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日蓮大聖人・池田大作

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注解  

「科学と宗教」アナトーリ・A・ログノフ(池田大作全集第7巻)

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2  か行
 カー
 (一九三二年―)アメリカの元宇宙飛行士。七三年スカイラブ3号船長として二千時間を超える宇宙滞在記録を樹立。アメリカ宇宙飛行学会会長。NASA殊勲賞などを受けている。セントルイス大学名誉理学博士。
 ガガーリン
 (一九三四年―六八年)ユーリー・A。人類最初の宇宙飛行士。一九六一年四月十二日人工衛星ボストーク1号で地球を一周し一〇八分後に帰還。宇宙時代の開幕を告げた。
 カズンズ
 (一九一五年―九〇年)アメリカのジャーナリスト、作家、平和運動家。コロンビア大学卒。「サタデー・レビュー」編集長を三十五年にわたり務めたのち、カリフォルニア大学教授。その間、世界連邦協会会長を務め、七一年国連平和賞を受賞。著書に『人間の選択』『五百分の一の奇蹟』『私は自力で心臓病を治した』、池田名誉会長との対談集『世界市民の対話』(本全集第14巻収録)がある。
 硬い物質
 炭素原子六十個が結合したサッカーボール状の分子「C60」のこと。ダイヤモンド、グラファイトに次ぐ第三の炭素分子として、一九八五年イギリスの科学者が合成に成功。特異な形状からさまざまな特性をもつ新材料として注目されている。
 カニシカ王
 二世紀中期、クシャーナ王朝の第三代の王。
 ガモフ
 (一九〇四年―六八年)ジョージ。ロシア生まれのアメリカの物理学者。三四年に亡命。核反応による星の誕生と進化からビッグバンを宇宙の起源とする説を最初に提唱した。また生物学でもDNA分子の四種の塩基からなる三文字符号が遺伝子情報の基礎であることも最初に唱えた。軍事研究には終生、参加しなかった。著書も多く『不思議の国のトムキンズ』はとくに有名。
 ガリレイ
 (一五六四年―一六四二年)ガリレオ。イタリアの自然学者、天文学者。振り子の等時性や慣性の法則、落下の基本法則などを発見。一六〇九年に倍率三十倍の望遠鏡を製作、初めて天体観測を行う。太陽の黒点、月の凹凸、木星の四つの衛星、金星の満ち欠けなどを発見し発表。一六年に第一次宗教裁判でコペルニクス地動説放棄の訓告を受ける。三三年にも『天文対話』を出版し、第二次宗教裁判で断罪、幽閉される。しかし三八年には『新天文講話』を新教国オランダで出版。一九九二年に教皇庁は破門を解き公式に名誉を回復。
 カルヴァン
 (一五〇九年―六四年)ジャン。フランスの宗教改革者。パリ大学などで法学と人文主義の学問を修める。ルターの書物から感化を受け、宗教改革に身を投じる。その後プロテスタント教会の自立のために戦い、ヨーロッパ全域の宗教改革に貢献すべく大学も設立。
 カルダシェフ
 (一九三二年―)ロシアの宇宙物理学者。五五年モスクワ大学卒業後、ステルンベルグ天文学研究所においてシュクロフスキーの指導のもとで研究し、六二年に学位取得。旧ソビエトにおけるSETI研究のリーダーとして、六三年に地球外文明に関する最初の全ソ会議の編成に取り組み、翌年にはそれをビュラカンで開催。八九年天文宇宙研究所所長、スペースVLBI計画「ラジオアストロン」の責任者として活躍している。
 ガルトゥング
 (一九三〇年―)ノルウェーの社会学者、平和学者。ヴィッテンヘルデッケ大学教授。五九年にオスロ国際平和研究所を創設した平和学の創始者。「構造的暴力」の概念を提唱した。著書に『仏教―調和と平和を求めて』、池田名誉会長との対談集『平和への選択』(毎日新聞社)など。
 川端康成
 (一八九九年―一九七二年)小説家。横光利一らと新感覚派運動を展開。やがて独自の地歩を築く。主著に『伊豆の踊子』『雪国』『千羽鶴』など。
 ガンジー
 (一八六九年―一九四八年)インドの思想家。無抵抗、不服従、非暴力のガンジー主義により、独立運動の先頭に立つ。「インド独立の父」として、マハトマ(偉大な魂)と呼ばれる。
 カント
 (一七二四年―一八〇四年)近世ドイツの哲学者。人間の認識は対象の模写ではなく、主観が感覚の所与を秩序づけることによって成立すると説いた。著書に『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』『道徳形而上学原論』『道徳哲学』などがある。
 キケロ
 (前一〇六年―前四三年)マルカス・T。ローマの政治家、雄弁家。ヴェレスやカティリナの非道を弾劾して名声を得、執政官を務める。だがカエサルらの独裁に反対し、一時ローマを追放される。のちに後継者アントニウスを激しく非難し殺害される。
 記念講演
 ゴルバチョフ氏は創価大学名誉学位の受章記念講演で「人類の未来と新思考の哲学」を語った。(一九九三年四月二十三日)
 木村資生
