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中部三総支部結成大会 威厳と寛容

1961.5.24 「会長講演集」第2巻

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1  日夜、たいへん御苦労さまでございます。
 きょうは、ひさしぶりに支部の最高幹部の集まりでありますので、それに相応して、私も話をいたしたいと思います。皆さん方は、指導者であり、また、将軍です。戸田先生は、私どもが部隊長当時『あくまでも指導者は、将軍は、威厳と寛容とをもたねばならない』と教えてくださいました。『威厳』とはなにか、さまざまに解釈はできますが、私は信心であると思います。信心には、妥協はありません。大御本尊様をおしむ心、だれびとにたいしても信心第一の確信、強い強い確信の発露が『威厳』であると、私は思うのです。偉い人であるから屈伏する、おせじをつかう、女中、工員であるからいばるというような態度は『威厳』ではありません。
 また『寛容』とは相手の人々を思う、後輩を思う理解力、情けの気持、包容力であると思うのです。自分は幹部である、命令すればなんでも聞くというようないばりくさった、自分の部下と錯覚して、下にみていくような、睥睨していくような人は、将軍の資格がないと思うのです。指導者の資格がないと、私は思います。
 あくまでも後輩が、支部員、地区員、班員が、どうすれば信心がたっていくか、どうすればその人が納得するか。ああ、きょうはずいぶん疲れている、休ませてあげたいというように、個人個人にたいして、深い、深い包容力と、理解力と、愛情をもった人が、私は真実の学会の指導者であると思うのです。
 今、創価学会の目的は、ただ広宣流布にあります。個人個人の幸福と、社会の繁栄を目的として進んでおりますが、そのために、青年部隊長にたいして、宗教のことは、これは教えていくべき立場でありますが、経済、政治、科学、文学等、あらゆる各階層の一流の人々にすなわち名士に会わせて勉強をさせております。
 ところが、名士訪問をして帰ってきた部隊長の話を聞くと、なかなか理想的な大指導者は、偉大なる見識をもった国士はいない現状であります。帰ってきて報告を聞くと、どうもピンとこない。なんだかいばっている。ぜんぜん青年を愛してはいない。高い見識、理念というものをもっていない。有名人だからすごいと思ったけれども、がっかりですよというような報告が多いのです。
 私は、礼儀正しく、あくまでも教えていただく態度で、いろいろなことを勉強しなさいと教えているのですが、その報告からとおすと、私には、一流の人々を睥睨して部隊長が報告しているようには、どうしても思えないのです。それほど、日本の国には愚見の士が多いが、心から青年を愛し、民衆を愛し、祖国を愛して、真剣に戦っている一流人というものはいなくなってしまった。ただただ私は、創価学会の青年はもちろんでありますが、皆さん方、指導者が、偉大なる全民衆の指導者に育っていただきたいと念願するのであります。
 信心第一はとうぜんであります。私は、経済も、政治も、そして科学も、法律も、あらゆる学問を尊重いたします。また、とうぜん尊敬すべきものでございます。しかし、民衆の要求は、時代の移り変わりとともに、また人々の知恵の発達に応じて変わっていくのが自然の姿であり、道理です。ただ一つ永久に、絶対に変わらず、あらゆる学問、あらゆる思想、哲学の本源である、三大秘法の仏法を根本として、この人生を生き、人々にも幸福を与えていけるということは、最高のしあわせであると存じます。
 この大仏法、大宗教を根底にもっていれば、それでよいか。皆さん方指導者は、それだけでいいとはいえないと思います。結論はいいですが、私も恩師のもとに十年間、信心、大聖人様の哲学を根底として、経済学も教えていただきました。天文学、科学、化学、法律学、そのほか文学等々、あらゆる学問を、恩師は真剣にお教えくださいました。戸田先生は大学者です。それが、どれほど、私が世の指導者として、また世の人々を指導するうえにおいて、役立って重要になっているかということを、今になって感ずるのです。
 信心、教学をはずれて、そちらのほうの勉強をしなさいというのではありませんが、皆さん方も社会の指導者となっていくうえにおいて、新聞とか、または、そのほかのいろいろな本などは、いとまがあった場合には、お読みになることも、大きい一つの指導力の源泉になっていくと思うのですが。あらゆる階層を、これから向こうにまわして指導するのですから、一般の学問はなにも必要ないのだというような考えではいけません。その上に立って信心第一、また大哲学、大仏法、大教学にたいしては、微動だもしない、わが心肝に染めることを根本として、あとはその上に立って、おのおのの境遇、おのおのの持ち味、その特徴、特徴のうえにおいて、それぞれの学問を、または教学を身につけることも大切であります。これを全部生かしきっていこうという努力もしていっていただきたいと、私は思うのです。いいですね。
 最後に、さきほども、何回となくお話がありましたが、幹部の成長が、後輩のただ一つの成長の原動力になるということを、いつもいつも自覚して、そうして何人、自分よりもすぐれた広宣流布の闘士を何人育てたか、教学部員を、大指導者を何人見つけたかということを大きい誇りとして進んでいただきたいことを、重ねて念願申し上げまして、私の話といたします。たいへんに御苦労さまでございました。

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