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日蓮大聖人・池田大作

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第61回本部幹部会、全国婦人部幹部会、…  

2006.6.15 スピーチ(聖教新聞2006年下)

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2  何かで勝て!
 先ほど私は、世界的な野球の英雄であるオーランド・セペダさんより、伝統ある球団(サンフランシスコ・ジャイアンツ)からの顕彰状と、大切な宝の記念品をいただいた。
 また昨日(14日)、セペダさんは、創価学園と創大の野球部も激励してくださった。
 日本中の同志を代表して、心からの御礼を申し上げたい。
 セペダさんは、アメリカ野球界の歴史に燦然と輝く強打者として有名である。
 守備は一塁。「新人王」「打点王」「最優秀選手賞(MVP)」など幾多の栄誉に輝いている。
 どうせ人生を生きるならば、何かで勝つ。結果を残す。そのための実力と福運を持つことだ。
 皆さんも、“あの地域には、あの人がいる”“あの方面には、あの人がいる”と言われるような、折伏と広宣流布の闘士として、また、何らかの分野の一流として、素晴らしい歴史をつくっていただきたい。
 価値ある歴史をつくらない人生は、わびしい。
 セペダさんは、オールスターゲームにも数多く出場している。通算379本の本塁打を放ち、「1960年代に、最も恐れられた打者の一人」と言われる。
 1999年、セペダさんは最高の栄誉である「野球殿堂入り」を果たされた。
 偉大な選手への最大の敬意を表して、その背番号「30」は、サンフランシスコ・ジャイアンツの「永久欠番」となっている。
 セペダさんのモットーは、「ネバー・ギブアップ」――「絶対にあきらめるな!」である。
 勝利の人生を飾りゆくために、大事なことは何か。
 それは、セペダさんが模範を示されているように、「真剣」と「誠実」と「智慧」、そして「執念の行動」である。これが、セペダさんの人生訓である。
3  根本を忘れぬ人
 また、セペダさんの人生哲学は、「報恩感謝」である。
 たとえ有名であっても、この一点を断じて忘れてはならないと、深く決意しておられる。
 そして殿堂入りの式典の際には、何万人も集まった大会場で、全米にテレビ中継されるなか、この仏法とSGI(創価学会インタナショナル)への感謝を、堂々と語られたのである。
 〈式典でセペダさんは次のように語った。
 「私は、師匠である池田SGI会長に心から感謝したいのです。会長の指導によって、私は人格を磨き、良き人間へと成長することができたのです。苦しみも、反感も、怒りも乗り越えることができたのです。サンキュー・センセイ!」〉
 日本でも、大きな反響があった。
 偉くなると、人は大事なことを忘れてしまうものだ。しかし、本当に偉い人には、ありのままの真実を宣揚する信念がある。一番大事な「根本」を忘れない。
 セペダさんのような方こそ、真の日蓮大聖人の弟子であり、創価学会の同志である。
 インチキな人間、はったりと虚栄の人間は、いざという時に、真実を叫ぶことができない。
4  創価大学硬式野球部の、全月本大学野球選手権での「2年連続ベスト4」、そして「特別賞」、おめでとう!
 1年生、2年生、3年生が主力となって、若獅子のごとく、快進撃を果たした。
 私も試合の際には、神宮球場の周囲を車で通り、声援を送らせていた。
 徹底した猛練習。そして4年生を中心に、試合に出ることのできなかった選手の、尊い陰の戦いがあったことも、私はよくうかがっている。
 先輩たちが、母校の勝利のために、試合に出場する後輩たちを支え、守ってくれた。グラウンドを一生懸命、整備し、ボールも磨いてくれた。
 後輩も、その心に応えて、全力を出しきった。
 先輩と後輩が、互いに讃え守り合う姿は美しい。誇り高き「日本一の人間野球」の開花を、私は心から期待し、祈っている。
5  きょうは、真の広宣流布の同志であり、青年僧侶改革同盟の集いである「創光塾」の皆さまが、おいでくださっている。ありがとう! ご苦労さま!
 きょうは12人が参加されている。皆、戦っておられる。素晴らしいお花もありがとう!
 そして、海外17カ国・地域の同志の皆さん、遠いところ、忙しいところ、ようこそおいでくださいました。ありがとう!
 全員で、立って拍手したい。
 マレーシア、韓国、台湾。さらに、アメリカ壮年部、ドミニカ共和国、ポルトガルの皆さんをはじめ、本当にご苦労さまです。
 「白ゆり合唱団」の皆さん、創価の母の勝利の歌声、本当にありがとう!
