Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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今後七年の戦い  

1959.8.1 「会長講演集」第4巻

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2  二、後半戦の折伏と教学
 黎明の年の後半期は、あくまでも、学会の本来の行き方である『信心』を根本とし、折伏と教学を根本として、仲良く楽しく進んでいきたいと思う。
 □ 折伏
 学会精神戸は折伏である。戸田先生から、学会から、折伏の二字を除いたら、何も残らない。後半戦は体育大会もあり、教学もやっていくが、広宣流布達成まで、少しのたゆみもなく、折伏をつづけていかねばならぬ。
 堀米猊下は、この春の総会の御講演で『折伏においては、断固として妥協は許されない』とおっしゃった。
 これは、地方選、参院選等で、学会が大きく活躍をはじめた。政治には妥協があり、世法である。ともすれば、それを折伏活動のなかに持ち込んで、折伏が世法に流れ、摂受におちいりやすい危険に対する、大きないめしめのおことばであったと拝される。
 さらに堀米猊下のおおせには『何百万の人がたとえ悪口をいおうとも、何十万の人が反対をしようとも、日蓮大聖人様の教えを、七百年の間、正しく守ってきて、一分一厘もたがえずに信心しておるということは、わが日蓮正宗のみであるという、誇りと自覚をもって、艱難なる折伏戦に、どうか堂々と邁進せられんことをお願いいたします』と。
 折伏にあたって、日蓮正宗創価学会の根本精神を忘れて、世法に流されては絶対にいけない。
 □ 教学
 また御書は、仏道修行のうえに、絶対の経文である。御書がなく、教学を忘れて、日蓮正宗はありえないし、創価学会はありえない。御書を離れては学会の指導者とはいえないのである。
 戸田先生が出獄されて最初に申されたことは『牧口先生時代のお弟子が弾圧されて一度に退転したのは、教学がなかったからだ。学会再建にあたって、学会は教学で立つ』といわれ、折伏と教学を雄心に猛烈に戦われた。そして、つねに『学会が世界に誇れるのは、広宣流布と最高の教学があることだ』と、先生はおっしゃた。
 教学の腹構えとして、まず御書のおことばを身口意の三業で読もう、体験で読もうということが大事だ。各個人の活動のうえで、どのように実践するか、どう証明していくか、くふうしていくのが信心即教学だと思う。今度の参議院選も、御書の一節を実践して大きな力をえたのである。
 もうひとつは、日蓮大聖人様の仏法に通達していくことが大事だ。青年訓に『行学に励み御書を心肝に染め、大聖人の仏法に通達して迷いなく……』とあるが、心ある学会人は、みんな御書を心肝に染めていく義務があると思う。戸田先生が、牢獄のなかで読まれたのも、経文であり御書であった。そして同時に題目を唱えきられたのである。
 教学も、戸田先生の学会の創成期の精神にかえらなければならない。いまの教学は教育的、事務的傾向に流れがちになっているが、先生の信心を根本とした教学、信心のほとばしった教学を続けていくことを、モットーにしなければならぬ。
 それには『源遠ければ流ながし』『一人立て、二人は立たん、三人はまた続くであろう』(国土訓)といわれた先生の原理を実行し、まず自覚した教学部員がひとり立てば、そのあとを、みんなが続くのだ。
 御書講義にあたっても、きた人が感激し、より信心を深め、折伏に励む推進となっていかねばならぬ。罰と功徳を、はっきり自覚できる教学を、教えていかなくてはならぬ。
3  三、参院選後の腹構え
 国立戒壇建立の関所ともいうべき、今度の参院選における大勝利の原因は、大御本尊様のお力と、会長戸田先生が終始じっと見守って指揮くださったこと、また学会員一同の真剣な、誠実な団結の活躍、この三であると思う。
 さらに、いよいよ広宣流布の機が熟して、自民党でも、社会党でも、共産党でもあきたらない民衆の心が、真実の正義の団体、真に民衆を救っていく団体、日蓮正宗創価学会を認識しはじめたのも、勝利の一因である。
 しかし、あくまでも創価学会は政治団体ではなく、全宗教界の王者であるという自覚を、さらに新たにしなければならぬ。また創価学会の幹部が、みんな政治界に選出するのだというような誤った考えは、厳にいましめなければならぬ。
 『勝ったときに負ける原因をつくる』『魔は天上界にすむ』という方程式を腹におさめ『勝ってカブトの緒をしめよ』、いよいよ峻厳なる信心をもととして、精進すべきではないか。
 そして、学会員以外の方で応援していただいた方々にも真心をこめて、ともに喜んでいただけるようにならねばならぬ。
 参院選後、新聞や週刊雑誌、ラジオ、テレビなどのマスコミ機関が、だいぶ大さわぎしている。無認識による誤った批判も多いようだが『大悪は大善の瑞相』とおおせのごとく、よきにつけ、あしきにつけ、創価学会の行き方が正しく認識される前兆である。