 (一九二四年―)理学博士、国立遺伝学研究所名誉教授。集団遺伝学の分野に高度の数学理論を導入し、六八年「分子進化の中立説」を提唱。これが今世紀最大の科学論争の一つ「中立説対淘汰説論争」を引き起こした。八一年―八四年日本遺伝学会会長。九二年ダーウィン・メダル受賞。
 『九章算術』
 中国古代の代表的数学書。秦・漢の数学的知識を集大成したもので、立体の求積問題、比例計算、多元方程式、ピタゴラスの定理の応用、負数の四則計算など多岐にわたり、唐代には算学の教科書となった。
 クォーク
 素粒子を構成する基本粒子と考えられ、現在までにアップ(u)・ダウン(d)・ストレンジ(s)・チャーム(c)・ボトム(b)の五種類のクォークが明らかにされており、さらにトップ(t)クォークの存在が考えられている。
 倶生神
 人が生まれるとともに生じる神で、その人の両肩にあって、すべての行為の善悪を記し、それをもらさず閻魔王に報告するとされる。同生天、同名天と呼ばれる。
 クプリーン
 (一八七〇年―一九三八年)アレクサンドル・イヴァノヴィッチ。ロシアの小説家。さまざまな職業を経験し、それをもとに自然主義の手法によって人間の悲惨さを描いた。『決闘』『魔窟』などの作品がある。引用は『スラミーフ』より。
 鳩摩羅什
 (三四四年―四〇九年)中国・姚秦(後秦)代の訳経僧。羅什三蔵とも呼ばれる。父はインドの一国の宰相。四〇一年長安に入り、後秦の姚興の保護のもとで多くの訳経にたずさわった。代表的なものに『妙法蓮華経』八巻、『大品般若経』二十七巻、『中論』四巻などがある。
 クリカリョフ
 (一九五八年―)ロシアの宇宙飛行士。八八年宇宙ステーション「ミール」に搭乗。九一年五月に再度乗り込み、五カ月の滞在予定が八月クーデターの混乱によって半年間、宇宙に置き去りにされ、翌年三月に無事帰還。
 クリック
 (一九一六年―)イギリスの分子生物学者。物理学から生物学に転じ、ケンブリッジ大学キャベンディシュ研究所でジェームズ・ワトソンと出会い、五三年に二人でDNA分子の二重らせん構造モデルを提唱。六二年ノーベル生理学・医学賞を受賞。主著に『分子と人間』がある。
 ゲーテ
 (一七四九年―一八三二年)ヨハン・ウォルフガング。ドイツの詩人、作家。一七七四年『若きウェルテルの悩み』で文壇の脚光をあび、疾風怒涛期の旗手となる。翌年ワイマール公の招きで政務を担当。解剖、地質、鉱物、動植物の研究も行った。色彩論も著名。シラーとともにドイツ古典主義時代を築いた。著書に『親和力』『西東詩編』『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』『ファウスト』など。
 ケプラー
 (一五七一年―一六三〇年)ドイツの天文学者。メストリンに学び地動説に感激し、天文学を研究。高校数学教師のかたわら、占星暦を作り『宇宙の神秘』を著す。一五九九年新教徒追放令によりプラハに移り、翌年ブラーエの助手となる。彼の死後、火星の観測記録を受け継ぎ、その運行をもとに「惑星運動のケプラーの法則」を発表。望遠鏡の理論や光学、対数や解析の進歩にも貢献した。
 犬儒主義
 キニク主義の別称。社会生活の伝統や見栄を意識的に無視する生活態度。
 コアセルベート
 溶液中で親水コロイドの粒子が集合し、溶液との間に一定の平衡を保つ小さなコロイド液となったもの。オパーリンは、これが原形質と類似した性質を持つことから、生命発生の一段階と考えた。
 高エネルギー加速器
 電子・陽子・イオンなどの荷電粒子を加速してエネルギーを与える装置で、形状により線形型と円形型がある。線形型は一直線に加速電極を配列したもので、加速器の長さに比例して高エネルギーが得られる。円形型は、電磁石で粒子を円運動させ、一定の場所に置かれた加速電極で繰り返し加速を行う。
 講演
 一九九三年九月二十四日「二十一世紀文明と大乗仏教」と題する講演を行った。
 光子
 電磁波を量子化して得られる粒子のこと。光には光量子としての粒子性と電磁波としての波動性の両方の性質がある。
 孔子
 (前五五一年―前四七九年)中国・春秋時代末期の思想家。周の政治思想を再現しようとし、晩年は子弟の教育に専念。その言行録『論語』は有名で、儒学の始祖。
 高真空
 大気圧よりも著しく低い圧力の気体を含む空間。水銀柱で真空度を表した場合は、10-3 mm以下、10-8 mm以上の真空をいう。
 行動主義心理学
 アメリカのワトソンが唱えた現代心理学の一学説。心理学の対象を、刺激と外から観察できる反応との間の法則的関係に限定し、意識に関する概念を排除すべきであると主張した。
 高密度
 密度は一立方センチメートル当たり十の十五乗グラム。
 ゴーゴリ
 (一八〇九年―五二年)ニコライ・V。ロシアの作家。プーシキンに認められ『隊長ブーリバ』『狂人日記』『外套』『死せる魂』や戯曲『検察官』などを発表。ロシア・リアリズムの父といわれ、若いドストエフスキーに影響を与えた。
 ゴーリキー
 (一八六八年―一九三六年)マクシム・G。ロシアのプロレタリア文学最大の作家。労働者階級の立場から貧困な生活を描いた。『母』や戯曲『どん底』など。
 五十四日間にわたって
 一九八五年に大阪大学医学部の杉本教授グループが、抗利尿ホルモンを使って心臓停止までの時間を脳死後五十四日まで延長させた。
 コックス