 世界一の婦人部、結成55周年、おめでとう!
6  法華経こそ「報恩の経」
 また、信越の栄光の総会、おめでとう!
 よく来られました。ありがとう。信越の皆さんは頑張った。
 一昨年の地震も、今年の大雪も、信越の同志は、勇敢なる信心ですべてを乗り越え、勝ち越え、見事に信越の広宣流布の地盤を広げられた。
 信越は、女子部の拡大も最優秀だとうかがっている。未来部の育成も全国の模範である。わが信越は立派な破邪顕正の大勝利を綴ってこられた。
 日蓮大聖人は、信越婦人部の大先輩にあたる千日尼に、有名なこういう御書を残された。
 「ただ法華経だけが女人成仏の経であり、悲母の恩を報じる真実の『報恩の経』であると見きわめました。
 そこで(私は)悲母の恩を報じるために、この経の題目を一切の女人に唱えさせようと願ったのです」(御書1311㌻、通解)
 「母の幸福」の拡大こそ、広宣流布の実相である。
 学会は幸いなことに、世界一の誉れの婦人部をつくりあげることができた。
 婦人部の皆さんを大切にし、後継の女子部を大事にしていくならば学会のさらなる大発展は間違いない。
 このことを、この場をお借りして、明確に宣言しておきたい。
 男子部、壮年部の皆さん、よろしく頼みます。〈会場から「ハイ!」と返事が〉
7  世界各地に妙法の種を
 ポルトガルの皆さん、歴史的な第1回の研修会、おめでとう! 本当に、よく来られた。ようこそ、ようこそ!
 私がポルトガルを初めて訪問したのは、1965年(昭和40年)の秋、10月のことであった。
 当時、ポルトガルにメンバーは一人もいなかった。一人もいないからこそ、私は行った。
 当然ながら、迎えてくれる人はいない。通訳もいない。私はポルトガルの大地に立って、地涌の菩薩よ躍り出でたまえと、深く祈った。
 ポルトガルだけではない。世界中のあの地この地で、私はそうしてきた。人生のすべてを捧げて、妙法流布の道なき道を切り開いてきた。
 世界の広宣流布など、だれも夢にも思わない時代から、人知れず知恵を絞り、人材を育て、手を打ってきた。
 何の苦労もなく、黙って見ているだけで、今日の壮大な世界広布が成るわけがない。
 私は、戸田先生の弟子として、また広布の指導者として、人一倍の責任を果たし、模範を示してきたつもりである。
8  一人の女性が礎を築いた
 ちょうど20年前、夫の転勤に伴ってポルトガルに渡り、広宣流布の道を開いてくれた女性がいる。
 その人の名は、今西澄子さん。きょうは、現在住んでおられる北海道から駆けつけてくださった。ありがとう! お元気そうで、本当にうれしい。
 今西さんの人生は、波瀾万丈であった。世界の各地に滞在しては、行く先々で妙法の種を蒔き、広布の礎を築いてこられた。
 アメリカの後に行かれたニカラグアでは大地震にあったが、困難に屈せず戦い抜かれた。
 本当に、よく頑張ってこられた。私は、すべて存じ上げている。今も、本当に若々しい。ご主人に、どうかよろしくお伝えください。
 〈今西さんは、メキシコ、アメリカ、ニカラグア、パナマ、ポルトガルの5カ国に、通算15年半、滞在。草創の中南米女子部長、北米女子部長としても活躍した。1972年、ニカラグアでは「マナグア大地震」に遭遇。九死に一生を得た今西さんは、一時避難した後、町に戻り、瓦礫の中を弘教に歩いた。75年にニカラグア支部が誕生。今西さんは初代支部婦人部長となった〉
9  ポルトガルは勝ちました!
 今西さんがポルトガルに渡った翌年(1987年)、私たち夫婦は、パリで今西さんとお会いした。
 “今西さんは、どうしておられるだろう。何とか応援してあげたい。励ましてあげたい”という気持ちだった。
 私は今西さんの開拓の労苦をねぎらいながら、「題目をあげて、一人ひとりを大切に育てていけば、必ずいつの日か、多くの同志が生まれてきますよ」と申し上げた。
 そして、必ず現れるであろう未来の同志たちのために、持ってきていた20ほどの念珠を、私と妻から贈った。
 今西さんは、懸命に戦ってくれた。本当に、けなげだった。
 5年余りの滞在を終えて、今西さんが日本に帰国した直後の1992年に、ポルトガルに念願の支部が誕生。そして今や、4つの支部へと大発展したのである!