 季節に変わり目が必ずあるように、引き潮のあとには上げ潮がくるように、三障四魔、三類の強敵は必ず広布への節として出現しないわけがない。そのような誤れる一部の批判にまどわされることなく、毅然たる日蓮正宗の主張と、堂々たる創価学会の大精神とをもって、師子王のごとく前進をつづけようではないか。
 いまの政治家は党利党略、名聞名利のみ考えて、少しも国家のことを考えていない、男の芸者みたいなものだ。国を救い、民衆を救う力もなければ信念もない。政治家でなくて、政治屋という商売にすぎない。戸田先生は、治病抄(御書995㌻)の御講義の中で、次のようにおおせられた。『大聖人様は、小乗仏教で国家を治めようとしてもダメだ、大乗経典でなければ治まらないとおっしゃっているのです。大乗経典をわがものにした者は、大乗経典を自分の生命に打ち込んだ者は、そこから自然に、政治も文化も出てくると、おっしゃっているのだよ』と。
 さらに先生は『インドから出た大乗哲学を、あなた方からネールさんに読ませてあげなさい』とおっしゃった。大乗の中の大乗仏法、本門独一の大聖人の仏法をわがものにし、自分の生命に打ち込んだ政治家は、学会員のみではないか。
 学会から出た政治家こそが、慈悲をもって民衆を愛し、国家民衆のために、命をかけて働く国士である。また資本主義、共産主義のはるかにおよばない、王仏冥合の大哲学を指導理想として、日本の将来に対する根本的な国家百年の大計を立てて、最高の政策をもって政治を行なっていくのが、学会推薦の政治家である。
 願わくは、学会より立った議員さん方は、会長先生の御精神に恥じぬよう、また応援者の人人の期待にそむかないように、国家百年の大計への政治の勉強を一生懸命にやっていただきたい。
4  四、学会の永遠性
 『戸田先生の時代に帰れ』ということは、戸田先生がよく『信心は日蓮大聖人様の時代に帰れ』『教学は日寛上人様に帰れ』といわれたと同じように、なんでも行き詰まったとき、惰性に流れかけたときは、創成期の精神に帰ればよいという方程式である。
 牧口先生は、夫婦ゲンカの仲裁には、結婚した当初に帰れといっておられたということだ。信心が行き詰まったときは、信心したときの純真な、謙虚な信心に帰ればよいのである。
 『源清ければ流れは清い』のである。惰性に流れてはいけない。根本をきわめて、いつも、いつも、学会の創成期、信心第一の姿であらねばならない。
  戸田先生の 建設精神! 
  戸田先生の 開拓精神! 
  戸田先生の 闘争精神!
 その精神を、いつもとおしていくならば、学会はいつまでも発展するのである。
 社会一般においても、でき上がった組織の上にあぐらをかき、惰性や感情に流れ、安逸をむさぼって、過去の創成期の苦しみを忘れたときに、その組織力がくずれゆくのは、歴史が明確に物語っているところである。
 学会も社会のひとつである。学会という社会も複雑になればなるほど、源泉は峻厳なる信心を第一としなければならない。
 組織があっても、そのなかに、きびしい仏道修行の精神、求道精神がなければ、広宣流布の使命を果たすことはできない。
 全大衆に太陽のようにさんさんと輝く御本尊様の功徳力を知らしむるためには、信心をしているひとりひとりが、つねに歓喜にあふれ、信心の峻厳さにみなぎっていなければならない。
 戸田先生の御在世時代をふりかえってみると、ほんとうに楽しかった。そこには、きびしさあり、楽しみあり、希望あり、張り合いがあった。先生のおいでにならない今日、また今後に、学会においては、これと同じように、全幹部が、全学会員に対して、御本尊様を中心に、感動を与えていくものがなければならぬ。
 戸田先生の理想を、戸田先生の精神を、戸田先生の思想を、戸田先生のいぶきを、全学会員に、全民衆に教え切っていくことこそが『戸田先生の時代に帰る』間違いのない近道であろう。
 先生のお話は、御書をわかりやすく生活にあてて説いてくださった。われわれは先生のお話を通じて、御書がわかってきた。すべては先生のおかげである。先生を強くたたえていくのはおかしいという考えが、もし将来に少しでもあるとすれば、とんでもない間違いであり、それは学会の精神ではない。
 しかし一方では、真の先生の精神を知ろうともせず、なんでも先生を引き合いに出しさえすればよいというふうな軽薄な考え方も、また学会の精神に反するものといえよう。
5  五、第三文明論
 いま、二つの世界の対立は、世界民衆の幸福に暗い影を投げかけている。第一の世界はアメリカを中心とする資本主義社会、第二の世界は、ソ連を中心とする共産主義社会であるが、心ある人人は、第三の世界の必要性を痛感している。
 世界に平和をもたらす、この第三の世界こそ、資本主義でもない、共産主義でもない、第三の文明の栄える世界である。
 ときあたかも、わが地球上に第三の火がともった。第一の火は石油、石炭等の火である。第二の火は電気の発見によって生れた。第三の火は原子力の火である。
