Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

華東師範大学名誉教授称号授与式 創価後継者大会(創価教育同窓の集い)

2006.5.5 スピーチ(聖教新聞2006年下)

前後
1  「創価後継者大会」の開催、本当におめでとう!
 偉大なる創価同窓の皆さま、全国の各地から、そして海外からも、よくぞ、わが母校に帰ってきてくれました。私は本当にうれしい!
 また、全世界の希望を担いゆかれる、尊き未来部の代表の皆さまも、お休みのところ、本当に、ご苦労さまです。
 そして、中国のご来賓の先生方、遠方から、まことに、まことに、ありがとうございます。
2  活躍がうれしい
 晴れ晴れとしたきょうの日に、懐かしい創価同窓の皆さま方と元気な姿でお会いすることができました。
 創立者として、これほど、うれしいことはありません。本当にありがとう!
 卒業のころの、あの紅顔可憐な美少年、美少女も……やはり、時の経過にはかなわない。「光陰矢のごとし」です。
 しかし、皆さん、立派に成長してくれて、ありがとう!
 皆さんが、母校の誇りも高く、あらゆる分野で活躍してくださっていることは、よくうかがっています。
 私も、折あるごとに、諸君の卒業文集等々を開いては、全員が健康で、幸福で、大勝利の人生を飾っていかれますように、妻とともに真剣に祈らせていただいています。
 また父母の皆さまの集いである「会友会」をはじめ、日ごろから大学・学園を守ってくださっている方々、いつも本当にありがとうございます。
3  合唱に拍手!
 またきょうは、歴史的な未来部の集いとなりました。本当におめでとう!
 未来部と創大生の合唱メンバーの皆さん、素晴らしい歌声、ありがとう!〈後継者大会を記念して、未来部員、創大生による合唱が行われた〉
 私も聴かせていただきました。立派でした。本当にご苦労さまでした。
 「困難を乗り越えるのが好きだ」
4  世界的な大英雄、ナポレオンは叫びました。
 「天才とは勉強ということだ」(鶴見祐輔著『ナポレオン』潮出版社)
 天才とは何か特別な力とか、才能を持った人のことではない。地道に勉強している人のことだ。粘り強く学び続けている人のことだ。それが、英雄ナポレオンの信念だったのです。
 また、ナポレオンは言いました。
 「私は困難を乗り越えるのが好きなのだ」(『波瀾万丈のナポレオン』潮出版社から)
 困難に負けない。断じて前進を止めない。それがナポレオンの生涯にわたる鉄則でした。
 ある時、恩師の戸田先生は青年に向かって、力強く呼びかけました。
 “若き君たちよ! 創価の後継者ならば、誇り高く学べ! 徹して学べ! 苦難を恐れるな! そして、勇敢に前進せよ!”
 この恩師の言葉を、きようは未来部の諸君に贈りたい。本当にありがとう!
5  英雄の子孫も我らを祝福!
 じつは、きょう5月5日は、ナポレオンの命日です。〈1821年に死去。今年は没後185年〉
 この5月3日には、新聞報道でもご存じの通り、ナポレオン家の当主であるナポレオン公が、八王子の東京牧口記念会館を訪れ、創価学会の大発展を慶祝してくださいました。〈ナポレオン公は、ナポレオンの実弟であるジェローム・ポナパルトの直系の子孫〉
 このナポレオン公は、“過去の名声などにとらわれず、ナポレオン・ボナパルトの革命精神を受け継いで行動したい。未来に向かって、ともに新しい時代を切り開いていきたい”と精悍な顔を輝かせて、私に語ってくださいました。
 きょう5日は、兵庫の「関西国際文化センター」での「栄光の大ナポレオン展」の記念式典に出席しておられます。
 わが創価の大文化運動に対する厚い厚い信頼に心から感謝申し上げたい。
6  後継者で決まる
 仏法は、1万年先の未来の彼方までも見つめています。
 この仏法を広めゆく創価学会は、永遠に勝ち栄えていかねばならない大切な使命があるのです。
 そのために、一番、重大な分岐点は何か?
