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日蓮大聖人・池田大作

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帰国のあいさつ  

1974.6.16 「池田大作講演集」第7巻

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1  ただいま元気で十数日間にわたる中国訪問の旅行を終えて帰国いたしました。本日は休日にもかかわらず、中国大使館の参事官李連慶先生をはじめ、李孟■りもうきょう先生、毛婭平先生、そして各界の諸先生方のお出迎えをいただき、心から御礼申し上げます。また留守中、なにかと私どもを見守り協力してくださった皆さま方の真心に、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
 中国側のご好意によって、聖教新聞等に毎日報道することができ、私ども一行の行動については、すでにごぞんじかもしれませんが、とにかく“百聞は一見に如かず”であり、短い日程ではありましたが、私なりにこの目とこの肌で、中国の現状と未来に対しての認識を深めてまいりました。
 中国側の方々は、真心を尽くして私ども一行を歓迎してくださいました。その誠意に対しては、私もまた誠意をもってこたえなければならないと痛感しております。
 当初私どもの方で、これだけは中国側に提言しておきたいと思ったことの一つは、北京大学への五千冊の図書の贈呈でした。これは中日友好協会も、大学当局も、快諾してくださり、目録を贈呈してまいりました。
 もう一点は、私どもを招待してくださった返礼として、中国の青年、そして学生を中心として二十人の方を招へい申し上げたいということでした。やがて前向きに検討してくださることになるでありましょう。
 更に、今回の訪中での感想のいくつかを若干、箇条書き的に申し上げれば、次のうに要約できると思うのであります。
 第一に、今回の訪問を、特に教育、文化面の視察でありました。幼稚園、小学校、中学校、大学と一連の教育の実情をつぶさに見てまいりました。徳育、知育、体育という三つの要素のバランスを考えた教育に対しては、学ぶ点が多くありました。特に学問と実践とを結びつけた教育革命の方向は、私としては十分にうなずけました。
 次に、現代の中国は、長征、延安時代以来の指導者層が齢もかさみ、次の世代の建設に全力を傾注しているように思われました。それは、老・壮・青の三結合等に顕著にみられます。私は率直にその点の質問をぶつけました。中国側も、それは重要な問題であるとの認識に立っていました。
 第三には、中国の革命方式は、継続革命、連続革命と、私はみました。枇林枇孔運動も第二の文革とみるべきではなく、文革の延長と考えるべきでありました。すなわち、それは民衆全体の変革運動であって、特定の個人を対象とするものではないといえます。
 第四には、今後、社会主義が進んでも、中国は平和五原則を永久に貫いてていくとの決意を確認しえました。
 第五には、李先念副総理との会見、および中日友好協会の首脳との二回にわたる会談では、日中平和条約の問題、社会主義と自由の問題、平和五原則の問題、資源の問題、国連の問題、核兵器の問題等で、率直かつ友好的に語り合いました。そこでいま、私がいえることは、中国は決して侵略的ではないという強い姿勢を感じとったということであります。また、ファシズムの台頭には警戒心を強めていました。核兵器の問題については、その全廃への私どもの切なる願いを訴え、全世界のあらゆる国が一堂に会して、核兵器全廃の決議をすべきなど、相当の部分で一致点をみました。
 最後に、結論的にいえば、中国を五十年、百年単位にみるべきであるということが、私の実感でありました。動きのなかに、流れのなかに、中国の方向性を位置づける必要性があると考えるのであります。
 以上、これだけでは意は十分に尽くしえませんが、私たちはともかく先輩の築いた橋を渡り、第二期に入ったと思われる日中関係の一つの試金石になれば幸いであります。
 なお、詳細については、今後いろいろな機会をとおして、発表させていただく決心であります。
 本日の真心あふれるお出迎えをいただきましたことを重ねて御礼申し上げます。
 ほんとうにありがとうございました。
  昭和49年6月16日 訪中創価学会代表団団長 池田大作 東京国際空港

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