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「世界人権宣言」のもたらした世界的影響…  

「21世紀の人権を語る」A.デ・アタイデ(池田大作全集第104巻)

前後
1  アタイデ 第三委員会の作業が終了し、各国の代表団が互いの健闘と成功を称えあって別れの挨拶を交わしていました。私は、ルネ・カサン博士、ルーズヴェルト女史と言葉を交わし、全人類の基本的な権利を保障しうる時代が始ま
 りつつあるという明るい展望とともに、今後の歩むべき道程の遠さ、険しさ、障害の多さについて語り合ったのです。
 池田 「人権の道」は終わりなき道です。一つの終わりは、また新たな出発です。
 「世界人権宣言」は、その後の世界に、国連はもちろんのこと、ヨーロッパ、アフリカにおける人権保障体制、さらには各国憲法の人権条文にいたるまで、さまざまなレベルで影響を与えました。
 一九五〇年十一月に採択された「ヨーロッパ人権条約」には、その前文において「『世界人権宣言』を考慮し」と表明されています。
 国連では、一九六六年に採択された「国際人権規約」が代表的です。ここには、「第一世代の人権」と「第二世代の人権」という、二つの権利の主張が色濃く反映されています。
 こうした取り組みは、国連の人権機構の構築に寄与するとともに、アメリカ、アフリカなどにおける人権保障機構の方向を決定づけるものとなりました。すなわち、六九年十一月にサン・ホセで署名された「米州人権条約」も、前文で「『世界人権宣言』にしたがい、恐怖と欠乏からの自由を享受する自由な人間の理想」と謳い、六三年五月にアジスアベバにおいて採択された「アフリカ統一機構憲章」も、その目的の一つに「国際連合憲章及び世界人権宣言を十分に尊重して、国際協力を促進する」と高らかに宣言しております。
 国レベルにおいても、憲法に反映された例は、ギニア(一九五八年)、マダガスカル(一九五九年)をはじめ、多く認められるところです。
 アタイデ 今日、人権問題は世界のすべての地域で、人々の関心を集めているテーマです。「世界人権宣言」の三〇カ条におさめられた要諦は、非常に深い内容であり、何かを付け加えたり、削除したりする必要はないのです。「宣言」はまったく変更の余地のないものです。

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