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日蓮大聖人・池田大作

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かけがえのない惑星を守るには?  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

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1  かけがえのない惑星を守るには?
 われわれはまた、今後人間が地球にもたらす衝撃が、比較を絶する大きさになるだろうということを理解しなければならない。人口と需要の爆発的増加、技術圏(テクノスフェア)の恐るべき拡大の実態をみると、人間がもたらす衝撃についての疑念は動かしがたいものとなる。今日地球上には四十七億の人間が生きているが、この数字は人類誕生以来、地球上に現れた全人類(七百ないし八百億と見積もられている)の中でもかなりの比率(おそらくは六パーセント前後)を占めており、現在生存している世代は死ぬまでに人類の先祖すべてが消費した以上の天然資源を消費するとみられる。今後数十年間にさらに増加が見込まれている数十億の人間が、この棲息環境に適合していくうえでの必要性を満たすことを考えると、状況はまったく手に負えないものになりかねない。
 もしわれわれが、旧来どおりの無責任なやり方にしがみついていくなら、地球は極度に衰え、人類は、文化的にも経済的にも、道徳的にも敗北するだろう。さらに、地球の総体的な生命維持能力は極度に低下し、人類の棲息環境の大部分は不毛の地となり、これからここに生きなければならない、いま成長段階にある十億の人間を生き永らえさせていくことは不可能となるであろう。
2  そこでわれわれはただちに軌道を修正し、たったひとつのかけがえのない惑星をいかに利用し、変えていくかを考えていくうえで、秩序と規律を再構築しなければならない。土地利用・管理研究は地域レベルでは、政策作成上、欠くことのできない過程であることが判明した。だが、これだけでは十分ではない。相互依存と協力がますます増えてきたこの揺れ動く世界で、地球全体の棲息環境の責任ある利用・管理は、今後ますます不可欠なものとなろう。まず第一になさなければならないのは、土地利用に関する現在の実態をいかに把握できるかを検証するとともに、この問題を地域レベルから世界的なマクロのレベルに転換する場合に、どのような方法論を導入するかを決定することである。
 土地利用研究全体の背景にある思想は、ちょっと考えを巡らせるだけでも明快である。歴史上初めて、すべての人間、すべての国家は、限られた棲息環境しか与えられていない惑星を現実に共有しなければならなくなった。また、われわれは、他の多くの要素にも拘束されている。かくしてわれわれは、最終的には同じ運命をたどることになりかねなくなった。われわれ一人ひとりの運命は、最終的には地球全体に降りかかる運命、なにびとも避けることができず、世界の棲息環境がいかに利用され、保護されるかによって大筋が決定される運命と、異質のものではありえない。したがって、東、西、南、北のいずれに住もうと、いずれの人間集団も、世界全体の棲息環境と、他のすべての人間集団の棲息環境がどう管理されているかにとどまらず、そのための予備研究がいかなる方法で、どれだけ早く実行されるか、という点についても特別な関心をいだいていくべきである。
 (一九八四年二月、ローマで)

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