Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第四章 首脳会談と民間外交  

「世界市民の対話」ノーマン・カズンズ(池田大作全集第14巻)

前後
5  民間の英知の創造的反映
 池田 現今、大きな問題となっている環境問題にしろ、核兵器の問題にしろ、民間の英知をどう創造的、建設的に国家の政策に反映させていくかという点を、私たちはさらに真剣に考えるべきときがきています。この点でも、民間人による東西間と南北間の対話、交流がさまざまな分野でもっと重層的に進んでいけば、まさに時代を動かす大きな力になっていくのではないでしょうか。
 カズンズ 私どもの民間人会議を発案したのは、元大統領のアイゼンハワー氏です。氏が発案にあたり表明した希望は、双方の政府から信頼されている民間の有識者たちが対話をしていけば、外交官同士の会談ではあれやこれやの理由で浮かびあがってくるとはかぎらない糸口を探求することができるだろうし、そのことによって民間人同士は有益な役割を演じられるだろう、ということでした。
 この期待には、民間人が職業的な外交官のまねをしたり、その地位を軽視したりしてもいい、という意味はふくまれてないと思います。その意味するところは、それとはまったく反対の方向でしょう。公式の対話では交わされることのない問いをもちだし、それに対しての答えを探求していくのが、民間人ならではの役割ではないでしょうか。既成の枠組みよりも広く大きな前後の関係をふまえて考えもし、発言もしていけるのが、民間人ですから。
 池田 まさに″民間外交″の役割を的確に指摘されており、まったく同感です。たとえば、今の日本のおかれた国際的立場においても、まったく同様のことがいえます。
 カズンズ 公式の外交官レベルでおこなわれる活動や決定のすべてを擁護する義務は、民間人にはないだろうと思います。
 それよりも、歴史の証明する原理を取り入れた考え方をするゆとりが、民間の有識者にはありますし、このゆとりを生かしていくのが民間人の役割であるはずです。
 また、政治的問題であれ政治的対立であれ、その根をなすのは往々にして道義的争点ですが、その点に関しても民間人なら尻ごみしなくてもいいわけです。そこにおのおのの政府を引きこんで直接、関与させることは望めないとしても、問題の道義的対立点をたがいに明確にしあう作業と取り組むなら、まさにそこにこそ、世論が創造的に、建設的に国家の政策に反映されていくプロセスが開拓されてくるでしょう。

1
5