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日蓮大聖人・池田大作

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自らの欲望で教団を衰亡させた聖職者達  

「21世紀の人権を語る」A.デ・アタイデ(池田大作全集第104巻)

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1  池田 「人間のための宗教」が、いつしか「宗教のための宗教」になって、腐敗、堕落していった姿は、仏教にもあります。
 歴史的にみて、教団を衰亡させていったのは、深い信仰心からの供養を享楽や欲望のために使う聖職者たちです。
 インドで、仏教が滅びた原因も、僧院に閉じこもって、民衆の供養の支えで生きていた僧たちが堕落して、民衆の信頼を失ったことにあると指摘する学者もいます。また、敦煌文書によると、敦煌の衰退の大きな原因は、堕落した僧侶たちが高利貸しなどまでを行い、民衆を苦しめていたことにありました。
 アタイデ 世界でも、宗教、政治、司法などに汚職や暴力がはびこっています。また、聖職者やその仲間が私腹を肥やすことを目的とした宗教が非常に増えています。
 ところが、誤った聖職者への非難を宗教的迫害ととり違えて、聖職者を護るために、個人的犠牲をいとわない“狂信者”が現れます。それは、実際に起こっていることを正しくとらえる力が、まったく欠落しているからです。
 池田 私たちの身近にもいます。何が正しい信仰かを見失い、あまねく人間の真の幸福を願った創始者の精神をまったく理解せず、ただ権威に服従している。正しき宗教とは、民衆を賢明にするものであるはずです。それゆえ、私どもは、真実と正義をつねに叫びつづけているのです。
 宗教は人間性を深くはぐくむ土壌であり、信仰をもつことは人間の本来のあり方といえましょう。ゆえに、人類進化の過程で、人間らしさを知る指標として、宗教心の有無が取り上げられるのです。
 後ほどくわしく述べますが、人権とは、「全人格的な発展」であるとの主張が高まっております。人間が人間らしく生きるために必要なすべてが、人権として保障されなければなりません。人間が人間らしく生きる――そのためには、精神の自由の確立が何にもまして大切なのです。
 アタイデ 宗教の問題について語るとき、その精神の卓越性を示す優れた例が池田会長です。私は、池田会長を“世界の教育者”、地球改革を進める“創造的第一人者”の一人であると思っています。
 宗教の問題は、「世界人権宣言」と、その精神を来世紀にどう伝えていくかをめぐる、この対話の全般にかかわる問題であり、二十一世紀の最も重要な問題の一つになるでしょう。
 池田 フランスの哲学者ヴォルテールの言葉に、「私は、お前の言うことに反対だ。だが、お前がそれを言う権利を、私は命をかけて守る」とあります。人間の権利は厳守されなければなりません。そのために、どこまでも「対話の王道」を進むことが大事であると信じています。
 アタイデ 私たちの対話の目的は、「世界人権宣言」に基礎をおく新たな人間主義が、二十一世紀において、どのように出現するかを知ることにあるのです。
 池田 会長が数々の著作によって人類に貢献されている目的は、私自身が「世界人権宣言」で貢献しようとした目的と合致するものです。

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