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日蓮大聖人・池田大作

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七、食糧の供給と分配  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

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8  池田 まことに、おっしゃるとおりです。私が、それぞれの国が自国の人口を養う食糧は自国の手によるべきであるという意味のことを言ったのは、基本的な考え方として申し上げたわけです。現実には、土地が痩せていて食糧生産の不可能な地域もあります。開墾し農地化するよりも、自然のままに残すべき景勝の地や、貴重な生物の生息する森林や平野もあります。
 ただ、間近に日本で行われていることを見て感ずるのは、本来、農業が行われてきた土地が、どんどん宅地化され、工場が建てられているのは、まさに本末転倒ではないかということです。工業地域などは、元来、農業に不向きな、痩せた土地につくられるべきで、農耕可能な沃土は、最大限農地にする必要があります。住宅用地も同様です。
 それぞれの国の中においても、そうした配慮がなされるべきであると同じく、国際的な協力関係・連帯が確立された場合、全地球的規模で分業化が行われるようになるでしょう。しかし、その場合も、そうした配慮が必要ではないでしょうか。いまは工業地帯は温帯地域に広がっていますが、将来は、巨大工業地は砂漠などに建設され、しかも作業はオートメーション化されて、人間の大部分は温暖な自然環境の中で農耕や畜産、また、歴史的な都市の文化遺産を大事にしながら、商業や熟練を要する手作業に携わるようになるかもしれません。

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