 (一九二九年―)ハービー。ハーバード大学での宗教学研究の第一人者。『世俗都市の宗教』『民衆宗教の時代』など著書多数。九二年五月二日に池田名誉会長と会談。
 小林秀雄
 (一九〇二年―八三年)文芸評論家。文学、美術、哲学とその評論活動は幅広く、近代、古典をとわず、わが国近代評論の確立者といわれている。『ドストエフスキーの生活』『ゴッホの手紙』『本居宣長』『モオツアルト』など著書多数。
 コペルニクス
 (一四七三年―一五四三年)ニコラス。ポーランドの天文学者。十歳で父を亡くし、伯父の司教に養育され僧職を志す。大学時代に神学、天文学、医学などを学び、天動説の問題点を知る。一五〇六年から伯父を助け医療活動を行い、二六年フラウエンボルクの大管区長となる。四三年に弟子レティクスの勧めで地動説『天球の回転について』を発表。
 ゴルバチョフ
 (一九三一年―)ミハイル・A。ゴルバチョフ財団総裁。モスクワ大学法学部卒。五二年ソ連共産党に入党。八五年党書記長、八八年最高会議幹部会議長に就任。国内ではペレストロイカに励み、九〇年大統領制を導入し大規模な政治機構改革を断行。外交にあっても新思考を旗印に、中国、バチカン、アメリカ、日本などを訪問し、関係正常化に歴史的な役割を果たす。九一年ノーベル平和賞受賞。ソ連邦解体とともに大統領を辞任。その後ゴルバチョフ財団を創設し世界の有力紙で言論活動を開始。国際緑十字初代会長。
 コンゼ
 (一九〇四年―七九年)ドイツに生まれ、イギリスで活躍した仏教学者。約二十年間、ロンドンとオックスフォードの両大学の学外講座で教え、その間に般若経文献を中心に多くの著作を残した。
3  さ行
 サイバネティクス
 「舵手」の意のギリシャ語に由来する語。通信、自動制御などの工学的問題から、統計力学、神経系統や脳の生理作用までを統一的に処理する理論体系。アメリカの数学者ウィーナーの提唱に始まる学問分野。
 サドーヴニチィ
 (一九三九年―)ビクトル・A。数学者。六六年モスクワ大学機械・数学部大学院修了。九二年三月よりモスクワ大学総長。A・V・ロモノーソフ賞、ソ連邦機械・数学分野に関する賞などを受賞。ロシア連邦工学アカデミー会員。
 三悪道・四悪趣
 悪業の因をつくった衆生がおもむく苦悩の世界のこと。十界のなかの地獄・餓鬼・畜生の三界を三悪道といい、それに修羅を加えて四悪趣という。
 シェークスピア
 (一五六四年―一六一六年)イギリスの劇作家、詩人。エリザベス朝ルネサンス文学の代表者。四大悲劇『ハムレット』『オセロ』『リア王』『マクべス』をはじめ、多くの作品を創作した。
 ジェレノフ
 (一九〇三年―六〇年)ロシアの物理学者。中性子反応に関する重要な研究を行い、ロシア初の原子爆弾、水素爆弾製造の指導者的存在であった。
 色心連持
 天台の『法華文句』には「命濁は色心を連持するを指して体と為す」「煩悩と見とを根本と為す、此二濁より衆生を成ず、衆生より連持の命有り」とある。
 時空の穴
 ドイツの数学者カール・シュバルツシルトは、一般相対性理論の方程式の一つの厳密解を発見し、太陽の数倍ほどの星が崩壊するとき、時空に「特異点」が発生するとした。ログノフ博士によれば、アインシュタインは一九三九年に、「実際の世界には『シュバルツシルト特異性』は存在しない」と述べており、そのような物体の存在は、彼の理論の基本原理、すなわち一般共変性に矛盾することをはっきり理解していたにちがいないという。
 『死者の書』
 古代エジプト新王国時代、死者とともに墳墓に納められた葬礼文書で、パピルスに美しい挿絵とともに記され、死者の復活と永生の獲得を助ける呪文や祈祷文を集成したもの。
 自体顕照
 自身を明らかに照らし出して真理を顕現し、自覚すること。
 四諦の法輪
 釈尊が悟った四つの真実をいい、苦諦(この世は様々な苦しみに満ちているとの真実)・集諦(苦しみが起こりくる原因)・滅諦(苦しみを滅する原理)・道諦(苦しみを滅するための具体的な実践)のこと。苦集二諦は迷いの因果を、滅道二諦は悟りの因果をそれぞれ表している。
 司馬遷
 (前一四五年―前八六年頃)中国・前漢の歴史家。『史記』百三十巻を完成した。
 シマー
 (一九三五年―)ルネ。カナダの医学博士。病理学を専攻し、七五年にモントリオール大学のガン研究所所長、八五年から副学長を務め、一九九三年春、学長に選出された。カナダ医学研究評議会議長、リヨンのガン研究国際センターの科学評議会議長などを歴任。
 ジャストロウ
 (一九二五年―)アメリカの物理学者。核物理学から天文学、宇宙物理学へと進み、五八年NASAゴダール宇宙科学研究所を創立、アポロ計画の理論的中心者として貢献。ダートマス大学教授を経て、現在はウィルソン山天文台所長。宇宙科学の著名な解説者として知られ、著書も多い。
 宗教的なものと……
 伊東俊太郎『比較文明と日本』(中央公論社)、『文明における科学』(勁草書房)に詳しい。
 重陽子
 陽子を特徴づける電気量や自転量などはまったく同じだが、質量のみが異なる粒子のこと。これは陽子が内部構造をもつことを示している。
 重力が……
