Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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1 ガンの歴史と現在
「健康と人生」ルネ・シマー/ギー・ブルジョ(池田大作全集第107巻)
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正常な細胞の中に「ガン遺伝子」が
池田
ガンにかかる原因については、今日、「発ガン物質」や細胞内の「ガン遺伝子」の存在などが指摘されています。正常な細胞がガン細胞に変わるメカニズムは、どの程度、解明されているのでしょうか。
シマー
ガン発生のメカニズムについての解明は、まだまだ進んでいません。
もう少し具体的に言いますと、今から二十五年ほど前には、ガンの原因は化学物質、いわゆる発ガン物質であると考えられていました。
池田
ウイルス説もありましたね。博士の恩師であるベルナール博士はウイルス説を強く主張していた、とお聞きしましたが……。
シマー
そうです。その後、ウイルスが原因ではないかと言われるようになり、さらにウイルス中の、ある種の遺伝子が原因と言われるようになりました。
ところが、人間の正常な細胞の中に、ウイルスの遺伝子と同じ遺伝子が発見されたのです。それが「ガン遺伝子」です。
池田
正常な人間の中にも、「ガン遺伝子」が見つかったというのは大ニュースでしたね。
シマー
ええ。その「ガン遺伝子」が、何によって発現し、またコントロールされているかは、まだよくわかりません。現在は、ある種の「遺伝子」(ガン抑制遺伝子)がガン遺伝子をコントロールし、私たちが「ガン」と呼ぶ異常な細胞の増殖を制御しているのではないかとも考えられています。しかし、その詳しいメカニズムは解明されていません。
そしてまた、最近は、ある種の「化学物質」がガンの原因として注目されています。つまり、ガンの原因に関する理論は、今のところ、堂々めぐりをしていて、大きな前進は見られていないのです。
池田
まさに混沌として予断を許さないということでしょうか。
シマー
ええ。ですから私が大学院で講義をするとき、その最初の講義のタイトルは「調和とカオス(混沌)」です。
人間の生命は、受精後、通常、九カ月あまりかかって、大きな可能性の幅をもって生まれてきます。ところが、成長していくにつれて、細胞内の“調和”状態に何らかの異変が起こり、“カオス”の状態になる。そこにガンが発生する可能性があると考えています。
池田
生命の本質への鋭い洞察だと思います。
仏法でも、“調和”を生命の健全な状態として重視しています。生命がダイナミックな調和をかなでるとき、そこには生の創造への輝きがあります。
仏法では、ギリシャ、インド、中国などの古代医学と同じように、身体は、「地・水・火・風」という四つの種類の要素(四大)によって成立していると説きます。“四大仮和合”と言って、四大が、仮に和合し、調和のダイナミズムをかなでているときが、“生”であり、調和が乱れると、さまざまな病気を引き起こします。調和、「和合」がまったく破壊されてしまうと“死”を迎えると考えます。
西洋医学とは異なる体系からですが、“調和”と“不調和”という視点から、生命現象をとらえている点では、共通しているように思います。
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