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日蓮大聖人・池田大作

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3 核時代と「原水爆禁止宣言」  

「希望の選択」ディビッド・クリーガー(池田大作全集第110巻)

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4  「原水爆禁止宣言」の継承を
 クリーガー 今、核廃絶運動は、岐路に立っています。冷戦が終結して十年以上が経ちましたが、核保有諸国の安全保障政策の根本には何の劇的変化もありません。相変わらず、核兵器に依存した安全保障が続いています。もはやだれのためになるのか明言できないにもかかわらず、いまだに核抑止理論があてにされています。一方、こうした現状に対する反対も世界で強まっていますが、核保有国の政府は今のところ、むしろ反対運動を妨げることに力を注いでいます。
 しかし、現状の無期限な持続は、核による破滅に終わりかねないのです。ゆえに私は、戸田城聖氏の「原水爆禁止宣言」は、今日もなおきわめて重要であると思います。広くSGIの青年部が戸田氏の思想を絶えることなく継承していくよう、池田会長が努力しておられることを、心強く思っています。
 戸田氏の宣言から四十周年の折に、SGI青年部の国際的な集会(九七年九月十三日、東京で開催されたSGI世界青年平和会議)で、講演の機会をいただいたことは、本当に大きな喜びでした。
 池田 ありがとうございます。多くの青年たちから、所長の講演に対する感銘の声を、私は聞きました。
 クリーガー 戸田氏は青年部に大きな期待を寄せ、氏の宣言も青年たちに向けられていました。青年への思いは、私も同じです。
 池田 魯迅に「血の一滴一滴をたらして、他の人を育てるのは、自分が痩せ衰えるのが自覚されても、楽しいことである」(石一歌『魯迅の生涯』金子二郎・大原信一訳、東方書店)という言葉があります。
 私に接してくださる師の姿が、まさしくそうでした。弟子である私もまた、同じ決意で青年の育成に命を削ってきたつもりです。
 クリーガー 青年は「未来」です。青年は自分が受け継いでいく世界に、当然、発言権があります。核の脅威をなくすには、青年たちが大いに活躍しなければなりません。
 SGI青年部への講演の後、「アボリション(廃絶)二〇〇〇」への署名運動を、創価学会の青年部が日本全国で開始されました。私は心から感動し、励まされました。
 そして、わずか二、三カ月のうちに、千三百万人の署名を達成された。劇的な努力です。この署名簿はすでに、核拡散防止条約の各国代表と国連の事務総長に手渡されました。「アボリション」へ世論を向かわせ、全世界の政治的意志を形成していくには、この署名運動のような劇的な努力が、もっと必要です。もう一つ、私の期待として申し上げますが、この千三百万人の署名を、日本のなかでもっと活用し、日本の政府が核兵器廃絶の強力な主唱者となるよう、影響力をおよぼしていければと思います。世界のすべての国の中でも、日本の政府がもっとも、核兵器廃絶を主張する必要を認識しているべきなのに、こう申し上げねばならないのは、ある意味で残念なことですが。
 池田 おっしゃるとおり、唯一の被爆国である日本が核廃絶の先頭に立つことは、人類への義務とさえ言えます。
 クリーガー 今までは、日本の政治の指導者は、アメリカの核の傘から脱し、真の核兵器反対の立場を表明しようという勇気がありませんでした。これから日本の民衆が政治指導者に強く要求していかないかぎり、これは変わらないのではないかと思います。
 池田 ご指摘は、ごもっともです。「平和」を追求していく以外に、日本の活路はありません。ともあれ、私たち創価学会は、政治の状況がどうであれ、仏法者として、核廃絶のその日まで行動をやめません。永遠に「平和勢力」です。
 師の遺訓である「核兵器は絶対悪」との精神を、いっそう、力強く叫んでいく決意です。

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