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日蓮大聖人・池田大作

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六、権利と義務について  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

前後
10  ペッチェイ 保存と開発を調和させるための、全地球的な生態学的戦略の基盤を考察するのに必要とされる研究活動や討論活動は、広範囲にわたって道徳・政治・経済上の影響をもたらすことでしょう。
 そうした計画は、後につづく世代に対してわれわれが負っている責任と、地球の環境を健全で生産力あるものに保つことがいかにわれわれ自身にとっても利益であるかを強調することになり、それによってわれわれは、全人類を結ぶべき新たな団結の絆と、人類が生物全体に対してもつべき責任についての意識を強めることになるだけでなく、さらに別の、二つの基本的な事実についての意識を高めることにもなりましょう。その一つは、人間同士の間に平和が行き渡らないかぎり、自然との平和も決してありえないということであり、またもう一つは、地球の保護は、世界的な経済活動を促進しこそすれ決して窒息させるものではなく、むしろ、さもなければ失業を宣告されるはずの人びとに、広範な新しい仕事と自営業の機会を生み出すものだということです。
 こうした全地球的な計画は、われわれに、現代の変化した現実と必要事項をいやでも認めさせてくれますし、それによって、われわれが、物質革命に盲目的に有頂天になっていた時代に蓄積した病害や毒素から、知性と精神を洗い浄めるうえでの手助けとなることでしょう。
 私たちの地球のこのうえない美しさと豊かさを見つめるとき、この地球を私たちの生存自体と歓びのために保存すると同時に、物質革命がもたらしうるあらゆる便益を享受しつづけるためにも、われわれは地球が表現しもしくは必要とするすべてを尊重していく、より高度な目的に自らの欲望を貢献させていかなければならないということが、理解されるであろうと私は信じます。そして、これは、われわれの欲望を人間革命に調和させることによってのみ可能となるでしょう。

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