 それは後継者が立つかどうかです。
 未来の一切は、後継者で決まるのです。
 自分が偉くなることばかり考えて、後継者の育成を忘れる。
 そういう指導者は愚かです。敗北です。
 若い人が命を継いで立ち上がってくれれば、将来も永遠に勝ち続けることができる。この後に続く滔々たる人材の流れをつくった人が、本当の勝利者です。本物の指導者です。
 私には、最優秀の同窓の諸君がいる。偉大なる使命の未来部の皆さんがいる。
 ゆえに、私は勝った。
 後は、皆さんが勝っていただきたい。未来の一切の勝利は、ここに集った若き君たちによって決まるのだ、ということを、きょうは、強く強く訴えておきたいのです。
 よろしく頼みます!
7  40代の前半に
 きょう参加した創価同窓の諸君は、多くが40代前半です。
 思えば、戸田先生が、中国を侵略する軍部権力に対して獄中闘争を貫き、生命尊厳の人間革命の思想を確立したのは、数え45歳の時でした。
 そして私が、中国と日本の「国交正常化」を提言し、世界に向けて信念の雄叫びをあげたのは、40歳の時でした。〈1968年9月8日、名誉会長は、学生部総会に集った約2万人の青年を前に「日中国交正常化宣言」を行った〉、
 その提言は、ただちに中国に打電され、周恩来総理のもとにも届けられたと聞いています。
 当時、私は、日中友好を快く思わない勢力から、散々非難され、圧迫の標的とされました。
 しかし、その後、中国とアメリカも国交を結んだ。中国との友好は、時代の必然の流れであったのです。
 後に、日本の心ある指導者層からは、“あの時の提言があり、布石があったからこそ、日本は孤立しなかった”と感謝を寄せられました。
 また、国交正常化が実現した2年後の1974年12月、重病であった周総理が医師団の猛反対を押し切って、私との会見を希望されたのも、私の提言を、最大に評価してくださったからでした。
 〈1970年代、東西冷戦、中ソ対立の時代から、名誉会長は、中国、ソ連(当時)を相次ぎ訪問。国家の首脳をはじめ、多くの市民、学生たちと胸襟を開いて語り合い、中国と日本、ソ連と日本、そして中国とソ連との間に、友情の橋を懸けてきた。
 さらに1996年、厳しい国際情勢下にあったキューバを訪問し、カストロ国家評議会議長と会見。文化交流の扉を開くなど、民間外交の次元で、さまざまな友好の歴史を綴ってきた〉
8  悩みに負けるな
 卒業生の皆さんも、これからが人生の勝負です。
 敗北の人生は、暗い。わびしい。悲しく、そして苦しい。人生は、絶対に勝たねばならない。
 仏法は勝負です。勝つか、負けるか。勝たなければ、正義を打ち立てることはできない。
 勝つ人生は、朗らかです。一家一族も、父も母も、喜びで包んでいける。
 そのためには、「心こそ大切」です。勝つ「一念」か、負ける「一念」か、そこで決まります。
 断じて、勝とう! 私たちは、全員、勝とう!
 仕事の悩みや、失業など、さまざまな課題を抱えている人もいるかもしれない。しかし、絶対に負けてはいけない。必ず勝って、お父さん、お母さんを安心させてあげてほしい。
 あの生き生きとした学園時代、そして、学問探究の創大時代の生命の息吹を、今再び、燃え上がらせて、わが尊き使命を果たしていただきたい。
 ある文学者は、「師弟に生き抜く人生には、行き詰まりは絶対にない」と叫んだ。
 まったく、その通りです。
 とくに、女性の幸福は40代からで決まる。私が対談したトインビー博士も、同様の見解を持っておられた。
 女性は、全員が幸福になっていくのです。みすぼらしい、不平ばかりの醜い人生は、絶対に送ってほしくない。
