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日蓮大聖人・池田大作

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女子部全国部員会 人間としての勝利

1970.8.21 「池田大作講演集」第3巻

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1  きょうは新しい方々もたくさんいらっしゃるようですから、これまでの指導と重複するかもしれませんが、若干、感じたままを話させていただきます。
 最初に、皆さま方は女性であるまえに人間としての勝利者になってほしてということであります。人間としての勝利を裏づけるものは、その人のもつ思想、哲学の深さ、人生に対する誠実な姿勢であると、私は考える。
 生涯、日蓮大聖人の福運ある子供として、気高い信念を貫き通す人生であれと申し上げたい。そして、真実の信仰からにじみでる豊かな人間性をもって、この泥沼のような社会を蘇生させていける、勇気ある真の革新的な女性であっていただきたいのであります。
 松野殿御消息に、次のような一節がある。「華経の薬王品に云く能く是の経典を受持すること有らん者も亦復是くの如し一切衆生の中に於て亦これ第一等云云、文の意は法華経を持つ人は男ならば何なる田夫にても候へ、三界の主たる大梵天王・釈提桓因しゃくだいかんいん・四大天王・転輪聖王乃至漢土・日本の国主等にも勝れたり、何にいわんや日本国の大臣公卿・源平の侍・百姓等に勝れたる事申すに及ばず、女人ならば憍尸迦女きょうしかによ・吉祥天女・漢の李夫人・楊貴妃等の無量無辺の一切の女人に勝れたりと説かれて候」と。
 この御文は、妙法をたもった男女は、たとえどのような境遇にあったとしても、世界のいかなる指導者、福徳ある人々よりもはるかにすぐれているとの御金言でありますが、どうか女子部の皆さま方は、そうした栄誉ある自覚と、誇りをもって進んでほしい。
2  環境に左右されず福運の根源を築け
 次に、皆さま方は主体性ある近代女性に育っていただきたい。人生の根本的な幸せは、周囲の人々や環境によってのみもたらされるものではありません。あくまでも自分自身の積んだ福運、生命に開かれた宮殿によって決せられるのであります。
 すなわち、妙法という生命の法則以外に、幸福の人生を開拓していく方途はない。社会全体の風潮がそうでありますが、特に皆さま方の年代は遊びたい年ごろでもあります。それらのなかにあって、皆さま方はこうして夏季講習会に参加し、信心の研鑽に励んでいる。じつに尊い、意義ある青春といえましょう。
 どうか、いまは一生の幸せの根源、財産を築いているのだという、誇り高い自負、強い主体性をもち、信心に取り組んでいっていただきたい、と心からお願いするものであります。また、真実の女性の“気品ある美しさ”というものは、そうした日ごろの努力の姿勢のなかにこそあると私は思う。
 十字御書には「蓮はきよきもの泥よりいでたり、せんだん栴檀かうばしき物大地よりいたり、さくらはをもしろき物・木の中よりさきいづ、やうきひ楊貴妃は見めよきもの下女のはらよりむまれたり、月は山よりいでて山をてらす、わざわいは口より出でて身をやぶる・さいわいは心よりいでて我をかざる」とあります。
 結局、いかなる境遇であっても、根本の信心により、必ず福運を積んでいくことができるという道理を述べておられるのです。
 次に申し上げておきたいことは、皆さま方は職場においても、家庭においても、また信心の世界においても、皆から親しまれ、信頼される魅力ある人であってほしいということであります。そうでなければ、だれからもかえりみられなくなり、孤独地獄の道をたどるしかなくなってしまう。
 仏法の真実の功徳とは御義口伝に「功徳とは即身成仏なり又六根清浄なり」とあるごとく、しょせんは生命の浄化に尽きるわけであります。信心を忘れてエゴイズムに走れば、やがて、因果の理法により、その本性にもとづいた色法の姿になっていく。信心に生きぬく女性は、必ずその言動、姿がすがすがしい魅力をたたえていくことは間違いない。
 そして、それらの積み重ねは、一生において、幸、不幸という厳しい現実の生活に要約される。そのとき、仏法の世界に生きた人は、必ず幸福という厳然たる実証を示すでありましょう。このことを確信して、どのようなつらいことがあっても、強盛な信心を貫き通していっていただきたいのであります。
3  社会問題にも深い関心よせ
 次に申し上げておきたいことは、女性はどうしても身近な問題や、自己のことのみにとらわれ、社会や時代の動向に目をふさぎがちになってしまうものだ。それでは低次元の女性になってしまう。
 近代女性の範たらんとする女子部の皆さま方は、断じてそうであってはならない。つねに広い社会の生きた現実に目を開いていかなければならない、と訴えるものであります。
 それには、いまから真剣に学会活動、社会の活動に入っていくことが肝要である。そして、御書は当然のこと、努めて新聞や雑誌を読み、社会問題にも関心をもち、なんでも論じられる人であってほしい。
