Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

一週間の地球年代記  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

前後
3  真夜中を告げる時計の音とともに──いまから約百万年前、言い換えれば、一万世紀以前に──自然の生んだ最後の重要な子供であるホモ・サピエンスが、地球上のあちこちに出現しました。すでに日曜日は始まっており、それとともに「人間の時代」が開始されましたが、人間が行った最初の仕事は、自らの驚異的な冒険的事業に着手すべく、他の霊長類、そしてあらゆる他の生物と闘争することでした。これが、進化の道程における栄光の瞬間であったのか、あるいは馬鹿げた瞬間であったのか、また、自然が人間をもって永遠の傑作を生み出したのか、あるいは他の生命体の勢力をやがて消滅させるような怪物を生み出したのかは、いまのところまだはっきりとわかりません。いずれにせよ確かなことは、人間の登場とともに、日曜日がそれ以前のどの日とも本質的に違ったものになることが約束されたということです。事実、一週間という尺度を基準にすると、現在、われわれは真夜中を二分間過ぎただけの、日曜日の朝の始まりにおり、人間は他の生物の中ではまだ新参者なのですが、しかし人間の出現とともに、この惑星上のすべてが変化したのです。
 人間によって開始された新しい時代は、きわめて不均衡で奇妙なものです。この時代は二期に分けることができます。すなわち、人間の一万世紀の経歴の九九パーセントを占める“先史時代”と、それ以後の“有史時代”です。先史時代を通じて、人間は強さこそ身につけたものの、まだ原始的であり、比較的ゆっくりしたペースでものごとを進展させていました。この期間に迎えたそれぞれの新しい世紀は、その前の世紀に比べても、ほとんどそっくり同じように思われたにちがいありません。それから突然に、いまから百世紀ほど前に、人類は諸事を選ぶ速度を速めました。そのため、われわれの祖先が行ったことや記録したこと、またわれわれに伝承してくれたことなどのすべては、事実上この最後の百世紀間に、すなわち、有史時代と呼ばれている一万年の間に起こっているのです。この期間は、人間の時代全体のほんの一パーセントにすぎず、あの宇宙論的な比較対象における一週間では、たったの一秒間に相当します。

1
3