 きょう集まった皆さんは、大事な“家族”です。“仲間”であり“同志”です。
 どうか、健康第一で進んでいただきたい。そのためには「朝」の出発が肝心です。「朝」で決まります。
 そして、「勇気」と「誠実」と「忍耐」――この3つが大事です。
 勇気。正しいことをするには、勇気が必要だ。
 誠実。これに敵うものはない。どんなにばかにされ、だまされても、誠実は最後に勝つ。
 忍耐。「今に見ろ!」と耐え抜くことだ。決して「負けない」ことだ。
9  父さん勝ったよ 母さん勝ったよ
 皆さんは、人生を勝ち誇っていただきたい。ご両親や、お世話になった方に勝った姿を見せて、「私は勝ちました!」「痛快でした!」と報告できるようになってほしい。
 なかには、親を亡くした人もいるでしょう。そういう人も、「父さん、勝ったよ!」「母さん、勝ったよ!」と遺影に語りかけていける人生を開いていくのです。
 勉強をしなければ、本当の人生の勝ち戦の方向には入っていけない。
 私も勉強しました。恩師・戸田先生の「戸田大学」で、真剣に学びました。
 戸田先生は、毎週日曜日に私を自宅に呼ばれ、朝から晩まで、一対一の個人教授をしてくださった。
 日曜日だけでは時間が足りなくなり、毎朝、会社で講義してくださった。化学も、経済学も、万般の学問を教えてくださった。
 戸田大学で、徹して学び抜いたがゆえに、私は勝ち抜いてきたのです。
10  創価の後継者と共に栄誉を拝受
 ただ今、私は、大中国の教育界最高峰の名門・華東師範大学より、最も栄えある名誉教授の称号を賜りました。
 大教育者であられる羅国振ら・こくしん副学長はじめ、尊敬する先生方、本当に、ありがとうございました。
 ここに重ねて、最大の感謝を表します。
 わが創価後継の友と一緒に拝受させていただき、これ以上の喜びはありません。本当にうれしい。
 私は、後継の皆さんをだれよりも大切に思っています。
 心から尊敬し、成長を祈っています。皆さんは、わが子以上に大切な存在です。
 私がお受けする栄誉は、すべて皆さんと、皆さんの一族の栄誉ともなっていくことは間違いない。これ、が私の確信です。
 本日は、中国、韓国の交換教員の先生方もご出席くださり、深く御礼申し上げます。
11  さて貴大学の栄光の歴史には、あの文豪・魯迅など、そうそうたる知性が不滅の足跡を残してきました。
 大文豪であり、周恩来総理の盟友であった郭沫若かく・まつじゃく先生もまた、貴大学で教鞭を執られた一人です。
 郭先生は叫ばれました。
 「人間として最も悲しむべきことは何か。それは、正義の心が死ぬことである。
 社会として最も悲しむべきことは何か。それは、正義が減亡することである」と。
 人間にとっても、社会にとっても、最も大事なのは、「正義」です。
 私は、第三代会長を辞任したとき、神奈川文化会館で、「正義」の二文字をしたためました。〈1979年5月5日〉
 雄大な海を見つめながら、“これからは世界を舞台に戦うのだ!”との決意を込めて。
 この正義の中の正義の大哲学を、初代会長・牧口先生も、第二代会長・戸田先生も、命を惜しまず叫ばれました。
 だからこそ、邪悪な勢力から圧迫された。第三代の私も同じです。
 創価後継者の皆さんは、この「正義の旗」を、何ものも恐れることなく、一生涯、堂々と、受け継いでいただきたい。
 きょう私は、この一点をお願いするために来たのです。
12  創立者と卒業生は一体不二
 今や、創価教育の理想は、アメリカでも大きく花開いてまいりました。
 まもなく、アメリカ創価大学では、いよいよ2期生が卒業します。本当に、おめでとう!
