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日蓮大聖人・池田大作

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第3回女子部関西総会 英知輝く平和の戦士たれ

1968.11.3 「池田大作講演集」第1巻

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1  朗らかな、溌剌とした見事なる総会、まことにおめでとうございました。(拍手)
 関西の女子部は、東京の女子部に勝るとも劣らぬ大発展をしてまいりました。この偉大なる前進に対し、幹部の皆さんに心より敬意を表するものであります。(拍手)
 先月、東京での女子部総会において一般的な指導をいたしました。したがって、きようは五項目に分けて懇談的に話させていただきます。
2  第一に『妙法に真にめざめた若き女性は、もはや宿命に立くことはない』
 これは、日蓮大聖人のお約束でありご確信であります。過去の女性の歴史はほとんどが宿命に泣いた。そして、この宿命の問題は、過去のいかなる哲学や思想、どんな斬新な理論、科学的な真理をもってしても、どうすることもできない難問題でありました。巷間に「有名人かならずしも幸福ではない」との言葉がありますが、これは週刊誌をご覧になったり、また、そうした有名な女性の生涯を鋭く分析してみれば、よくおわかりだと思います。
 たとえば、一九〇三年にノーベル物理学賞、一九一一年に化学賞を受けたキュリー夫人の場合がそうです。三十九歳の時に最愛の夫ピェールをの事故で失い、夫の跡を継いで、パリ大学でフランス初の婦人講師となり、家庭と研究生活の両立に戦ったものの、一九三四年、遂に悪性の貧血症で死亡している。結局、暗い最期であった。
 また、ポーランドの女性革命家ローザ・ルクセンブルクは、ドイツ共産党の創始者の一人であった。彼女は何回もの投獄や弾圧にも少しも屈せず戦い抜いてきた。しかし、四十九歳の時、逮捕され、自分の目標を達成することはおろか、達成の糸口さえもつかめずして虐殺され、一生を終わっている。
 また「風と共に去りぬ」で有名なアメリカの女流小説家マーガレット・ミッチェルは、世界的な人気を博しはしたものの、ジョージア州アトランタで自動車事故にあい、それが原因となり、淋しく死んでいます。
 また、有名なブロンテ姉妹たち薄幸な女性であった。というのは「ジェーン・エア」を書いた長女のシヤーロツトは三十八歳で死亡、しかも、その夫とは結婚後、わずか数か月目に死別している。「嵐が丘」を書いた次女のエミリーも三十歳で、三女のアンもやはり二十九歳の若さで死んでいる。
 日本においても、明治の婦人解放運動のといわれた福田英子は、投獄、弾圧、そして夫との死別、生活苦と、生涯、宿命に泣き、晩年には結局、不幸のなかにうずもれて、淋しい不如意の生涯を閉じております。
 明治の女流小説家・樋口一葉にしても二十四歳で死亡している。″薄幸の才女″といわれるゆえんであります。その他、申し上げれば数限りがありません。
3  こうしたな歴史のなかにあって、三世にわたる生命の実相をしに説き明かした日蓮大聖人の生命哲学だけがただ一つ、至難とされてきた女性の宿命転換を可能にし、かつ実証しきっているわけであります。
 したがって、皆さん方は、一生の幸福の基盤を確立するため、宿命打開のために、信心だけは頑張り通していってください。(大拍手)
 若くして妙法を信ずる皆さんが、宿命のきずなから脱することは間違いない。これは、末法の御本仏日蓮大聖人の仏法の根本原理であります。あとは実践するしかない。
 故に人類史のなかで、真に新しい女性の歴史は、昭和の今日に入って初めて、皆さん方の手によって作り始められたところである、と私は強調したい。皆さん方は、女性の真の黎明を、今、私どもが到来せしめたと叫びきっていっていただきたいのであります。(大拍手)
 皆さん方の限りない証明によって、女性なるが故に不幸であるということは、過去の物語となるでありましょう。
 事実、妙法は女性であるまえに人間であることの聡明さを教えております。竜女の成仏、女人成仏もその原理です。女性なるが故の特性を未来の人類のために十二分に発揮する道が拓かれたのであります。結局、幸・不幸は、全て皆さん方が真に妙法にめざめるか否かにかかっていることを自覚していただきたいのであります。(拍手)