 源流は、一人のけなげな女性である。
 その人が本物か、要領かは、必ず明らかになる。ごまかしは効かない。仏法は厳しい。
 現在、ポルトガルでは、ナオハラ本部長、ルイ書記長、アゼベド婦人部長を中心に、はつらつと活動を展開している。
 今月の座談会には、大勢の友人が参加し、大変にぎやかに行われたとの報告も受けている。
 メンバーの6割は「青年」だとうかがった。未来は明るい。
 勝ちました! ポルトガルは勝ちました!
 〈名誉会長の賞讃に応え、来日したポルトガルのメンバーが歓喜の表情で立ち上がり、手を振った。大喝采が、しばし会場を包んだ〉
10  かつて私は、今西さんたちの健闘を讃えて贈った。
  君ありて
    ポルトガルにも
      春来る
 まさしく、希望の春が到来した。本当に素晴らしいことである。
 かつて、ポルトガルにこれほど多くの学会員が生まれ、広宣流布の旗が翻ると思っていた人は、一人もいなかった。
 しかし私は、深く深く祈り、確固たる手を打った。そして、今西さんが立ち上がってくれた。
 勝ちました! 私も勝ちました! ありがとう!
 広宣流布のために苦労した「陰徳」は、必ず「陽報」となって現れる。絶対に仏法には無駄がない。
11  幹部は心して慢心を排せ!
 今、変わるべきは第一に幹部である。幹部が心がけていくべき点について、何点か簡潔に語っておきたい。
 幹部は、慢心の心で話をしてはいけない。幹部の家族も同様だ。
 学会員は、日蓮大聖人が仰せの「仏の使い」の使命を持った方である。
 大事な大事な「法華経の行者」である。
 まじめに広布に励む学会員こそ、法華経に説かれる、「地涌の菩薩」であり、最高の位を持った人なのである。
 もしも、この大切な学会員を見下したり、バカにして、高慢な態度をとる者がいるとすれば、それは、大聖人の御心に背く大謗法である。厳重に戒めていかねばならない。
 当然ながら、ウイット(機知)に富んだ話や、皆の心をなごませるユーモアは必要である。
 しかし、ふざけ、威張り、増上慢は、断じて排していくべきだ。純真に仏法を求めている学会員の前で、皆の人の良さに付け込んで、調子に乗ったり、悪ふざけになってしまっては、絶対にいけない。
12  会合は事前の準備で決まる
 一つ一つの会合を大切にしなければいけない。
 「大勢の会合も、少人数の会合も、大切にしていくことだ。この会合に集った人から、すべて始まるのである。この会合から勝っていくのである」――このように戸田先生は指導してくださったものだ。
 会合の主催者、中心者は、皆が納得するように、自分なりに懸命に勉強し、努力し、工夫して、会合に臨んでいくべきである。事前の準備いかんで決まるのである。
 そして、参加した人が、「ああよかったな」「よい点を突いてくれたな」「思っていたことを言ってくれたな」と心から満足するような話をしていってもらいたい。皆が「よし、がんばろう!」と決意できれば、その会合は大成功である。
13  皆で楽しく話せる座談会
 座談会は、民主的に、皆の発言を大事にすることだ。
 自分ばかりがベラベラと話すのはいけない。皆が楽しく意見を言い合い、和気あいあいと発表し合える雰囲気をつくっていく。それが座談会の根本である。
 幹部が独りよがりの話をして、聞いているほうは「いつ終わるのか」と時計ばかり気にしている。そんな会合ならば、時間がもったいない。来てくださった方が、かわいそうだ。
 「もう終わったのか」「もう少し、この場にいたいのに」と言われるくらい充実した座談会をお願いしたいのである。
 どんな角度の話であっても、そこに、本当の「学会精神」を伝えていこうという幹部の気迫が脈打っている。そういう話が求められている。
14  幹部は「礼儀正しく」なければならない。
 会員の皆さんに頭を下げて、「ご苦労さまでした」「大変にお疲れさま、でした」と最大の敬意を表していくことである。
 幹部のために学会があるのではない。会員のために学会はあるのだ。その一点を、ゆめゆめ忘れてはいけない。
 会合終了時も、可能なかぎり、幹部のほうが会員の皆さんを見送っていくのである。来てくださった皆さんへの当然の礼儀であろう。
15  「個人会場」のご家庭を大切にしてもらいたい。
 会場は、汚さないように丁寧に使用して、終了後は、「ありがとうございました」「今後もよろしくお願いします」と幹部がきちんと礼を尽くしていくべきである。