 一般相対性理論では、重力を「リーマン空間」と見ており、この空間はそれぞれの点にそれぞれの曲率をもっている。ログノフ博士は、「ユークリッド空間」から「リーマン空間」に入ったとたん、時空の対称性は失われ、「保存則」もまた一般に失われるので、「ミンコフスキー空間」を選ぶ必要がある、としている。
 シュクロフスキー
 (一九一六年―八五年)ロシアの天文学者。六八年に科学アカデミーの宇宙科学研究所に着任、銀河系内外のX線源について研究し、地球外知性の探査を、科学的レベルにまで引き上げることに尽力した。著書に『宇宙、生命、知性』、カール・セーガンとの協力作品『宇宙における知的生命』がある。
 種子
 仏教用語としては「しゅうじ」と読む。サンスクリット語ではbija(ビージャ)で、種の意味。
 寿命
 運動粒子の寿命は次の式で求められる。t0=T0E/E0(E0は静止粒子のエネルギー、Eは運動粒子のエネルギー、T0は静止粒子の寿命、t0は運動粒子の寿命)
 シュレーディンガー
 (一八八七年―一九六一年)アーウィン。オーストリアの物理学者。ド・ブロイの物質波の考えを発展させ、波動力学を建設し、さらにハイゼンベルクの行列力学との統一に成功。量子力学建設の功績により、一九三三年ノーベル物理学賞受賞。
 シュワイカート
 (一九三五年―)アメリカの元宇宙飛行士。NASAのジェミニ、アポロ、スカイラブの各計画に参加し、アポロ9号乗組員、スカイラブ2号船長を務める。八五年宇宙探検家協会を設立、アメリカ会長に就任。『地球/母なる星』は世界的ベストセラー。
 生住異滅
 一切の事象が生じ(生)、存続し(住)、変化し(異)、消滅する(滅)さま(相)をいう。
 成住壊空
 宇宙、生命、その他一切のものの流転の方軌を四期に分けたもの。空間に国土が成立し衆生を形成していく「成劫」、それらが安定している「住劫」、三災によって破壊される「壊劫」、消滅して空となる「空劫」である。そしてまた成住壊空を繰り返すといわれる。しかし、仏法ではその流転の奥に本有常住の大法が存在していると説いている。
 「状態」を……
 これをコペンハーゲン解釈という。実験結果を予測するための量子力学の使い方については、完全な意見の一致をみているが、ミクロとマクロの関係については、いまだ十分な意見の一致をみていない。とくに、近年の技術の進歩による超伝導などが現れて以来、現実的にミクロとマクロを分離して考えることができない状態が発生してきた。
 上帝
 『詩経』『書経』などの儒教経典に見える宇宙の最高神。天上の帝王・昊天上帝のことで、民の行為の善悪を評定して禍福をくだす人格神でもあると考えられた。
 ショーロホフ
 (一九〇五年―八四年)ミハイル・A。ロシア文学を代表する作家。主著に『静かなドン』『人間の運命』など。
 スコラ哲学
 中世ヨーロッパのキリスト教会の教義を理性的に弁証する哲学。主としてアリストテレスの哲学が採用されたが、プラトンの影響もあり、神秘的傾向も認められる。
 スピノザ
 (一六三二年―七七年)オランダの哲学者。神即自然の汎神論に立ち、真の自由は知的観点によって人間を永遠の相のもとに洞察することにあるとした。
 スペリー
 (一九一三年―)ロジャー。アメリカの大脳生理学者。五四年カリフォルニア工科大学教授となり、大脳半球の機能分化の研究を行い、八一年ノーベル生理学・医学賞を受賞。
 『生命とは何か』
 What is Life?――The Physical Aspect of the Living Cell,Cambridge University Press ダブリンの高級学術研究所主催の公開連続講演をもとに、一九四四年に出版。日本では五一年に岡小天・鎮目恭夫訳(岩波新書)で出版された。
 セーガン
 (一九三四年―)アメリカの天体物理学者、科学著述家。少年時代から星空やSFに強い関心を示し、十二歳で天文学者になる決心をする。シカゴ大学に学び、ハーバード大学、スタンフォード大学で教え、コーネル大学天文宇宙科学科デビッド・ダンカン記念講座教授、電波物理宇宙研究センター惑星研究所所長。また一般読者向けの啓蒙書も数多く、八〇年発表の『コスモス』は空前のベストセラーとなった。
 世親
 五世紀頃のインドの仏教思想家で、天親ともいう。はじめ大乗非仏説を唱えていたが、兄の無著に導かれ大乗に転じ、大乗経の論書や唯識思想の解説書をつくり、大いにその宣揚、弘教に努めた。千部の論師といわれた。
 石器が出土
 宮城県の東北歴史資料館は、「前期旧石器が出土している高森遺跡は五十万年前のものと推定される」という調査結果を発表した。(「朝日新聞」一九九三年五月十三日付夕刊)
 “ゼロ(零)”の発見は……
 R・N・ムケルジー『ゼロ記号の発見の背景』(『INDIAN JOURNAL OF HISTORY OF SCIENCE』November 1977/INDIAN NATIONAL SCIENCE ACADEMY)
 相対性理論
 アインシュタインが二十世紀初めに創出した理論体系。特殊相対性理論と一般相対性理論とからなる。
 「相対性理論」の本質
 ログノフ博士によれば、「相対性理論」の本質は、三次元空間と時間が、いわゆる「擬ユークリッド幾何」的な一つの連続体を形成することにある。
 ソクラテス
