Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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九、人間の新しい立場  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

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4  ペッチェイ 人間は、疑いもなく、他のあらゆる動物とは比較にならないほど大きな知力と知識をもっており、それが人間を他の動物から区別しているわけです。しかし、人間は、まさにその知識自体によって、他に先んじていればいるほど、それだけ一層自らの人間性に本来備わる至高の責任があることを感じるべきでしょう。ところが、われわれは、現在のような行動をとりつづけることによって、自分たちがもっているふりをしている倫理的霊感が偽りにすぎないことを曝け出し、自己の領域と考えているものを愚かしくも疲弊させ、荒廃させているのです。時折、私は、神から運命づけられて自らが世界の支配権を握っているのだという人間のうぬぼれこそが、いまわれわれ自身を複雑な危機におとしいれている最大の原因の一つではないかと、自問しているのです。
 さて、もう一つの問題──動物に心があるかどうか──ですが、これは私にはお答えできそうにありません。ただ、非公式にあえて言わせていただけば、われわれ人間がいまのように独善的で無情でありつづけるのであれば、動物たちが人間と共通にもっている多くのものの中に、なんらかの精神的輝きがあるかどうかを考える以前に、われわれは、自分自身の精神性を疑うべきでしょう。
 いずれにしても確かなことは、あらゆる領域にわたる人間と動植物の生命との関係を含めて、世界についての、またその世界で人間が占める位置についての、私たちの考え方を全面的に改めるべき時がきているということです。

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