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創価大学第33回・創価女子短大第21回…  

2007.3.20 スピーチ(聖教新聞2007年上)

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2  必要なのは勇気
 きら星のごとく人材が輝く、希望の天地・ベネズエラ──。
 この地にあって、19世紀の歴史学者アリスティデス・ロハス先生は叫びました。私の胸に刺さった一節です。
 「幸運を見出し、苦労を実らせるためには、勇気が必要である」と。
 約束を守る。これも勇気です。だらしなく、約束も守れないのは、勇気がないのです。卑怯です。
 きょうは、南米大陸に王冠のごとく、そびえ光るベネズエラ共和国から、「勇敢なる魂」の大指導者の先生方をお迎えすることができました。
 これ以上の光栄はありません。ありがとうございます。
3  世界の最高峰の知性が見守る誇り高き卒業式、本当におめでとう!
 愛する卒業生に、祝福の句を贈りたい。
  卒業生
    讃えて見つめむ
      今朝の富士
  
  卒業生
    合掌しながら
      富士の山
  
  厳然と
    また悠然と
      不二の山
  
  厳として
    君を讃えむ
      富士の山
  
  微笑して
    君の成長
      祈るらむ
 また留学生の皆様も、重ねて、おめでとうと申し上げたい。大切な大切な留学生の友に贈ります。
  留学生
    君の胸にも
      富士光る
  