 ここで女子部の皆さま方に要望したいことは、現在の公害問題です。
 これについては、過日、男子部の諸君にもお話ししたことでありますが、特に女性の使命である“生命を守る”という観点から、同じく私は申し上げておきたい。
 戦争と公害は、その本性はともに生命の尊厳を破壊するものであるということです。
 考えてみれば、現在の産業の発達は、戦争によってもたらされたといっても過言ではないでしょう。戦時中の戦車は、現代の自動車を発達させた。戦闘機は旅客機、毒ガスは農薬に結びついている。つまり、戦時中にのろいを込めてつくられたものが、こんどはそのまま平和の装いを身につけただけであり、いまなお、その自縛から解放されてはいないと考えられる。
 更に日本の現在の高度成長も、東南アジアの戦争と決して無関係ではない。このことからしても、公害問題を解決することは、それ自体が戦争を絶滅するということに、深いつながりのあることを知っていただきたい。
 女子部の皆さま方は、二十一世紀の最大の課題とされている公害問題に重大な関心をはらい、現状分析と解決の方向について、鋭い洞察力をもてるようになってほしいと思いますが、いかがでしょうか。(大拍手)
 治病抄にいわく「結句は勝負を決せざらん外は此の災難止み難かるべし」と。
 生命の尊厳を打ち立てる本源は妙法流布であり、そこから一切が開けてくるという、大聖人のご指導であります。
4  結婚はあせらず賢明に
 次に、これまで何回となく述べてまいりましたが、結婚問題について申し上げたい。
 結婚については、あくまでも賢明であることが大切である。また周囲の人も、結婚する人をあたたかい目で見守り、応援をしてあげてほしい。
 もとより、結婚は女性にとって人生のゴールではない。したがって、結婚ですべてが決まるという考えは誤りであると、私は思う。しかし、女性にとって結婚はやはり大事な問題であることには変わりなく、いたずらに無関心でいるのも不自然でありましょう。あせらず、慎重に臨み、しかも“さすが女子部員の結婚である。信心した人の福運ある縮図だな”と、皆から祝福されるような姿であっていただきたい。
 また、結婚の相手は人間として、また男性としてすぐれた人であれば、決して役職にこだわる必要はない。
 ともあれ、信心を根本に進むならば、皆さまがた自身の力で、真実の幸福のコースを歩んでいけるということを確信してほしい。
5  御書は人生の宝庫
 次に申し上げたいことは、皆さま方は教学をすべてのバックボーンにしていっていただきたいということであります。教学を深く研鑽した人は、退転なく、不動の精神で信心、人生を全うしていくことができる。また教学の向上は、即、自分自身の人間革命に直結しているからであります。
 したがって、若き女子部の皆さま方は、全員が教学部教授をめざし、日々の研鑽に励んでいってほしいと期待したい。せんずるところ、御書は皆さま方の人生の無限の宝庫であるといっても過言ではない。どのような境遇にあろうとも、この宝庫を、自己の誇りとして、たもちぬいていっていただきたいのです。
 椎地四郎殿御書に「此の経を一文一句なりとも聴聞してたましいにそめん人は生死の大海を渡るべき船なるべし」とあるように、妙法を自己の生命に刻み、御書のとおり実践する人は、この苦悩の現実社会において、幸福の人生行路を切り開いていくことができるとの仰せであります。
6  目的観高く広布をリード
 最後に、女子部はなによりも学会を守る情熱と純粋な信仰の人であってほしい。令法久住して、大御本尊を守り、学会を守らなければならない。
 具体的には、各総ブロック、大ブロックにあって、全員が広宣流布の方向を間違うことなく前進できるよう、学会の鏡、レーダーとなっていっていただきたいのであります。
 女性は男性に比べ感情的、情緒的といわれ、それがともすれば、理性を失いがちになる欠点があるといわれている。しかし、その特質も高く正しい目的観に立ったときには、男性には見られない大きな力を発揮することができる。
 妙法をたもった皆さま方は、幸いにして、広宣流布という崇高な大目的に向かって、自己の情熱と感情を思いきり発散することができるわけです。この恵まれた自己の人生の基礎、原点を忘れることなく、広宣流布の達成、そして学会を守るということにかけては、他の各部のだれもおよばない大感情と大情熱をもって進んでいってほしい。
 御義口伝には「今日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉る者は明鏡に万像を浮ぶるが如く知見するなり、此の明鏡とは法華経なり別しては宝塔品なり、又は我が一心の明鏡なり」と説かれています。
 純粋で清らかな皆さま方の生命のうえに、ブロックの実態を敏感に映し出し、広宣流布の方向を間違うことのないよう賢明にリードしていく――そうした使命が、女子部にはあると思っていただきたいのであります。
 若き皆さま方の前途が、ますます希望に輝く人生でありますよう心より祈って、私の話を終わります。

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