 (前四七〇年―前三九九年)古代ギリシャの哲学者。若いころは自然学に興味を抱くが、デルポイの神託を得てからは人々に自己の無知を自覚させ、問答法によって普遍的真理と徳の探究へと導こうとした。だが、人々の誤解を招き、異教の神を奉じ青年を惑わせるとして告発され処刑された。
 素粒子
 原子や原子核のなかにある内部構造の見つかっていない粒子。電子やニュートリノなどのレプリン、物質のもととなるクォーク、光や重力などのボゾンと呼ばれる粒子がある。
 ソレッキー
 (一九一七年―)アメリカの人類学者。人類学教授としてコロンビア大学、ニューヨーク市立大学を経て、現在テキサス大学教授。
 ソロヴィヨフ
 (一八五三年―一九〇〇年)ロシアの哲学者、評論家、詩人。その思想は新プラトン派に近く、哲学と神学の融合を志向し、信仰と知識、愛と理性、神性と人間性の一致を説いて、「全的統一」の哲学を提唱した。
4  た行@ダーリ
 (一八〇一年―七二年)ロシアの作家、言語学者、民俗学者。官吏の職のかたわら国内を旅行し、ロシア語の方言、昔話、ことわざなど民俗資料を精力的に収集。それらをもとに創作活動をする一方、『ロシア俚諺集』『現用大ロシア語詳解辞書』を刊行し科学アカデミー名誉会員となった。
 第一位
 厚生省『人口動態統計』による。死因順位の①悪性新生物②心疾患③脳血管疾患は八五年以降変わらず、平成三年度のガン死亡者数は二十二万三千七百二十七人で全体の二七パーセントを占めた。
 ダイヤモンド庫
 ここには世界的に有名な「オルロフ」「シャフ」など七個の宝石も収められている。
 ダ・ヴィンチ
 (一四五二年―一五一九年)イタリアの画家、彫刻家、建築家。ほかに物理学、解剖学、土木工学なども手がけたルネサンス期の万能人。「巌窟の聖母」「最後の晩餐」「アンギアリの戦い」「モナリザ」などが有名。晩年は科学研究に専心し、絵画論、科学論文などを残す。
 タタールのくびき
 タタールは韃靼と同意で、元来は蒙古系一部族の名であったが、蒙古民族全体の呼称になった。ロシアは十三世紀、蒙古族の侵略を受け、その後長く、その傷に苦しんだ。
 タレス
 (前六四〇年―前五四六年頃)古代ギリシャの自然哲学の創始者。広く各地を旅行し、エジプトで数学、天文学を学ぶ。前五八五年五月二十八日の皆既日食を予測。一切の神話をしりぞけ、世界の根源を問い、世界は実在の物質である水からなるとした。
 探査計画
 一九九二年十月十二日から始まったNASAの「地球外知的文明探査計画」のこと。「高解像度マイクロ波探査」と改称。
 チェーホフ
 (一八六〇年―一九〇四年)アントン・P。ロシアの小説家、劇作家。卑俗な生活や社会の不正などの描出を通して時代の重要な問題を提起。叙情性豊かに人間の微妙な心理を描き出す新しい戯曲を創造した。小説『退屈な話』『中二階のある家』、戯曲『かもめ』『桜の園』など。
 チェルヌィシェフスキー
 (一八二八年―八九年)ニコライ・G。ロシアの一八六〇年代の革命運動の指導者。主著に『哲学における人間学的原理』『ミルの経済学原理への注解』『現実に対する芸術の美学的関係』など。
 チェルノブイリ原子力発電所
 一九八六年四月二十六日、旧ソ連ウクライナ共和国のキエフに近いチェルノブイリ原子力発電所の四号炉で重大事故が発生。事故原因は、定期点検で出力を停止する途中、緊急停止装置を外すなどの規則違反をしたうえで、実験を行おうとしたさい、出力が下がりすぎて原子炉が暴走。大量の蒸気が急激に発生して爆発、さらに水素爆発が起きて大量の放射性物質が放出された。
 チャイコフスキー
 (一八四〇年―九三年)ピョートル・I。ロシアの作曲家。ドイツ・ロマン派の系統をひくとともに、スラブ的な特性も示す。交響曲「悲愴」、バレエ音楽「胡桃割人形」「白鳥の湖」など。
 注釈
 「タイム」(一九七一年五月十七日)科学欄に紹介された絵に“MODEL OF NEANDERTHAL WOMAN/Heaven was not unknown”という説明がつけられている。
 超大統一理論
 素粒子の間で働く四つの力の統一をはかろうとする、究極的でかつ最先端の素粒子理論。超重力理論や超ひも理論が提起されている。
 超伝導
 一九一一年、オランダのカメルリン・オンネスが水銀で超伝導が起こることを発見し、その後多くの金属や合金でも起こることがわかった。最近注目されているのは、常温での超伝導である。
 チンギスハン
 (一一六七年―一二二七年)モンゴル帝国の創設者。一二〇六年にモンゴル皇帝の位につき、チンギスハンと号した。中国を攻略させる一方、西征の大軍を発し、中央アジアのホラズムを滅ぼした後、西北インドにも達した。さらに西夏を滅ぼし、モンゴル高原から中央アジアにかけて空前の帝国を築く。
 ツィオルコフスキー
 (一八五七年―一九三五年)コンスタンチン・E。ロシアの科学者。病気で聴覚を失うが、独学で数学や物理学を学び、ロケット工学の先駆的研究を行った。今日の宇宙旅行構想を発表し、燃料ロケットの提案なども行う。
 ツルゲーネフ
 (一八一八年―八三年)イワン・S。ロシアの小説家。人道主義の立場から写実的な自然描写と鋭敏な心理観察に特色がある。『猟人日記』『父と子』など。
 DNA
