Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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三、自由の尊重と行使  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

前後
2  ペッチェイ 他の人びとの、望みどおりに生きようとする自由を尊重することは、非常に大事なことです。そのことは、人びとが小さな、かなり散在的な共同体に分散して住んでいた仏陀の時代にも、きわめて重要なことでしたが、不規則に伸び広がった都市に、膨大な数の人びとがほとんど重なり合うようにして生活している今日では、より一層重要なことです。そうした都市のいくつか──たとえばカルカッタ──は、仏陀時代の全インドの人口よりも、おそらくたくさんの人口を抱えています。
 しかし、他者の自由を尊重するという消極的な行為だけでは、まだ十分ではありません。原則的には自らの生き方を選ぶ自由があっても、社会・政治的または経済的な条件によって、自由の行使を妨げられている人びとがいたるところに──あなたの近くにも、私のそばにも、私たちの読者の周囲にも──たくさんいます。われわれは、たんに他者の自由を尊重するだけでなく、あらゆる国の人びとが自由を行使できる立場になるよう、力を尽くさなければなりません。それには、この世界から、集団的な無知、貧困、不健康、その他の社会悪を払拭し、同時に、中央集権化された権力がいまや過去のどの時代よりも容易に加えうる政治的自由規制を取り除くために、総力をあげ、一致協力してこれに当たらなければなりません。
 池田 人間が社会的になすべきこととして挙げれば、博士のおっしゃるとおりです。私が申し上げたいのは、そうした行動・実践が目的とすべきものは何か──それは各人の宿命と戦う内面的自由を尊重し、真の自立をもたらすことであり、そこに目的がおかれなければならないということです。
 その点を見失うと、社会の改革という名のもとに、個人の自由と尊厳性が奪われる結果におちいる恐れがあるからです。

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