 とくに、お手洗いは、皆できれいに使う。最後は掃除をして帰るくらいの気持ちが、幹部には必要である。
 そのうえで、参加者一同からの真心の感謝状を贈るなど、具体的に感謝の心を伝えていく努力をしてもらいたい。
16  生命を燃やして
 純粋に、まっすぐに、わが生命の燃え尽きるまで、広布の使命をまっとうする。尊き同志に尽くし抜いていく。それが学会の幹部の根本精神である。
 偉ぶって、生意気になって、会員を見下すような人間ならば、学会の幹部でいてもらう必要はない。
 今は会員のほうが、ずっと成長している。
 とくに、婦人部・女子部を頭ごなしに叱ったり、アゴで使ったりするような幹部がいれば絶対に許してはいけない。
 きょうは、その点を皆で決議しておきたいと思うが、いかがだろうか。
17  御書に「法妙なるが故に人貴し」と記されている。
 「法」が素晴らしいゆえに、その法を受持する「人」も貴い。
 最高の法を持った我々は、最高に尊貴な一人ひとりである。
 信心が輝いていれば、どんな人も、自分らしく輝いていく。自然のうちに、きりっとして、誠実な振る舞いが光ってくる。リーダーとして、多くの友を糾合していくことができるのである。
 「幹部革命」は、幹部一人ひとりの「人間革命」から始まる。
 リーダー自身が変わることである。だれよりも悩み、祈り、成長することである。広布の第一線で戦い、結果を出すことである。
 「幹部の成長」のなかにこそ、学会が、さらに大きく発展していくカギがある。
18  こまやかな配慮 さわやかな挨拶
 また、幹部は、会合の終了時間を厳守することである。
 だらだらと話をしては、皆が迷惑する。
 女子部の皆さんも、婦人部の皆さんも、参加者は皆、忙しい中、予定をやり繰りして集って来られるのである。そのことを、とくに男性の幹部は忘れてはならない。
 自分勝手ではなく、法に則った、明快な話をする。ここに徹するかどうかで、会合の充実も、組織の発展も、天地雲泥の差となっていく。
 やむを得ず会合が長引いた場台も、たとえば中心者が「これで時間になりました。用事がある方は、どうぞご自由に退席してくださって結構です」と声をかけるなど、臨機応変の配慮をお願いしたい。
 また、幹部は、さわやかなあいさつを心がけたい。
 細かいことのようであるが、そうしたところにも、リーダーの心は反映される。振る舞いを見れば、その人のことがよく分かるものである。
 私は、世界の広宣流布を進める指導者として、数多くの人々の行動を目にし、このことを深く実感してきた。
 ともあれ、友に出会ったら、「こんにちは!」「いつもありがとうございます!」などと自分から声をかける。心から励ます。生き生きとしたリーダーであっていただきたい。
19  恩知らずの種類
 古代ローマの哲学者セネカは洞察した。
 「恩知らずの種類は多い」
 「その内訳は多種多様である。恩恵を受けたが、受けたと言わない者は恩知らずである。恩恵を受けなかったように偽る者も恩知らずである。また恩に報いない者も恩知らずであるが、しかし何と言っても一番の恩知らずは、恩を忘れた者である」(茂手木元蔵訳『セネカ道徳論集(全)』東海大学出版会)
 「忘恩」こそ最大の悪である。
 牧口先生の御書には、至るところに書き込みがされている。
 “ここは大切だ”とのお心が伝わってくる。この御書は、今も大切に保管されている。
 牧口先生が印をつけられた御聖訓に、開目抄の「仏弟子は必ず四恩をしつて知恩報恩をいたすべし」との一節がある。「知恩報恩」の個所が、線で囲まれている。
 信仰をもった人は、必ず恩を知りなさいという御文である。
 恩を知る人は、最も偉い人である。これが、仏法の骨髄である。人間の骨髄なのである。
 師匠の恩、衆生の恩に報いることが、人間の道であり、仏法の道である。
 恩知らずは、畜生である。いわんや、学会の大恩を仇で返す、畜生以下の連中は、青年が鋭く見破り、たたき出せ――これは、戸田先生の厳命であり、遺言であった。
 青年部は、この精神を受け継いでもらいたい。〈会場から「ハイ!」と力強い返事が〉
20  ここ東京牧口記念会館の庭園には、英雄ナポレオンのブロンズ像がある。
 13年前、アメリカの高名な実業家であるブラスナー氏から寄贈されたものである。
 有名な「アルプス越え」を描いた絵画「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」をもとに、アメリカの有名な彫刻家モントーヤ氏が制作してくださった。〈1993年11月に除幕〉