  留学生
    何処へ帰るも
      胸に富士
  
  嵐にも
    不動の富士と
      勝利せむ
4  第2の草創期を立派に建設
 本日の卒業生の皆さん方は、“第2の草創期”の偉大な伝統を立派に建設してくれました。ありがとう!
 今や、わが創価大学の実力は、経済誌の調査でも、東大、阪大などに次いで第5位。
 私立大学では、慶応などに次いで堂々、第3位に評価されています。〈「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)の2006年10月14日号の特集「日本の大学トップ100」で〉
 また、就職活動でも、素晴らしい実績をつくってくれました。
 通信教育の皆さん方も、おめでとう!
 さらに、16カ国・地域からの留学生の皆さん!
 皆、本当によく頑張った。健闘を讃えたい!
 卒業生の皆さんのなかには、多くの大学があるなかで、また有名な大学に合格したにもかかわらず、自ら勇んで創価大学に来てくれた人がいることも、よくうかがっています。これほど、ありがたいことはありません。
 そして、わがアメリカ創価大学の3期生の皆さん、栄光の門出、おめでとう!
5  きょうのお祝いとして、卒業生全員と、皆さんの大事なお父さん、お母さん方のお名前を、ルネサンスの“花の都”フィレンツェにある、イタリア文化会館に永久に残させていただきたい。
 この館の淵源は、約1900年前、古代ローマの時代にまでさかのぼります。
 そして、ルネサンスの最大の後援者「メディチ家」のゆかりの人々も住んだ景勝の地です。
 私の友人であるゴルバチョフ元ソ連大統領も来館し、わがイタリアの友と有意義な交流を結んでこられました。
 この「歴史」と「文化」の館に、皆さん方とご両親のお名前を、私は永久に留めていくことをお約束します。
 お父さん、お母さんに、よろしくお伝えください。
 いつの日か、ご両親をお連れして、楽しく見学してください。さらに、世界の憧れの大自然の宝庫ベネズエラにも、案内していただきたい。どうか、親孝行をお願いします。
 皆さんのご両親に、“わが子を創価大学、創価女子短期大学に行かせて本当に良かった、立派になった、苦労してきた甲斐があった”と思っていただくことが創立者である私の願いです。
 さらにまた、同じ親子として生きるならば、心の通わない、冷たい関係ではつまらない。炎が燃え上がるくらい感動があり、喜びがあり、生命と生命が相通ずる親子であっていただきたい。卒業生の皆さん、よろしく頼みます!
6  ローマの誓い
 それは、およそ200前の歴史の劇であります。「永遠の都」ローマを一望する丘に、一組の師弟が立ちました。
 師匠は、ベネズエラの大教育者シモン・ロドリゲス先生。若き弟子は、ベネズエラが生んだ大英雄シモン・ボリバルであります。
 この時、ボリバルは22歳。まさに、今の皆さんと同じ年代でした。
 愛する祖国は、非道な植民地支配に蹂躙され、民衆の苦しみは、あまりにも深かった。
 師匠は弟子に命じました。
 「イスパノアメリカ(=中南米のスペイン語圏諸国)を解放するときが到来した。君はそれをしなければならない」
 「弟子よ、戦え!」──この師匠の厳命に、ボリバルは応えた。
 「私は誓います。スペインの権力によって私たちがつながれている鎖を断つまで、私の腕に休息を、私の心に安らぎを与えないことを」
 〈『シモン・ボリーバル』神代修著、行路社刊から〉
 まさしく、このベネズエラの師弟の誓願の通りに、人類史に輝きわたる南米の解放が勝ち取られていったことは、ご存じの通りです。
 師匠は、愛弟子のボリバルに語りかけた。
 「私の構想を実現するためには、君の存在が不可欠である。そして君の構想を実現するためにも、私が不可欠なのである」
7  師弟に生き抜け
 生命の無限の力を解き放ち、大いなる理想を実現せしめゆく源泉こそ、師弟の結合である。
 師弟で決まるのです。諸君の未来も。人類の歴史も。
 師弟は、人間を最も強くする。師弟は、人間にとって最も尊いものである。師弟こそ、人生勝利の最極の力なのです。
 60年前に出会った戸田先生と私もそうでした。
 そしてまた、創立者である私と皆さん方も、同じであると申し上げたい。
 私は、諸君に勝ってもらいたい。
 私の人生は勝ちました。
 軍国主義の権力に囚われ、獄死された牧口常三郎先生。弟子の戸田先生は、その仇を討った。ありとあらゆる苦難を背負って戦われた。
 私は、戸田先生を助けた。命をかけて師匠をお守りした。そして、お二人が築かれた創価の城を、大きく、世界的なものにした。これが弟子の道です。
 皆さんも、どうせ同じ一生を生きるならば、この「師弟」という大事な一点を忘れないで、戦い、そして勝ってもらいたい。それが「創価」の証しであります。
8  神聖な栄誉
 さて、貴国の大英雄ボリバルが最大に重視した事業は何か。それは「教育」でありました。
 そして、この教育への大情熱を完壁に継承された英知の大殿堂こそ、貴国の栄光の未来を担い立つ両大学であられる。
 そうした深き歴史と使命を、私は、両大学のご夫妻のお姿のなかに、実感したのです。
 ただ今、私は、両大学より、最高に意義深き栄誉を、わが卒業生と共々に、謹んで拝受いたしました。
 妻も、この喜びを、敬愛するサラス理事長はじめ、貴国の女性の同志の皆さま方、さらにまた、わが創価の女子学生の皆さま方と、深く共有させていただきたいと申しております。
 まことにまことに、ありがとうございました。
 貴国の大歴史家ロハス先生は、真実と探求に基づく評価にこそ価値があると、鋭く喝破しました。
 その通りであります。
 そして、その象徴が、知性の最高の権威たる大学から授与される、名誉学術称号なのです。
 わが創価大学においても名誉学術称号は、授与規程に則って、推薦委員会、そして教学審議会の審議を経て、決定・授与されます。
 名誉学術称号とは、かくも厳正に、かくも神聖に、その大学の威信をかけて贈られる栄誉なのです。
 なかんずく、本来、その大学を訪問してお受けすることが、当然の国際儀礼であり、今回のように、海外へお持ちいただくことは特例です。
 貴国の教育者ロドリゲス先生が言う通り「人間としての第一の美徳は、感謝する心」です。
 私は両大学の先生方に、心から感謝申し上げます。
 その格別のご厚情に、私と妻は、一生涯、ご恩返しを果たしゆくことを、深く決意しております。
9  「恐れなき栄光の女性たちを見よ」
 ここにお迎えした、サンタマリア大学のペニャ副総長は、高らかに宣言されました。
