Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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1 現代物質文明の病態  

「健康と人生」ルネ・シマー/ギー・ブルジョ(池田大作全集第107巻)

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6  みずからの行いで運命を転換
 池田 厳しい現実から目をそむけてはなりません。苦悩の“現実の声”に耳を塞いではなりません。すべてを自身の問題としてとらえていく、“開かれた心”であり続けなければなりません。私も人間であるかぎり、人間に関するすべてを自分のこととして関心をいだき続けようと決意しております。それが仏法の同苦の精神、慈悲の精神であり、仏法者たる菩薩の道だからです。
 そして、世界の運命をも転換しようとするのが、仏法です。仏法の真髄は、みずからの行いによって得た運命なのだから、みずからの行いで運命を転換していくことを教える点にあります。それが私どもSGIの人間革命の運動です。
 ブルジョ 打つ手は何もない、というのは、真実ではありません。私たちには、変えようとすれば何であっても、たとえそれが世界であっても、変えることができるのです。
 池田 そうです。今、困難を打破して、人間そのものを開発することが求められているのです。これまでの開発が引き起こしてきた問題は、近代においてひたすら物質的豊かさの拡大と充足を追求してきた科学技術文明のあり方そのものにかかわるものです。自然の摂理に長く翻弄されてきた人類は、さまざまな技術革新によって、自然の猛威を克服して環境を開発し、自分たちの生活向上のために利用できるようになってきました。
 やがて、自然は人類にとって統御し征服すべきものであり、無限に利用できるものであるという感覚が生まれてきました。こうした自然観が、「環境汚染」「環境破壊」などのいわゆる“地球的問題群”にも深くかかわっているように思われます。
 “地球的問題群”は、現在、きわめて文明史的な問題を投げかけています。あらゆる分野で、“何のため”という問いかけが必要です。“人間”は“人間のため”に英知を用いねばなりません。
 ブルジョ 社会で不均衡が目立ち、ひどい貧困が定着したとしても、技術開発がすべての病根であると言うことはできません。
 池田 たしかにそのとおりです。技術を生みだすのも、用いるのも“人間”です。“人間”をつくるしかありません。
 先進諸国が直面している精神的問題を解決するカギも同じです。二十一世紀に生きるにふさわしい人間をつくることです。
 さもなければ、苦悩に喘ぐ同じ地球の隣人に対して、手を差しのべることはおろか、関心をもつことすら、できないでしょう。

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