 創立者と卒業生とは、一生涯、一緒です。一体不二です。この気持ちをお伝えしたい。
 卒業生の皆さんは、多くの名門校がある中で、あえて私が創立した大学を志願してくださった。
 うれしい。本当にうれしい。
 そして、私と同じ心で、後に続く後輩たちのために、道なき道を開いてくださった。
 私は、いつも、わが同窓生に最敬礼する気持ちでいます。
 さらに、ご家族の皆さま方のご健康、ご多幸、ご長寿も、妻とともに、毎日、真剣に祈り続けています。
13  先日、アメリカの経済学の巨人・ガルブレイス博士(ハーバード大学名誉教授)が97歳で逝去されました。
 博士とは何度も語り合いました。ボストン近郊のご自宅に招いていただいたことも懐かしい。
 博士とは、永遠に残る思い出をつくりました。
 〈博士は1993年9月24日、名誉会長のハーバード大学での2度目の講演の折、講評を務めた。博士の自宅での語らいはその翌日。二人は対談集『人間主義の大世紀を』(潮出版社)を発刊〉
 博士は、創価学会に深い理解を示され、創価教育に絶大なる信頼を寄せてくださっていました。
 あの鋭い博士が、私にこう言われたのです。
 「『アメリカ創価大学は、他の国やアメリカにとって模範になるかもしれない』という希望を抱きました」
 「アメリカ創価大学の開設には、私自身、もっと深くかかわりたかったと思います。それができなかったことが、唯一、残念です。高齢になると、やはり限界がありますので」(前掲『人間主義の大世紀を』、以下同じ)
 さらに、私と博士は、大学教育を受けた人間の使命を論じ合いました。
 博士は強く語られた。
 「最も尊敬に値する知識人とは、『大衆の幸福に最大の関心を抱く人々』だと思います。
 知識人が大衆から切り離されているような社会は、願い下げです」
 貧しくとも、名誉や肩書はなくとも、固い信仰、信念をもって、社会に尽くしている無名の庶民――そうした人々を少しでもばかにし、侮る心があれば、それは堕落以外の何ものでもない。真の知性ではありません。
 大衆を犠牲にし、裏切る人生は暗い。
 大衆のため、一生涯、戦い抜いた人生こそ、明るい明るい勝利です。
14  悲観より行動!
 ガルブレイス博士は、「世界は多くの深刻な問題を抱えていますが、もし人が悲観論に陥れば、行動が伴わないでしょう。もし楽観的であれば、おのずと道は開けてくるものです」と見抜いておられました。
 楽観主義で進め。悲観する余裕があったら、行動せよ――鋭い人生哲学です。そして、信仰の極意も、ここにあるのです。
 ともあれ、わが誉れの卒業生たちよ!
 永遠に創価大学とともに、創価学園とともに、全人類が願望する平和と正義の道を、人間にとって最も大切な使命と充実の大道を、きょうも、そしてまた明日も、愉快に、たくましく、希望に燃えて、断じて勝ち進んでいただきたい! 頼むよ!(「ハイ」と元気な返事が)
15  正しい人こそ宝
 いにしえの中国の大思想家・荀子は論じました。
 “正しいことを語り、正しいことを行う人こそ、国の宝である”と。
 まさに毎日毎日、正義のために学会活動をしている未来部の皆さんのお母さん、お父さん方こそ、本当の「国の宝」なのです。
 皆さんは、この無名にして偉大なる父母を大事に、親孝行をしていただきたい。
 親孝行は、お金がなくてもできます。優しい言葉があればいいのです。
 「声仏事を為す」です。
 きょう帰ったら、「肩を揉むよ」とか、「きょうは中国からお客さまが来られた。いつか必ず万里の長城に連れて行くよ」とか、何でもいいから、ご両親が喜ぶ言葉をかけてあげてもらいたい。
 言葉だけでも、ご両親は、しみじみとうれしいものです。
 これが、私の心からのお願いです。
16  結びに、貴・華東師範大学に歴史を刻まれた大教育者・陶行知とう・こうち先生の言葉を贈ります。
 「例えば、地球の運行は永遠に前に進んでいる」「私たちはただ前へ向かって創造の道を切り拓くことができるのみで、いかなる後退もあり得ない」「黄金時代は前方に、未来にあるのだ」(牧野篤著『中国近代教育の思想的展開と特質』日本図書センターから)
 常に現在から未来へ。常にきょうから明日へ。
 これこそ、人生の歩み方の真髄です。仏法も、それを教えています。皆さんの黄金時代は、未来にあります!
 わが敬愛する華東師範大学の限りなき栄光と永遠のご発展を、皆で心からお祈りしましょう。
 さらに私は叫びたい。
 わが愛する創価同窓の友よ、一人ももれなく、断じて勝ち抜け!
 勝利は明るい。楽しい。敗北は暗い。悲惨だ。
 そして、わが愛する大切な大切な未来部よ、21世紀の世界を舞台にして、思う存分、悔いなく戦い、生き抜け!――こう申し上げ、私の感謝と祝福のスピーチとさせていただきます。
 謝謝(シェシェ)! サンキュー・ソー・マッチ! ありがとうございました。

1
1