 細胞核にあって、染色体の主要な構成要素。遺伝子を構成しながら、対応するRNA(リボ核酸)をつくる鋳型の役もしている。
 DNAの手紙……
 DNA(デオキシリボ核酸)は、生物の最も基本的性質である自己複製と、生命活動をつかさどるタンパク質を作る遺伝情報を担っている。大島泰郎(東京薬科大学生命科学部教授)と横尾広光(杏林大学保健学部講師)の両氏は、大腸菌にとりつくウイルスφX174の遺伝子のなかの、三百六十三文字の部分は、ウイルスも文字をずらして、二つの文として読んでいることに注目。ETから人類への手紙暗号文ではないかと考え、解読を試みた。
 ディラック
 (一九〇二年―八四年)ポール・A・モーリス。イギリスの理論物理学者。量子力学の理論体系の確立者。二五年にハイゼンベルクからマトリックス力学についての第一論文の校正刷りを送られ、これを契機に量子力学の研究に加わり、二八年には相対論的波動方程式、三〇年には空孔理論を提出。三三年にシュレーディンガーとともにノーベル物理学賞を受賞。その後、電磁場の量子力学の完成に努めた。
 デカブリスト
 ツァーリズムの転覆と農奴制の廃止を目的として、一八二五年十二月に武装蜂起を敢行したロシアの貴族出身の革命家たち。
 デカルト
 (一五九六年―一六五〇年)ルネ。フランスの哲学者、数学者、自然科学者。解析幾何学の発見などの業績のほか、物質の運動の基本を研究し、宇宙の構造を解明しようとした。また中世スコラ哲学を超えた新しい方法・体系を樹立し、近代哲学の始祖と呼ばれる。一切を疑うなかで達する不可疑の命題「我思う、故に我あり」は有名。著書に『方法序説』『省察』『哲学原理』『情念論』など。
 デクラーク
 (一九三六年―)フレデリク。南アフリカ共和国元大統領。南アフリカ神学大学法学部卒。八九年大統領に就任し、九〇年に黒人解放運動指導者マンデラ氏を釈放。非常事態宣言を解除、アパルトヘイトを廃止する。九一年ユネスコ平和賞受賞。
 テスラ
 (一八五七年―一九四三年)ニコラ。電気工学者、発明家。誘導電動機を発明し多相交流の技術を完成した。アメリカに帰化し、一八八七年にこれら発明に関する特許を出願。のちに、十七の特許の原理をマルコーニが使ったと主張。アメリカ最高裁は、彼の死後、その主張を認め、マルコーニの特許を無効にした。
 「哲学を……」
 モンテーニュ『エセー①』(原二郎訳、岩波文庫)の「第二十章哲学をきわめるとは死ぬことを学ぶこと」の冒頭には、「キケロは、哲学をきわめるとは死の準備をすることにほかならない、と言った」とある。
 テプリャコフ
 (一九二五年―)ウラジミール・A。ロシアの物理学者。シベリアの原子力産業に従事したのち、六〇年代末にプロトヴィノ研究所に招聘された加速器の専門家。
 デモクリトス
 (前四六〇年―前三七〇年頃)古代ギリシャの唯物論哲学者。自然においては空間内における原子の結合、分離の運動があるだけで、色や味などの感覚的性質は主観的現象にすぎないとし、この原子論を認識作用や社会生活の説明・評価にまで摘要する体系を樹立した。
 天台
 (五三八年―九七年)中国天台宗の開祖。智、智者大師ともいう。五六〇年に大蘇山の慧思(南岳大師)に師事し薬王品の句で開悟する。五七五年天台山にはいり円頓止観を悟り、天台教学を確立する。『法華文句』『法華玄義』『摩訶止観』の三大部のほか著書多数。
 トインビー
 (一八八九年―一九七五年)アーノルド・J。イギリスの歴史学者。ロンドン大学教授、王立国際問題研究所研究部長、外務省調査部長を務めた。全人類史をまとめた主著『歴史の研究』で注目され、独自の文明批評を展開した。日本には三度来訪。池田名誉会長との対談集『二十一世紀への対話』(本全集第3巻収録)もある。
 ドストエフスキー
 (一八二一年―八一年)ヒョードル・M。ロシアの作家。人間の内面に対する洞察、鋭い心理描写とヒューマニズムの追求によって、世界の文学に強い影響を与えつづけている。主著に『貧しき人々』『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』など。
 戸田城聖
 (一九〇〇年―五八年)創価学会第二代会長。石川県出身。牧口常三郎初代会長とともに一九三〇年、創価教育学会を創設。第二次世界大戦後、創価学会と名称を変え、五一年に会長に就任、今日の大発展の基盤を築いた。
 ドップラー効果
 一八四二年にオーストリアの物理学者クリスチャン・J・ドップラーが、二重星の光に関して星の運動方向と色の変化(振動数)を論じたのが最初の発見である。
 ド・ブロイ
 (一八九二年―一九八七年)ルイス。フランスの理論物理学者。光の波動性と粒子性の矛盾を統一した電磁波理論の後をうけて、一九二四年電子も波の性質をもつとする物質波の理論を提唱。これがシュレーディンガーの波動力学の先駆をなす基本概念である。一九二九年ノーベル物理学賞受賞。
 朝永振一郎
 (一九〇六年―七九年)理論物理学者。京都大学理学部卒。仁科芳雄に認められ理化学研究所に入り、三七年―三九年ドイツのハイゼンベルク教授のもとで原子核理論を研究。戦時下で場の相対論的定式化を完成した超多時間理論を発表。これがのちにノーベル物理学賞を受けた「くりこみ理論」に展開された。
