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日蓮大聖人・池田大作

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教育という「聖業」への献身  

「21世紀の人権を語る」A.デ・アタイデ(池田大作全集第104巻)

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1  池田 総裁はご自身でも、学校の創設を進められているとうかがいましたが、どのような構想の学校なのでしょうか。
 アタイデ 政治にたずさわる人を育成するための学校「政治研究院」です。リオデジャネイロの北東に位置するカンポス市にありますが、ここは文化活動のさかんな豊かな都市で、砂糖やアルコール、石油などを生産しており、ブラジルで最初に電灯がついたことを誇りにしています。
 また、ここには、広い面積を有する国際文化院があり、過去三年間に三万人を超える訪問客が訪れた「ソラール・ダ・バロネーザ(男爵夫人邸)博物館」があります。私はその横に、ハーバード大学のJ・F・ケネディ政治学院を模範とする「政治研究院」を創設することを決めました。
 池田 J・F・ケネディ政治学院は、私もご招待をいただき、「ソフト・パワーの時代と哲学」と題して講演したことがあります。総裁のご構想が実現することを祈っています。
 アタイデ ご理解に感謝します。一万六千平方メートルの建物は、努力と忍耐の積み重ねによって、校舎建設が終わりました。
 この学校は、人間性豊かな政治リーダーを育成することを目的とします。学校を実際に機能させ、モラルある人間を公共の目的に仕える専門家として育成し、能力ある新しい世代の政治家を輩出できれば、ブラジルは民主主義を守ることができるでしょう。新しい世代の台頭なくしては、現在の規則無視と誤謬が繰り返されるだけで、民主制度を擁護することは不可能です。
 このように、新たな世代の政治家を育成することのみが、軍による権力奪回の可能性を回避することになるでしょう。
 カンポス市における政治家養成学校を創るために努力することは、自由を望み、あらゆる種類の差別に反対する社会を、ブラジルに、いわば世界の一部に建設することを保証するものです。
 池田 創価学会も「創価教育学会」として出発したことは、先に申し上げたとおりです。「教育は人格価値の創造なり」との信念をかかげ、生命を賭して軍国主義と戦った牧口会長、そして、師とともに教育の実践者として奮闘した戸田第二代会長。私は両会長の遺志を受け継いで、教育事業に最大の努力を払ってまいりました。
 一九六八年に創価中学・高校を、一九七一年には創価大学を創立、その後、小学校・幼稚園を創立し、一貫した人間教育の実現に全力を注いできました。
 創価大学はモットーとして、
 ①人間教育の最高学府たれ
 ②新しき大文化建設の揺籃たれ
 ③人類の平和を守るフォートレスたれ
 をかかげています。いまだ、歴史の浅い大学ですが、今日まで世界の約五十の大学との交流が進んでいます。二十一世紀には、この学舎から人類の平和に貢献する人材が、陸続と輩出されると確信しています。
 アタイデ 池田会長は、十年以上も前から私の精神を虜にしてきました。それは、会長に“未来を指し示す者”以上の者、すなわち、「教育」を起点として、新たな精神に人類を導く指導者の姿を見たからです。
 池田 もったいないお言葉に襟をただす思いです。私は教育という聖業のために、残された時間のすべてを捧げていきたいと決心しています。
 教育は未来を創るものです。世界の哲学史をひもといて、古代ギリシャの哲学者ソクラテスをみても、プラトンやパイドンをはじめ多くの弟子を育てています。そして、有名な『ソクラテスの弁明』の末尾において、ソクラテスは、多くの弟子たちが自分の遺志を継いで、人々に知を愛し、求めさせる実践をつづけていくであろうと、弟子たちへの無限の信頼を表明しています。
 アタイデ 池田会長が創立された創価大学と同じ崇高な目的のために、私も大学(政治研究院)を創立しました。私は大学創立のために苦慮しているがゆえに、池田会長が偉大なる教育者であることを、深く感じることができるのです。
 私たちが創立した大学は、二十一世紀において不可欠となる、普遍的理想主義のために貢献するでしょう。そして、世界が一つとなり、平和追求の行進を開始するという至上の願望をかなえてくれるでしょう。その願望は民主主義の理想が存続する限り保障されるでしょう。

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