩」の合唱が紹介され、皆で歌った。
「滝の如く 激しく
滝の如く 撓まず
滝の如く 恐れず
滝の如く 朗らかに
滝の如く 堂々と
男は 王者の風格を持て」〉
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長時間ありがとう! 力強く、朗らかに、悠々と人生を歩んでいってください。
今、お金があってもなくても、長い人生から見れば、大したことではない。この信心を貫くならば、最後に幸福になることは、絶対に間違いない。
全員が勝利者になることが、広宣流布なのだ。
とくに海外の皆様、遠いところ、本当にご苦労さま! 心から感謝します。
お幸せに! ありがとう!
1
2
26