Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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四、支配者から保護者へ  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

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4  池田 人間は、自然に対して、支配者ではなくて調整者でなければならない、さらにいえば、貢献者でなければならないという考え方が、いまこそ基本的態度として徹底されるべきであると考えます。
 もちろん、自然は、常に優しい存在であるわけではありません。この地球上でも、地域によっては、自然は常に人間にとって戦わなければならない相手であることもあります。日本などは、自然が温和で恵み深いことでは典型的といえる地域でしょうが、それにしても、洪水や地震など、あるいは火山の噴火など、ときとして狂暴な牙をむいて襲ってくることがあります。
 だからこそ、人類が、これまで自然を力でねじ伏せ、支配しようとしてきたことも無理からぬことでありましたし、それは認めなければなりません。しかし、いまや科学技術の強大な力を駆使するようになって、自然がその状態においてもっている人間への恵みをかえって破壊し、不毛化しようとさえしていることに気づく必要があります。
 人間の自然万物に対する関係は、じつに複雑であり、そのあるべき姿というのは微妙でしょう。その地域の自然がもっている特徴に応じて、一律的にはいかないでしょう。ただいずれにしても、人間による一方的な独裁的支配は、かえって人間自身の破滅を招くことを知らなければなりません。そして、なによりも大切なことは、支配欲や物質的欲望に身を任せるのでなく、自然万物からの計り知れない恩恵によって自身の生命が維持されていることを正しく認識し、自然万物のより豊かな生命的営みを助けるために貢献していこうという姿勢をこそ、根本にしていくことです。

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