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日蓮大聖人・池田大作

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三、自然とのふれあい  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

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2  ペッチェイ 人間を他の動物から分け隔てているものは、知力です。この知力のおかげで、われわれの祖先は原初の昔から住居や道具や武器を考案し、それによって比較的快適に、そして安全に暮らすことができたのです。
 ところが現在、われわれは技術的にはるかに強力になったため、あらゆる面にわたって──建造や設備、軍備などを──おおげさにし始めてきています。このため、身体にはほとんど必要でないような、人工的な生息環境に住むことに慣れてしまったのですが、それが精神にはますますストレスを加えているのです。エアコン、エレベーター、自動車、自動制御装置等々、素晴らしい現代文明の利器はみなたしかに快適さと満足を与えてくれますが、その結果、われわれを自然環境に直接触れさせないようにしているのです。
 あなたが言われるように、もしわれわれが自然の挑戦や屋外の苦難から隔絶されつづけるとすれば、われわれは機敏さを失い、生物としての素資や耐久力が衰退することは、大いにありうることです。もしわれわれがなんらかの理由で、明日から、より自然的な生活に戻ることを強制されたとすれば、まったく当惑してしまうでしょう。現代人の中には、そうした生活に適している者はほとんどいないからです。
 あなたの見解によれば、いわゆる先進国に住むすべての人びとの生活様式に、適度の節制、あるいは厳しさを加味すべきであるとのことでした。それによって、現在のわれわれの存在が質的に高められるだけでなく、われわれ自身が道徳的・心理的・肉体的に鍛え直され、将来の人生に待ち受けるどのような気まぐれな変化や危険にも、よりよく対処できるようになるとのことですが、私もこれとまったく同じ意見です。

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