 台座には、ナポレオンの言葉が刻まれている。
 「世界には2つの力しかない。『剣』と『精神』の力である。そして最後は『精神』が必ず『剣』に打ち勝つ」
 最後は「精神」である。私たちで言えば「信心」である。
 政治家よりも、どんな著名人よりも、信心を持った人が、最後は勝つ。
 ナポレオンの言葉は、じつに味わい深い。
 「いかなる障害を敵が我々の行くてに置こうとも、我々はそれを打ち越えるであろう」(マルテル編、若井林一訳『ナポレオン作品集』読売新聞社)
 「不幸を乗り越えるのが高貴で勇気あることなのだ!」(ラス・カーズ編、小宮正弘訳『セント・ヘレナ日記抄』潮出版社)
 常勝の英雄の、確信の一言である。
 「正義なくして力はないのです」(大塚幸男訳『永遠の言葉叢書、ナポレオン』創元社)
 正義があるかないか、だ。仏法は、最高の正義である。仏法を持つなかに、人生の勝利は決定づけられる。
 「人間は善を成す為には渾身の力を傾倒せねばならぬ」(大住舜・神村興三編『大奈翁日記』東亜堂書房)
 まさに、学会員の生き方である。
 「私があれほど強力な軍隊をもてたのは、私自らが、細かいところまですべて気を配っていたからだ」
 リーダーが心を配り、率先して責任を担い立ってこそ、新しき平和の前進は生まれる。
 ナポレオンは、こうも述べている。
 「戦闘に勝っただけでは何の価値もない。その成果を有用に利しなければならない」(柳澤恭雄訳『戦争・政治・人間――ナポレオンの言葉』河出書房)
 勝利の結果を、どう次の前進へ生かしていくか。これが大切である。
 ナポレオンは晩年、セントヘレナ島で祖国への思いを語っていた。
 「団結しなければ、破滅してしまうぞ」(前掲『セント・ヘレナ日記抄』)
 また、文豪ユゴーが綴った言葉を、青年部に贈りたい。
 「我等の魂には唯一の感情、友情があるばかりではないか」
 「強勁(きょうけい=強いこと)ならんがために集団せよ、幸福ならんがために一致せよ」(神津道一訳「追放」、『ユーゴー全集第9巻』所収、ユーゴー全集刊行会。現代表記に改めた)
 永遠の発展のために、大切なのは団結だ。心を合わせていくことだ。
21  「急所を外すな」
 きょうは、研修のために来日した、アメリカ壮年部の代表も参加してくださっている。社会で見事な活躍をしておられる方々である。
 遠いところ、本当にありがとう! SGIの同志の皆さまに、もう一度、盛大な拍手を送りたい。
 ここで、戸田先生の指導を紹介したい。
 先生は言われた。
 「何事にも急所がある。急所をはずすな!」
 何が戦いのホシなのか。リーダーは、それを見極めていくことが必要である。
 また先生は、こうも言われた。
 「広宣流布をなさんとする学会員こそ、地涌の菩薩である」
 「学会員こそ諸仏の集まりである」
 先生は、最前線で戦う同志を最大に大切にしておられた。
 青年部の集いでは、歴史上の人物などを通して、こう指導された。
 「綿密な作戦が大事である。企画をきちんと立てていくことが大切である」
 一つ一つが、深き人間学に根ざした珠玉の指導であった。
22  古代ローマの哲学者セネカは述べている。
 「高く上ったものほど落ち易い」(前掲『セネカ道徳論集(全)』)
 どんなに高い地位や名声を得たとしても、それは永遠には続かない。むしろ、はかなく消え去っていくことが多い。
 大切なのは、わが生命に崩れざる幸福境涯を築いていくことである。
23  良書に挑戦を
 きょうは、若々しい青年部が集っている。戸田先生は青年に、どんどん本を読ませた。男女青年部に対しては『永遠の都』『九十三年』、女子部には『小公子』なども薦められた。
 男子部の「水滸会」、女子部の「華陽会」では、世界的な文学などを通して、組織論やリーダーのあり方などを縦横に教えてくださったのである。
 若き青年部の皆さまもまた、寸暇を惜しんで良書に挑戦していただきたい。〈水滸会・華陽会の教材として、ほかに、『水滸伝』『三国志』『モンテ・クリスト伯』『ロビンソン・クルーソー』、『隊長ブーリバ』『二都物語』『人形の家』『スカラムーシュ』『平家物語』『テス』『若草物語』などが取り上げられた〉
 それでは長時間、本当にありがとう! 海外の友をはじめ、全同志のご健康とご長寿、幸福を祈り、スピーチを結びたい。
 どうか皆さん、お元気で!

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