 いまや世界には第三の火がともり、第三の世界の出現を熱望している現代の民衆には、精神文明の世の中も、物質文明の世の中も、ものたらぬのである。どうしても、全民衆の根底からの欲求は、物でも心でもない。真実に渇仰しているものは、色心不二の生命哲学から出発した第三文明なのである。
 かつて会長先生は『最高の文化は広宣流布である』と、おおせになった。
 最高の文化とは、この第三文明であり、全人類が根底から要求しているところの、王仏冥合の思想である。この王仏冥合の思想について、さきに戸田先生は『新社会主義である』とおおせになった。いまのどんな知識人でも、ジャーナリストでもわからない、新しい全民衆待望の思想を、会長戸田先生が、打ち建ててくださったのである。
 二つの陣営のいずれにもつかず、自民党や社会党や共産党、また米ソ両陣営の思想、政治、文化をば、すべて指導していくのが創価学会の使命であり、その指導原理は、色心不二の生命哲学から出発した第三文明であり、その実現こそ、広宣流布なのである。
6  六、東洋広布への戦い
 未来七年を目標に、東洋広布へ向かってやりとげなければならぬ大事業は、じつにたくさんある。
 □ 三百万世帯の折伏
 会長先生が亡くなられる前、昭和三十三年二月十日に、先生のお宅におうかがいしたとき、先生は『このあと七年間に、三百万世帯の折伏をやろうな』とおっしゃられた。そのとき『勇気百倍です』とお答え申し上げた。この先生の御構想は断じて実現しなければならない。
 □ レコードの刊行
 聖教新聞で知るごとく、会長戸田先生の教えを、録音テープからレコード化することが着々と実行に移され、すでに御講義のレコードが一枚完成した。
 これは、会長戸田先生の根本精神を尽未来際まで、広宣流布への指針として、製作していくものである。先生の録音テープは、いま百六十二本に達しているから、百枚ぐらいのレコードにまとめていきたいと思う。
 □ 遺品、論文の結集
 続いて、来年は、会長先生の遺品の結集をはかっていきたい。これは会長先生の御精神を、いつまでも体していくためである。また、先生のあらゆる論文も、遺品結集と呼応して、あますところなく、まとめていきたいと願うものである。
 □ 大客殿の建立
 会長先生は、次の七年目に、大客殿の建設をいいのこされてかれた。『大客殿の建立は、台湾の檜、ガンジスの砂、カナダの杉をもってせよ』という雄大なる御遺言であった。ことしの末か、来年のはじめにかけて、世界中から、建築資材をもとめる仕事にとりかかる予定になっている。
 □ 多角的な文化活動
 広宣流布を実現するためには、多角的な文化活動を、活発にしていかねばならぬ。政治、経済、教育、文化、芸術……。あらゆる分野で、大活動を転開せんとしている。もちろん言論界への進出もはからねばならぬ。
 会長先生は、巻頭言に『国立戒壇建立の必要性を理解させるためには、一般大衆の支持を受け、言論界の理解を根幹とすべきである。強信にして、明治の高山樗牛のごとき人材を輩出させ、新聞、雑誌等の協力もえなければならぬ』とおおせられていたではないか。
 □ 広く知識を世界に
 青年の優秀なる人材を海外に留学生として、つぎつぎに派遣して知識を世界に求めていく。また先生のいわれた技術移民の形で、優秀なる技術者を海外へ送りたい。
 過去には遣隋使や遣唐使が中国にわたり、知識を求めてきた。徳川時代にも仙台からローマに青年を送っている。しかし、これらは一応快挙とすべきも、外国に対する追従のキライがあった。
 いま、われわれは『広宣流布は最高の文化である』との先生の教えの実践として、さらにまた『六巻抄』にある『広宣流布のときには智臣大徳宜しく群議を成すべし』とあるごとく、広く知識を世界に求めていくのである。そしてまた、この海外交流の一石は、梵天、帝釈が来下するときのための布石ともなり、世界に日本の正法を知らしめる露払いともなる壮挙であると信ずる。
7  七、世界の潮
 会長先生は、四、五年前に『いまに四、五年たてば、世界中が、アッと驚くようなことがあるのだよ』とおおせられていた。
 すでに世界の注視をあびた参院選の勝利を予言し、学会が日本の潮のみならず、世界の潮になるであろうことを確信しておられたのである。
 つい最近、イギリスの大使館から、情報部長が話を聞きにきた。日蓮正宗創価学会の実態について、研究もし、また教えもうけにきている。そのまえには、アメリカ大使館から同じく情報部長がきた。オーストラリアからも、哲学者が研究のため、学会本部を訪問している。ドイツやその他の国からも、研究にきたいという話もある。
 参院選後は、海外の一流新聞もよかれ、あしかれ、学会の大勝利を書きたてている。『ロンドン・タイムズ』しかり、米国の一流週間誌『タイム』しかり。二流三流にいたっては、枚挙にいとまがない。
 これは、一閻浮堤(世界)第一の仏法にふさわしく、一閻浮堤広宣流布の仏法にふさわしく、日蓮正宗創価学会の名字を、全世界に流布したのである。これ、日本国の広宣流布はもちろん、東洋広布、世界広布が達成できるという証拠であり、前提なのである。(当時、総務)

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