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日蓮大聖人・池田大作

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後記 「池田大作全集」刊行委員会  

「科学と宗教」アナトーリ・A・ログノフ(池田大作全集第7巻)

前後
6  さて、本編では、科学の知見と仏法の智慧との出合いが幾たびとなく繰り返されている。「宇宙空間と『空』」「心の構造と『九識論』」「ミクロの世界と『三諦論』」「宇宙論と『成住壊空』」「エネルギー保存則と『業因業果』」……現代科学の最前線の成果をも踏まえた展開のなかに、読者は科学と宗教の両者が、相対立するのではなく、互いに共存し、豊かな価値を触発し合うものであることに気づかれたのではないだろうか。
 また、SGI会長は、「まえがき」で「博士と私の思索は、長足の進歩を遂げる科学技術を、人類の幸福と繁栄のためにコントロールし、止揚しゆく“精神的なるもの”として、『世界宗教』への期待に収斂していったのである」と記しているが、対談中に試みられたこれらの「科学と宗教の対話」は、最終章で“新たなる「世界宗教」の条件”、そして“二十一世紀の科学の展望”を語り合うなかに結実している。
 「なぜ宗教否定の国へ行くのか」――。そう問われ、「そこに“人間”がいるからです」と答え、SGI会長がソ連への第一歩を印したのは二十五年前のことであった。そのなかで出会った、かけがえのない「人間」の一人が本巻に収められた二編の対談者ログノフ博士であった。そして、博士との対談は社会主義と自由主義の壁を超え、さらには科学と宗教が手をたずさえ切り拓く“宇宙文明”の展望へと、限りなく広がったのである。
 そのことに思いを致すならば、つねに「人間」を見据えて重ねられるSGI会長の人間主義の対話と行動が、人類の希望の未来を開く大きな推進力となっていくにちがいない。
       一九九九年五月三日

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