4  第二に『壮大、華麗な希望に満ちた夢をもつのはよい。しかし、夢に化かされてはならない』
 夢に酔うだけなら、だれにでもできるし、また、世間には夢に酔っている人が多い。しかし人生は夢ではない。ただ夢に酔うだけならば、人生は最後には幻滅しか残らないものであります。夢はいつかは必ずさめるものです。青春は大いに謳歌していただきたい。しかし、その尊い青春の情熱をほしいままにし、夢に酔うのみで浪費に終わらせるならば、それはぐ愚行と化してしまうことを知っていただきたいのです。そのような愚行の青春であるならば、行く手は悔恨の人生となるだけであります。最後は悔いが残るだけです。
 故に私は、夢をねがいとして強くもつことが大事であると申し上げたい。それには、広宣流布の花盛りの途上における自らの使命を自覚し、妙法の、日蓮大聖人の命ずるままの実践に、尊い青春の情熱をかたむけていくことが、最も大切ではないかと、私はいっておきたい。
 それはなぜか。――大聖人のご聖訓に照らして、皆さん方の生涯が永遠の幸福への道に通ずることは明らかであるからといいたい。妙法の革命児たる若き女性の真髓は、この妙法を主体とする限り、自分の描いた夢は必ず実現する、といってよい。あとは、たゆまぬ日々の実践だけが、理想を現実と化し、夢のごとき願いを、実現することが必ずできるのであります。
 その力こそ、皆さんの生命のなかの妙法にある。したがって、一人残らず、所願満足の仏法の原理を確信して、それぞれの希いを成就しきっていっていただきたい。(大拍手)
 いかなる女性といえども信心を通して、所願満足が成就できないわけがありません。
5  第三に『来たるべき二十一世紀の世界をよくするのも、悪くするのも、その世界の力の半分は、未来に羽ばたく若き女性の掌中にあることを自覚すべきである』
 女性の最大の長所は、絶対の平和主義者であるということであります。この優れた特性が力をもつためには、鋭い感性をもって、広く知性をみがき、教養を深く身につけなければならない。これが、男性にしいたげられ、常に不利な立ち場に甘んじてきた女性が、なによりも心がけなければならない点です。
 最近になって、民主主義の一つの定義として盛んに男女同権がとなえられてきましたが、大聖人はすでに七百年前、「末法にして妙法蓮華経の五字を弘めん者は男女はきらふべからず」と本質的に男女同権を明かしておられます。したがって皆さんは、だれ遠慮をすることもない、大いに自己の個性をして、妙法の革命児らしく生き抜いていただきたいのであります。(拍手)
 現在までの世界は、全人類の半分を占める女性の、最も清らかな特性、鋭い感性等というものが発揮されずにきました。いわば、女性の力という半分がうずもれたままになっている。すなわち、女性の力によって世界を動かすことができなかったのです。そのために不幸や矛盾があり、戦争や不公平が生じてきたのであります。
 しかし、妙法を信ずる皆さん方若き女性の出現によって、いよいよ、その責任を果たすべき時代に入ったといっておきたいのであります。(大拍手)
 私どもは、太陽のごとき若々しい情熱、美しい感情と奥ゆかしい知性を身に備えた女性が続続として輩出するとき、野蛮にして無残なこの地上に、平和にして豊かな春が史上初めて訪れるであろうということを、確信していこうではありませんか。(大拍手)
 この縮図を、皆さん方一人一人の生命のうえに湧現し、一軒一軒の家庭に、地道に土台を確立していただきたいのであります。
6  第四に『過つことのない未来の幸福のためには、結婚を焦ってはならない』
 私達凡夫には、あすのことはいうまでもなく、一寸先もわからないのが常であります。その凡夫のせっかちな判断ほど人生を過まるものはない。結婚の早い遅いが幸福を決定するものでは決してない。結婚の幸・不幸はむしろ結婚そのものにある。
 日蓮大聖人は、妙法をたもつ皆さんの未来の幸福を、永遠に、明確に約束なさっておられます。妙法を信ずる力の強さだけが、過ることのない判断を下すことができるのであります。
 したがって、透徹した信力だけが一切を幸福へ幸福へと運ぶものであります。結ばれるべくして結ばれる良縁は、冥の照覧のもとに、必ずあることを知るべきでありましょう。
