Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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序文 ルネ・シマー  

「健康と人生」ルネ・シマー/ギー・ブルジョ(池田大作全集第107巻)

前後
1  私と池田SGI(創価学会インタナショナル)会長との最初の出会いは一九九〇年の春にさかのぼる。それは創価大学とモントリオール大学の交流という枠組みのなかで生まれ、両大学の交流協定書の署名の場となった。私は、カナダSGIのご配慮で池田会長のご署名入りの著書である英語版『生命を語る(Life An Enigma, a Precious Jewel)』(講談社インターナショナル刊)を読む機会に恵まれたが、私はそのことにとても感謝している。私は生命の起源および種の多様性に対する著者の大胆で深い分析に深い感銘を受け、また東洋思想によって説かれる進化の法則についての新しい広がりに興味をそそられた。
 その会見の場で私たちは、生命の起源を説明したり、「われわれは何処から来たのか」「われわれは何者なのか」「われわれは何処へ行こうとしているのか」といった根本的な問題に答えるうえで、最近の分子生物学および遺伝学の進歩がもつ意味について長時間話しあった。私たちは調和(正常な成長と発達)
 と混沌(有害な成長とガンの増殖)の違いについて論じあった。私たちは科学者の社会的責任および高等教育の重要性について意見の一致をみた。創価大学の創立者としての同氏と、交流計画の内容や構成について比較し、学生の交換プログラムに同意し、さらに両大学を国際化していく必要性について意見を戦わせた。言うまでもなく、創価大学のキャンパスと諸施設に私は感銘を深くした。
2  その時、私たちはたがいに異なった文化および学問的背景をもちながら、共通する多くの類似点があることを発見した。病気やストレス、環境の悪化に悩む人々を気遣う一個の人間としての池田会長、ならびに大きな文化的広がりと開かれた心をもつ哲学者としての池田会長の両方に、私は個人的に深い感銘を受けた。私たちは哲学者と生物学者の出会いは興味深い対談になるのではないかとの思いをいだいた。
 一方の「生物学」は今日、爆発的な勢いで新たな発見が生まれているため、私たちは倫理問題の最先端に立たされており、社会における賢明な管理運営が要求されている。
 もう一方の「哲学」はすべての学問の母である。これは世界の大学が与える最高の学位が『哲学博士』であることからも、ひろく認められている。
 会談を進めていくなかで、私たちは生命倫理と教育の分野に優れた実績をもつ著名な学者が加わるこ
 とは、この対談に新たな広がりをあたえることに気づき、モントリオール大学のギー・ブルジョ教授を招き、加わっていただいた。氏の加入はきわめて貴重であった。
 対談を進めるなかで、池田会長は一貫して、読者が楽しく読むことができるように、できるだけ科学的専門用語は避けて平易な言葉を使い、どうしても扱わざるをえない学術的な部分においても、専門家でない方々にもわかる一般的な言葉を使って説明しようと主張された。
 本書は健康と病気、生命倫理と教育を扱っている。とくに、ガンとエイズの問題に焦点が当てられている。著者たちを分かつ距離や言語、そしておのおのがかかえる膨大な仕事量といった困難な条件にもかかわらず、このたび本書が上梓の運びとなった。編集陣の方々は、本書推進の専門家として見事な仕事をされた。私たちは彼らの終始変わらぬ励ましと心遣いに衷心より感謝の意を表したい。

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