Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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主導者の自覚  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

前後
6  これらの諸革命とわれわれとの“恋愛関係”は、政治と文化とが釣り合っていないという背景に照らして考えなければなりません。われわれは自らの力に魅惑され、“なすべきこと”ではなく“できること”をやっており、実際に“なすべきこと”や“なすべきでないこと”に対しても、あるいは人類の新しい状況に潜んでいると考えなければならない道徳的・倫理的規制に対してすらも、なんら配慮することなく、どんどん前進しています。われわれの判断の誤りや、無責任な行為の結果がどうなるかは、きわめて明瞭です。人類はきわめて多くの疾病に打ち勝ってきましたが、自らの増殖力を減らすことは考えず、その結果、世界の人口は驚異的に増加しています。今日、一分の隙もない武装を凝らすためにはどんな機会も逃さない、喧嘩腰の、いわゆる主権国家の時代にあって、軍事技術を大きく発達させてきたあのやり方は、ほかでもないすべての人類が、実際に危険な火遊びをしていることを意味しています。全速力で突進しつつ、そしてまた物質の所有と消費への自らの性癖に溺れつつ、現代人は全地球的な物質、食糧、サービスへの要請を劇的に膨張させてきました。また、人工的な必需物を生み出し、絶えず流行を新たにし、技術的に早晩すたれるような新製品をデザインしては、不可欠とみなされるものの範囲を巧妙に拡大してきました。
 こうして押し寄せる猛烈な軍事優先主義と消費主義の大波に対抗するために、人類が考え出した唯一の方法は、ますます自然環境を利用して、最も入手しやすい金属・燃料の鉱床や手にしうるかぎりのあらゆる生物資源を無差別に開発することだったのです。このような行動は、このたった一つのかけがえのない地球を、取り返しがつかないほど枯渇させてしまいます。地球の恵み深さ、寛大さは、無限ではないのです。たとえ今日われわれを取り囲む他のあらゆる逆境が緩和されることがあったにしても、自然に対するわれわれの高飛車な取り扱い方は、それ自体われわれの破滅を招きうるものなのです。

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