Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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愛と慈悲  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

前後
3  本能の深みに根を張りながら、しかも“愛”と“慈悲”があらゆる人びとに平等に注がれるものであるためには、あらゆる人びとが本当の意味で「わが子」であり「私の兄弟」であるというつながりへの、実感をともなう認識が打ち立てられなければならないでしょう。こうした、あらゆる人、あらゆる生き物に対する開かれた認識をもたらすところに、普遍的な“愛”や、一切の生き物に注ぐ平等の大慈悲を説く宗教の目的があったといっても過言ではありません。
 キリスト教は、自らを神の子と称え、すべての人を愛で包むことを宣言したイエスによって創始されました。仏教は、生命の究極の法を覚知したがゆえに仏陀(覚者)と名乗った釈迦牟尼によって打ち立てられ、仏陀は一切の人びとに雨のように大慈悲を注ぐ存在であると説かれています。
 人間の利己的本性、とくに前述した支配欲のもたらす危険性がますます増大していくなかにあって、それを食い止める力は“愛”と“慈悲”の利他的な力を深める以外にないことは明白です。では、この“愛”と“慈悲”を教えている諸宗教は、人間の滅亡の運命を克服することが、果たしてどのようにして可能なのか、あるいは、その有効な働きが発揮されるにはどのような条件が必要なのかを、考えてみなければなりません。

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