Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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2 ガンの予防と治療
「健康と人生」ルネ・シマー/ギー・ブルジョ(池田大作全集第107巻)
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人体は「悪」に対抗するものをつくる
池田
ガン患者には、幼児期に両親や愛する人を失うという孤独の苦悩を経験していることが多く(約三分の一)、それが精神的ストレスとなってガン発生の一つの引き金になっていることは、先ほどの河野博士の報告からもほぼわかります。また、ストレスのなかでも、愛すべき対象の喪失はもっとも影響が大きいとも言われております。
しかし、たとえ幼児期に両親を失ったとしても、人生の途上で「永遠なる父性、母性」にめぐりあえば、そうした精神的ストレスから解放され、ガン細胞と闘う力を増幅することができるものと思われます。この「永遠なるもの」、そこに内包された父性、母性との出あいこそ哲学であり、さらには宗教の使命だと思うのです。ゆえに、たとえば、宗教との出あいによって、その生き方の「実存的転換」が可能になり、そこからガンと闘う生命力が引き出されるのではないかと思われます。私は、このようなところに、ガンとの闘いにおける哲学や宗教の使命を見いだしているのですが。
シマー
何人かのガン患者を対象にして、性格上の問題があるかどうかを観察するとしても、ガンのような肉体的な病気が精神面にどのような影響をおよぼすかの推定や、あるいは逆に、ガンになる前に当人の性格を分析しておくということは、われわれにはできません。
患者の個人的履歴を見ると、病気の最初の徴候が出る前に何かストレスのたまる出来事があったことを知ることができる場合があります。しかし、ガン患者に対して、それがガンになった原因ですよ、と言うことは、私個人としては、避けたい。
深刻な病気を経験したり、何度もストレスを味わっている人でも、ガンにならない人がいます。また、ストレスと一口に言っても、それがどの程度のストレスかについては、きわめて主観的な要素が介在します。
池田
おっしゃることは、よくわかります。同じストレスを受けても、それをどう克服するかによって生体の反応は変わってきます。ストレスの対処法については、後ほど取り上げたいと思います。
ストレスに敗れてしまうか、かえって生命強化の力としていくか。後者の場合に「実存的転換」が起きるのだと思いますが――。
シマー
この分野が研究に値することを否定するものではありませんが、あまりにも多種多様の解釈が可能であり、実験モデルと証拠の不足もあって、われわれが確定的な判定を下せるようになるまでには、まだ遠い道程をたどらなければならないと思われます。
池田
アメリカの良心とも言われたノーマン・カズンズ氏とかつて対談した折に、氏は「人間に備わる『治癒系』と、人の精神が抱き得る『確信系』が共同して働き、病気の治癒に働く」との見解を述べておられました。
私たちの生命には、病気を克服する力が本来的にそなわっているのではないか、と思うのですが。
シマー
率直に言って、私も、人体はつねに内なる「悪」に対抗する、新しい何かをつくりだすと思っています。
池田
長年、ガン研究にたずさわってこられた博士の言葉だけに重みがあります。多くの人々に「希望」と「勇気」をあたえる一言です。
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