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日蓮大聖人・池田大作

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五、南北格差と教育のあり方  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

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6  池田 「南」の国々の自立化のためには、一国一国が孤立してではなく、集団的にブロックを作って協力し合っていくべきであるというお考えは、まことに重要な点であると思います。自立と、そのために不可欠の内的充実を妨げる最大の障害は、内部抗争であり、隣接する発展途上国同士の争いです。同じ一つの国の中において、部族同士がいがみ合って血を流し合うことなど、愚かという以外にありません。一日も早く国内の争いに終止符を打ち、さらには、同じような条件におかれている発展途上の諸国が協力して国の建設、経済開発、また、なによりも教育にも取り組んでいくということが望まれます。
 とくに教育に関してブロック内協力ということでいえば、私は古くヨーロッパの歴史を振り返ってみると、中世のヨーロッパにおける教育は、まさに、その手本であったといえると思うのです。イタリアのボローニャ大学、フランスのパリ大学、イギリスのオックスフォード、ケンブリッジ大学、ドイツのハイデルベルク大学等々には、たんにその国の青年だけでなく、ヨーロッパ各地からやってきた学生が学んでいました。
 それぞれの大学によって、どの学科にすぐれた教授がいるかという特色があり、青年たちは国籍によってでなく、学ぼうとする学問によって、めざす教授のもとに集まったわけです。同じことが、今日の途上国の教育についても考えられます。
 そして、このように国境にとらわれない教育のあり方の利点は、次代を担う青年たちに、国境にとらわれない視野を与えることができること、また、こうした大学生活で結ばれた友人たちが、やがてそれぞれの国でリーダーとなったとき、国同士の紛争を未然に防ぎ、さまざまな問題に対処するための話し合いと協力を円滑化する土台となるということです。その意味でも、あなたのご構想に、私は心から賛同するものです。

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