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日蓮大聖人・池田大作

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生物圏との衝突  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

前後
4  しかも、現状下での人口の増大と経済の膨張は、常により広範でより高度な科学技術圏を必要としますが、これが生物圏との競合や衝突のコースをとることは必至です。その帰結として、われわれ人間にとって生物学的な環境は、恒常的な、そしてますます激しい衰退を示すことになりましょう。われわれは、それが自分たちの生存にどれほどの影響を及ぼすかについて無知であり、その無知には現在のところ無頓着もともなっていますが、こうした無知や無頓着は、もはや容認されえないものです。したがって、われわれの行動そのものや環境政策の欠如がもたらす累積的な影響について、より一層の知識を得ることが絶対に必要であり、しかも緊急に必要なのです。さしあたっては、たとえ暫定的なものであっても、自然を保護し保存するための方策を採り、どこからみても明らかに有害なやり方に対しては、なんらかの一時的な停止を命じなければならないでしょう。
 長期的な保存政策は、その一つの前提条件として、新しい生命の倫理から生み出されるべきでしょう。この“新しい生命の倫理”とは、人類が地球の生命維持能力に対して加えるいかなる損傷も、ブーメランのように人間自身にはね返ってくるのだという認識にもとづく倫理のことです。そしてまた、より全般的には、人類の未来の生存条件とその質的内容は、地球上に生息する他の生物への人間の態度いかんで決まるのであり、その度合いはいまだかつて想像もできなかったものだという認識にもとづく倫理のことです。貪欲な、もしくは先見性のない日常活動の結果として人類が今日責任を負うべきものに、徐々に進行しつつある環境絶滅(エコサイド)がありますが、これは、たとえば核兵器による大虐殺といった衝撃的な大事件と同じくらい、人類を完全に破滅させることができます。しかも、もし人類が速やかに自らの行動を改めなければ、そうした、以前には考えも及ばなかった結末が全然思いもかけないときに──地球の人口が六、七十億人にも達しないうちに──生じかねないのです。このことは、世界中の学校で教えなければなりません。

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