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日蓮大聖人・池田大作

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自筆の題宇に汗顔  

「池田大作講演集」第3巻

前後
1  ここ数年。多くの友から色紙を頼まれる。悪筆の私は、何とか避けるよう努めてきたが、遂に決意して書き始めた。
 その理由は、我が友が少しでも喜び、激励ともなれば嬉しいことである――と、心が変化したからに他ならない。
 ″書は人なり”というなれば、気取らず、思いのままに、自己流でもよいと思いながら贈ったものである。その枚数は、相当なものになると思う。差し上げるたびに申し上げる言葉として、「後世に恥を残すものですが」と、付け加えてもらった。
 その文字は多様である。「福智」「慈悲」「清浄」「常楽」「自我」「寿量」「栄光」「大志」「建設」等々。俳旬の場合もある。和歌の場合もあった。御書の一節を認めた時もあった。
 このように筆を手にする以前、昭和三十七年と記憶する。九年前のこと。妙悟空著の「人間革命」の、単行本の再刊の時であったと思う。さりげなく毛筆で”人間革命”と下手な字で書いたことがあったようだ。その紙を、当時の編集長のA君が、再刊本の題字に、独自の裁断(ユニークな発想と思ってのようだ)で使用したというのである。
 時移って、法悟空の連載にあたって、編集長は新しい毛筆の題字、”人間革命”を依頼してきた。筆者は二、三枚書いてみたが、不味いので毛筆の題字をやめ、活字にしてほしい旨を通告した。これで安心。しかしである。独創的個性と、信念の強い編集長は、以前持っていたその毛筆の題字を、そのまま使用することを決断したらしい。それが今日まで続いた、現在の題字であることをご了解願いたい。その題字と対面するたびに汗をかく。今ならもう少しましな字が書けると思いながら。合掌。
 ともあれ、執筆にあたって、今までも多くの方々にご協力を戴く。牧口時代の先輩。宗門の方々。戸田城聖の友人等々。係りを通し、ご支援を願ったことに対し、厚く御礼を申し上げたい。特に、私を激励してくれ
 たS氏に至っては、資料の収集は勿論のこと、文体の運び方、文章の調子、結構の仕組みまでご協力を戴き、感謝の言葉もない。益々のご協力をただ乞う。
2  過日、ある著名な評論家と語った。彼はいう。多量にわたる原稿書きは、最早、万年筆では不向である。理由は、労力が過重と。鉛筆の方が能率があがるからと、自身の経験を強く主張。私も、その親切な教示を受けて、一月中旬より実行。確かに楽でもあり、便利でもある。すぐ消せる。その人は原稿用紙も、自分の書きよい用紙を作成すべきだと、教えてくれたこともある。ここに深謝。
3  昨日より(二月二、三日)総本山に。多くの友と語る。最高の喜び。
 晴れわたる天空に、自雪の富士が、堂々と、王者の品格を崩さずに座していた。
  白雪も 王者の鎧 富士の山

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