 トルストイ
 (一八二八年―一九一〇年)レフ・N。ロシアの作家、思想家。みずみずしい感受性と心理的リアリズムから人間の内面を描きつつ、生涯、真実の探究者、伝道者として思想的探究をつづけた。一九〇一年ロシア教会を破門される。特権と私有財産を否定、「悪への無抵抗」の考え方に到達し、放浪に旅立ち病死する。『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『懺悔』『復活』など。
 トルストイの言葉
 「(前略)この世界に関してわれわれの知るすべてのものを、われわれは愛の翼によって他の存在の内部に飛び移り、彼等の生活を生活するがゆえに、はじめて知ることが出来るのである。われわれは各自の肉体によって個々に区別されており、互いに理解し合うことが出来ない。が、われわれはみな愛によって一つに結び付けられている。そしてここにわれわれの絶大なる幸福がある」(小沼文彦訳)
 ドレイク
 (一九三〇年―)フランク・ドナルド。アメリカの天文学者。六〇年にウェストバージニア州の国立電波天文台の電波望遠鏡を用いて、最初に地球外知性探査計画(オズマ計画)を実施した。地球外生物系や文明が、どのくらい分布しているかを示すドレイクの方程式は有名。
5  な行
 ナチス・ドイツ
 ヒトラーを党首とした国家社会主義のドイツ労働党。第一次大戦後に台頭し、一九三三年に政権を掌握。反個人主義、反共産主義、反ユダヤ民族主義を標榜し、独裁政治を断行した。
 夏目漱石
 (一八六七年―一九一六年)作家、英文学者。東京帝国大学英文科卒。松山中学教諭、熊本五高教授をへて、一九〇〇年イギリスへ留学。神経衰弱におちいり帰国後、東大で英文学を講義。『吾輩は猫である』で作家デビューを飾り、『坊っちゃん』『草枕』『虞美人草』『三四郎』『それから』『道草』『門』『行人』『こゝろ』『明暗』など近代的知性に基づく作品を発表。
 ナノメートル
 一ナノメートルは一千万分の一センチ。
 那由佗阿僧祇
 「那由佗」も「阿僧祇」も、インドにおける大数の名目で、ともに極大で数えることのできない数をいう。
 二度目
 前回は、同大学J・F・ケネディ政治大学院で「ソフトパワーの時代と哲学」を講演。(一九九一年九月二十六日)
 ニュートリノ
 一九三三年スイスのパウリが存在を予言し、二六年後に初めて確認された。中性子がベータ崩壊のさいに放出される電荷をもたない素粒子で、重さはほとんどない。
 ニュートン
 (一六四二年―一七二七年)アイザック。イギリスの科学者。ケンブリッジ大学のバロー教授に師事し、数学、光学、力学を学ぶ。微積分法の発見や反射望遠鏡の発明、力学の法則の発見など自然科学に多大な功績を残した。さらに神学や錬金術にも強い関心をもっていた。
6  は行
 ハイゼンベルク
 (一九〇一年―七六年)ウェルナー。ドイツの理論物理学者。二五年、歴史的論文「運動学的かつ力学的関係の量子論的解釈変更について」を発表。量子力学を完成させ、二七年には不確定性原理を提唱し、二十五歳の若さでライプチヒ大学の正教授となる。一九三二年ノーベル物理学賞を受賞。二九年に来日し、湯川秀樹、朝永振一郎らに大きな刺激を与えた。
 ハクスリー
 (一八二五年―九五年)トマス・H。イギリスの生物学者。独学で医学を学び「ハクスリー層」と呼ばれる細胞層を発見。ダーウィンの進化論が発表されると、いち早く熱心な支持者となり「ダーウィンのブルドック」と自称し、ダーウィンに代わって、その攻撃に立ち向かった。さらに『自然界における人間の位置』を著し、進化論の普及に努めた。
 芭蕉
 (一六四四年―九四年)松尾芭蕉。江戸時代前期の俳人。伊賀上野に生まれ、藤堂良忠の近習となり、俳諧を志した。深川の芭蕉庵に移り、談林の俳風を超えて俳諧に高い文芸性を賦与し、蕉風を創始。その間、各地を旅して多くの名句と紀行文を残した。句は『俳諧七部集』などに結集。主な日記・紀行文に『奥の細道』『更科紀行』『嵯峨日記』などがある。
 パスカル
 (一六二三年―六二年)フランスの哲学者、数学者、物理学者。大気圧や液体圧に関する業績や円錐曲線論は有名。無限な宇宙に比べれば、人間とその理性は無に等しいが、人間は「考える葦」として偉大であり、人間の自己矛盾を救うものはキリスト教であると説いた。主著に『パンセ』など。
 パブロフ
 (一八四九年―一九三六年)イワン・P。ロシアの生理学者。二年間のドイツ留学から戻り、消化腺とくに胃液の研究や膵臓分泌神経の発見などの業績をあげる。軍医学校の生理学教授となり、一九〇二年には有名なイヌを使った条件反射の実験を行う。一九〇四年には自律神経系の重要性や消化の生理の解明によりノーベル医学賞を受賞。
 万有引力の法則
 ニュートンが発見した法則。質量を有するすべての物体の間には普遍的に作用する引力があり、それは、一つの物体の質量の積に比例し距離の二乗に反比例する。
 ピタゴラス
 (前五九〇年―前五一〇年頃)古代ギリシャの数学者、哲学者。エジプトからインドまで世界各地を遍歴し、あらゆる学問を身につけた。南イタリアのクロトンに宗教政治教団を作るが、世俗権力との確執から弾圧を受ける。数を万物の原理とみる知恵の探究とともに、そこに宗教的解脱を求めた。ピタゴラスの定理を発見した一派など、のちのヨーロッパ思想や科学にも大きな影響を与えた。