 「私たちは人間が本来、有する自由や権利を取り戻すためならば、いかなる戦いもせねばならない。それこそ教育の果たす使命である」
 全く正しいと思います。
 私も政治権力からの教育権の独立、また教育国連のビジョンを、一貫して主張してまいりました。
 貴国で最初に創立された私立大学である貴大学のモットーは「卓越性への挑戦」です。
 それは、正義の大法学者であられる副総長ご自身が体現してこられたように、「苦しんでいる人々を守り抜くための卓越した力」を磨くことであります。
 貴国に滔々と流れる「人間主義」の精神に基づいた、素晴らしいモットーであると思います。
 貴大学の崇高な創立者であるロラ・デ・フエンマヨル博士も、素晴らしい人間愛の女性教育者であられました。
 私は、男性だけの時代は完全に終わった、これからは「女性の時代」であると信じる一人です。
 貴国においては、あの解放の戦いの中で、身重の体で投獄されながら、絶対に同志を裏切らなかった信念の女性も有名です。
 解放の父ボリバルも、“恐れなく戦う、わが国の栄光の女性たちを見よ”と叫んだ。
 まことに、貴国には、尊貴にして勇敢な女性が光っておられます。
10  “痛みのわかる人間よ育て”
 さて、ラファエル・ベジョソ・チャシン大学が、その名に冠しておられる学長の父君は、多くの母や子らの命を救ってこられた慈悲の名医であられます。国会議員やベネズエラ赤十字の会長などの重責も、気高く果たしてこられました。
 この父君の志を胸に抱いて、ベジョソ学長が人生を捧げて創立されたのが、貴大学であります。
 自らも「医学」「教授法」「教育学」と3つの博士号を取得された学長は、人間教育にかける信条を、こう述べられております。
 「学生たちが、隣人の痛みや苦しみに鋭敏になれるような感受性を養う教育を実現していくべきである。それこそが未来に寄与するからだ」
 私も、心から賛同いたします。
 貴大学のモットーは、「智慧は人間の特権である」と結論されています。
 「知識」よりも「智慧」の大切さに着目しておられる。仏法にも通じる見方です。智慧こそ勝利の力です。
 私は、両大学が掲げられる民衆の幸福のための「智慧」と「卓越性」にこそ、21世紀の大学の要件があると思えてなりません。
 わが創大も、アメリカ創大も、ともに、この道を力強く歩んできたし、これからも歩んでいただきたい。
11  苦悩を越えて価値の創造を
 なお、ベネズエラの国の花は、花の王者と謳われる蘭であります。
 じつは貴国の蘭協会には、私の名前のカトレア(蘭の一種)が正式に登録されております。
 ありがたいことに、この地で活躍するご姉弟が、丹精して育て上げた最高のカトレアの花に、“人生の師匠への最大の感謝を込めて”と、私の名前をつけてくださったのであります。
 この「ダイサク・イケダ・カトレア」は、2004年、貴国で行われた全国蘭コンテストで、見事、「ベネズエラ最優秀カトレア」に選出されました。
 先日は、シンガポールで、妻の名前を冠していただいた“香峯子蘭”(デンドロビューム・カネコ・イケダ)の命名式が盛大に行われました。
 “香峯子蘭”と“大作カトレア”、これも皆さんが全世界に「友情の花」を咲かせゆく一つの象徴であると申し上げたいのです。
12  きょう、祝福に駆けつけてくださった世界的な哲学者のマリノフ博士と、私は、今、新たな対談集の発刊に向けて、対話を重ねております。
 “人類は再び「哲学」に目覚めて、新しい時代を開き、これまでの人類を凌駕していく歩みをせねばならない”との願いからであります。
 人類を啓発し、勇気づけてやまない、博士の「希望の哲学」の一節を、卒業生の皆さん方に贈りたい。
 「人間は、最悪の環境から、最良の結果を引き出すことができる」
 「“苦悩を乗り越えて、価値を創造する人生”こそが真に良き人生であり、勝利の人生となる」
 私も、ありとあらゆる難を厳然と勝ち抜いて、平和・文化・教育の価値を創造してきました。
 圧迫されればされるほど、それ以上の智慧と力を出して勝ち越える。これが、創価の師子の魂です。
 その私が創立した大学に学んでくださった皆さん方は、この「絶対勝利の哲学」を自ずから体得していることを誇りとしてください。
 そして、一生涯、勝ちまくってください! 頼むよ!
13  誇りと感謝を
 貴国の大詩人レオンは謳いました。
 「人間は不思議だ。
   一生懸命、人々に尽くせば尽くすほど
    尽くした以上に
     心は大きくなる」
 わが創価の精神と同じといえるでしょう。
 また、ボリバルは厳しく戒めました。
 「悪人は誇りも感謝の念も持たず、恩返しができない」
 こうした悪人が、どれほど多いことか。このような卑劣な、敗北の人生だけは、生きてはならない。これを約束しよう!
 ベネズエラ独立の先駆者ミランダは叫びました。
 「誠実な人々の勝利の数だけ、邪悪な人間は敗北するのだ」
 ゆえに正義の人間は、断じて勝たねばなりません。勝てば邪悪は消え去っていく。
 どうか、皆さんは健康であっていただきたい。例えば朝はパッと起きて、すがすがしい空気を呼吸して、元気に一日を送っていただきたい。
 そして、明るく誠実に、忍耐強く、この一生を悔いなき勝利で、断固と飾っていただきたいのであります。
14  最後に、わが敬愛する両大学の無窮の栄光を、心から祈ります。
 さらに、赤・青・黄色の三色の国旗たなびく貴国の永遠の平和と繁栄を、私は、心の底から、お祈り申し上げます。
 そして、ベネズエラの大思想家ウスラル・ピエトリの言葉を、わが卒業生に贈り、私の御礼と祝福のスピーチとします。
 それは、「ひとたび、人間の心が変われば、やがて世界をも大きく変革することができる」との書葉です。
 結局、人の「心」で決まる。親孝行にしても、勉強にしても、自分が幸福になるか不幸になるかも、心一つで大きく変わってくる。
 悪事を働いたりして、人からバカにされるのも、心が狂っているからです。
 仏典に「心こそ大切」と説かれている通りだ。
 ともあれ、私は皆さん方の文集と名前を、常に座右に置いています。ずっと大事にしていきます。
 私は、一生涯、皆さんの幸福と成功を祈り、見守り続けていく決意です。そして、これからも、何度もお会いできることを楽しみにしています。
 ムーチャス・グラシアス!(スペイン語で「大変にありがとうございました!」)

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