Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第三章 「部分」と「全体」の調和  

「世界市民の対話」ノーマン・カズンズ(池田大作全集第14巻)

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5  世界観の変革を粘り強く
 池田 教授のその構想に、私も賛同します。しかし、おっしゃるような国連の世界連邦化は、ある種の人々には世界の現状を認識していればいるほど、そしてそれを苦慮すればするほど、夢物語に聞こえるかもしれません。その世界連邦化への道にすすんで身を乗り出していくには、どうしても人々の意識変革が、ことに世界観の変革が欠くべからざるものとなります。
 それには、今日までの歴史的過程で人々に最もなじみ深い単位である国民国家の相対化はもとより、そのほかの思考面、あるいは思考軸を見直していかねばなりません。
 もちろん、人間の意識変革は″言うは易く行うは難し″であって、ねばり強く進めねばなりません。とくに責任ある立場の政治指導者に、そのことを強く要望しておきたいと思います。
 カズンズ 私もそう思います。今日、必要なのはまさに国連の改革強化へ努力がなされるべきだと、十分な数の諸国が主張すること。これが必要なことのすべてです。
 たとえば米国は、国連の構造改革こそ米国自身の対外政策の基本方針だと宣言できるはずで、実際そうしてこそ、他の国々から、大国からも小国からもともに、賛同が得られるという期待が理にかなったものになります。
 国家主権という心配の種は、たしかに政治指導者によって育てられるものです。
 希望は、ベルリンの壁をとりはらい、東欧では独裁政治を打倒した、あの勢いを世界各地の人々がつくりだすだろうというところに、なくてはなりません。民族の自主独立に人々が心をはずませるのなら、地上の生存条件を守れる世界統治体が出現する可能性にも、せめて同じくらい心をはずませてもいいのではないか。こう望んでも、由なし事ではないと思います。
 池田 日ごろの私の所感そのままを、教授が語ってくださった思いです。チェコスロバキアの指導者ハベル大統領は、人間の意識の地球的変革が先行しなければならないとして、それなくしては環境問題であれ、社会問題であれ、文明そのものを破壊する困難な問題には挑戦できない、と主張しています。こうした発想が、世界の政治指導者の間に、さらに広がることを期待したいものです。

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