 ただし、ここで申し添えておきたいことは、年若くして結婚をすることも決して不賛成ではありません。本人はもちろん、親も喜び、友人も最も良縁であると祝福するならば、まことに結構なことであります。なお、壮年部、大幹部の方々にも、皆さん方のことについてはくれぐれもお願いしてありますから、いかなる相談でもしていっていただきたい。私は皆さんが、将来、一人も欠けることなく、幸福な家庭を築かれんことを心から願っております。
 皆さんが信心によって必ず築くであろう平和にして、溌剌たる一つ一つの家庭が、この地上に百花繚乱として無数に花開くとき、この社会は初めて寂光土の実現を目のあたりに見ることができる。これを私は″広宣流布″といいたいのであります。(大拍手)
 私の願いはただその実現だけであります。したがって、平凡な力なき私ではありますが、皆さん方に幸せな人生を生きていただくために、せめて″兄″として生涯戦っていく決意であります。(大拍手)
7  第五に『宿命を転じ、過去の因習を脱し、たくましく清浄な生命を勇現して、世に処する新時代の女性像とは、妙法に照らされた若き皆さんの未来像であるはずである』
 私は、皆さんが日々の不屈な妙法の実践によって、やがて輝くばかりの新時代の女性として成長し、この世の不幸を一つ一つ抹殺しつつ、自らも常楽我浄の最高の誇り高き人生を、生涯送りゆくであろうということを信じて疑わないのであります。(大拍手)
 日蓮大聖人は四条金吾の奥さんにあてて、妙法をに実践する女性のために、次のようなお手紙を残されております。
 すなわち四条金吾殿女房御返事にいわく「此の法華経計りに此の経を持つ女人は一切の女人に・すぎたるのみならず一切の男子に・こえたりとみえて候、所詮しょせん・一切の人にそしられて候よりも女人の御ためには・いとをし最愛と・をもはしき男に・ふびんと・をもはれたらんにはすぎじ、一切の人はにくまばにくめ、釈迦仏・多宝仏・十方の諸仏・乃至梵王・帝釈・日月等にだにも・ふびんと・をもはれまいらせなば・なにかくるしかるべき、法華経にだにも・ほめられたてまつりなば・なにか・くるしかるべき」と。
 「此の法華経計りに此の経を持つ女人は一切の女人に・すぎたるのみならず」――妙法が偉大な故に、それをたもった女性は最高であると仰せです。その自覚、誇りをもって進んでいってください。
 「一切の男子にこえたりとみえて候」――妙法をたもった女は一切の男性よりも優れた人生を築いて社会で活躍することができる。「所詮・一切の人にそられて候よりも」――人間の口には戸を立てることはできない。(笑い)しかし、どんなに批判されてもかまわない。「女人の御ためにはいとをしとをもはしき男に・ふびんと・をもはれたらんにはすぎじ」――あなたのためには、本当に大事にしてくれる人、愛してくれる人、その点はいろいろ解釈できるでありましょう。そういう主人(四条金吾)をもっているあなたは、それで十分ではないかといわれているのです。
 「一切の人はにくまばにくめ」――仏法を知らぬ世間の人から憎まれ口をいわれてもいっこうにかまわない。
 「釈迦仏多宝仏十方の諸仏乃至梵王・帝釈・日月等にだにも・ふびんと・をもはれまいらせなば・なにかくるしかるべき、法華経にだにも・ほめられたてまつりなば・なにか・くるしかるべき」――日蓮大聖人に護られ、三世十方の仏菩薩から賛嘆されれば最高ではないか。なんの苦しいことがあろう。この御書の通り、皆さんの人生は生涯、大御本尊とともにあるわけであります。
 皆さん方は、最後の一節「なにかくるしかるべき」を絶対に肝に銘じて進んでいただきたい、これが大聖人の結論であります。したがって、御本尊をだきしめていけば、大聖人の偉大なる生命が湧きあがってくる。三世十方の仏菩薩が必ず守る。この原理を瞬時も忘れず、誇り高く、私とともに力強く生き抜いていっていただきたいのであります。(大拍手)
 ともあれ、広宣流布の実現を目前にし、その機、熟した今日であります。皆さん方の揺るぎなき幸福が、生涯の生活のなかに厳然と築かれないわけはない。願いは絶対に成就されるでありましょう。それを確信し、いかなる境遇にあっても、私と一緒に、声高らかに題目を唱えきっていこうではありませんか。(大拍手)
 最後に、関西の女子部員に″晴れやかな幸福よきたれ″と祈りつつ、私の挨拶とさせていただきます。(大拍手)

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