Nichiren・Ikeda
Search & Study
1 春光
春の日脚に、執筆をしている私の座數が、暖かい。君子蘭が、鮮かに室を飾つている。剣状の緑の葉に、樺色の花が美しい。先日、猊下より賜わったものである。
四月二十八日は立宗の日。この日を記念して、植樹祭が総本山で行なわれることになった。広布の前途は、いよいよ春の夜明け。我らの総本山を花の幕で飾りたい。
2 第七巻の「人間革命」の原稿を、三月二十三日に手渡すことになった。三回分ほどを纏めて、第一回の手渡し分にしたいと思っている。私にとっては、その日から油断のならぬ日々となり、新たな修行となるだろう。新しい担当者は、当年二十六歳のJ君にかわったとのこと。彼は中央大学出身であり、誠実でまれにみる緻密な頭脳の持ち主であるようだ。また、剽軽なところもあるんですよ、とは第三者の人物評である。父を早く亡くしし君、佐賀にまします母のためにも、栄光の青春であれ、と私は祈る。
3 戸田城聖は、よく和歌を詠んだ。数学家であった先生が、信仰より燃えいずる和歌を、作られていく人格の断面。多くの弟子に、それらを贈られたりした。また、元旦を記念したものや、青年部、女子部にあてたものもある。専門家よりすれば、さほど上手とはいえないかも知れない。しかし、和歌は先生の心のである。その人、その人に、その時、その時の随縁の心の響きがあれば、和歌の使命は達成されていよう。
4 昭和二十九年元旦
行くならば貴き御法身につけて
こんろんの山も我は恐れじ
昭和三十年元旦
妙法の広布の旅は遠けれど
共に励まし共々に征かなむ
昭和三十一年元旦
雲の井に月こそ見んと願いてし
アジアの民に{日}(ひかり)をぞ送らん
昭和三十二年元旦
御仏の御命のままに折伏の
旅路もうれし幸の広野に
昭和三十三年元旦
獅子吼してまづしき民を救いける
七とせの命晴れがましくぞある
青年部に
荒海の鯱にも似たる若人の
広布の集い頼もしくぞある
若き芽ののびゆく姿ながめつつ
妙法流布の旅はたのしくぞある
君等こそ仏の軍の旗本ぞ
はげめつとめよ聖の訓に
女子部に
秋の日に若き乙女と相みては
君等の幸を祈りてぞある
年暮れて深の雪は白かりき
若き乙女の心にも似て
立宗七百年を迎えて
幾度も弱き心にむちうちて
仏の道に仕えよ友どち
恐るるな仏の力は偉大なり
若き血潮にたぎらせて立て
5 いまだ信仰していない一婦人より、私宛にこんな手紙が舞い込んだ。
ある冬の雨の日、寒い朝であった。凛々しい一人の青年配達員が姿を見せた。その顔に、微笑さえ浮かべている。大切そうに、抱えている聖教新聞をビニールに包み、誇り高く走って行く。わが子に比べて、何という雄々しい姿であろう――幾日も、変わらざるこの姿に接し、私は決意した。大切なわが子を育てるためにも、私自身、青年に教わり、新しい信仰の道に入りたいと。