 ビッグバン説
 ベルギーの天文学者ジョルジュ・ルメートルの宇宙進化論やジョージ・ガモフの『αβγ理論』に基づく、宇宙の起源と進化に関する仮説。およそ百五十億年前、宇宙のすべての物質は超高温・超高密度に凝縮された一つの固まりであった。それがある瞬間大爆発し、物質と放射エネルギーがあらゆる方向に飛び散って膨張を始めたとする。
 ビッグバン特異点
 ビッグバン理論でいうところの宇宙の始まり。エネルギーの密度、時空の曲率は無限大になる。
 ヒポクラテス
 古代ギリシャの医師。迷信を排して観察や経験を重んじ、当時の医術を集大成した。「医学の父」と称せられる。
 ファインマン
 (一九一八年―八八年)アメリカの物理学者。カリフォルニア工業大学教授。戦時中は原爆開発マンハッタン計画に参加。量子電磁力学の研究(くりこみ理論)で六五年に朝永振一郎らとノーベル物理学賞を受賞。著書に『ファインマン物理学』(全三巻)など。
 ファシズム
 議会政治の否認、一党独裁、政治的自由の極度の抑圧、対外的には侵略政策をとることなどを特色とする全体主義あるいは権威主義的な政治理念・体制のこと。
 ファラデー
 (一七九一年―一八六七年)ミシェル。イギリスの物理学者、化学者。製本屋の徒弟のかたわら読書によって科学研究を志し、塩素の液化、鉄合金の研究、ベンゼンの発見、ガラスの改良などで工業的にすぐれた業績を残す。のち電磁気学の研究に進み、電気分解の法則や電磁誘導の発見などで画期的発展をもたらし、マクスウェルの電磁場理論への端緒を開く。科学啓蒙書『ろうそくの科学』は広く読まれている。
 フィンチ
 『種の起原』(八杉龍一訳、岩波文庫)の中で、ダーウィンは「ガラパゴス群島の離れた島々にいる鳥を相互に、またそれらをアメリカ大陸の鳥と比較し、あるいは他の人たちが比較するのを見て、私は種と変種の区別がいかにまったくあいまいで任意的なものであるかということを、つよく感じさせられた」と述べている。
 プーシキン
 (一七九九年―一八三七年)アレクサンドル・S。ロシアの詩人、作家。若くして詩才を認められるが、専制政治を批判した詩作から首都を追われ、南ロシアを放浪。不遇時代に『カフカスの捕虜』『ボリス・ゴドォノフ』『エヴゲーニー・オネーギン』など傑作を著す。許されてからは『スペードの女王』『大尉の娘』などの小説を残す。若く美しい妻をめぐる宮廷スキャンダルから決闘となり、命を落とす。文章語の確立と国民文学の創造によって“近代ロシア文学の父”といわれる。
 ブーニン
 (一八七〇年―一九五三年)イワン・A。ロシアの作家、詩人。詩集『落葉』でプーシキン賞を受賞。チェーホフ、ゴーリキーと知り合い、散文で批判的リアリズムを追究。『村』などの社会的作品から、しだいに死や人生を主題とする作品を書くようになる。一九二〇年フランスに亡命して、リアリズムの極致といわれる『ミーチャの恋』を発表。三三年ノーベル文学賞受賞。
 不十分
 これに初めて気づいたのは、ドイツの数学者ダーヴィット・ヒルベルトで、一九一七年に「この理論にはエネルギーの式がない。これは一般相対性理論の特異な性質だといえる」と強調している。ログノフ博士は、新しい理論で、標準的なエネルギー運動量保存則を成り立たせるため、時空の幾何学は「ミンコフスキー空間」を底とする多様体だと主張している。
 仏典
 天台の『金光明経文句』には「世の寿に三品有り。下方は四十、中方は八十、上方は百二十なり。下方は少夭にして上方は太老なり。中方は不少不老にして表常なり」とある。
 ブラックホール
 重力の発生源ではあるが、その源の大きさが無限に小さい体積しか占めていないような存在をいう。通常は重力崩壊の最終状態としてできる天体を意味するが、ビッグバン宇宙の初期から重力崩壊によらずに存在する原始ブラックホールも考えられている。
 プラトン
 (前四二七年―前三四七年)古代ギリシャの哲学者。生涯の師ソクラテスに学び、師の死後各地を遍歴。帰国後アカデメイアを創立し、ここで研究と教育に生涯を捧げ、アリストテレスなどの弟子を養成した。『ソクラテスの弁明』『国家』などが有名。
 フランクリン
 (一七〇六年―九〇年)ベンジャミン。「代表的アメリカ人」と呼ばれる政治家、文筆家、科学者。「貧しいリチャードの暦」など印刷・出版業で財をなしたのち、科学の研究や発明、また独立宣言の起草などアメリカ独立期における重要な政治的活動に専念した。『自叙伝』は有名。
 フリーダム
 アポロ計画、スペースシャトル計画につづく巨大プロジェクト。一九九九年に運用が開始されるという。
 フリードマン
 (一八八八年―一九二五年)アレクサンドル。ロシアの物理学者。アインシュタインの静的宇宙モデルに対して、一九二二年に宇宙はつねに膨張か収縮の状態で安定するという動的宇宙モデルを発表した。当時はほとんど注目されなかったが、この理論が現代宇宙論を大きく変えた。
 ブルーノ
 (一五四八年―一六〇〇年)イタリアの自然哲学者。神の宇宙創造は認めるが、宇宙の無限性と地動説を信じたため、異端の疑いをうけ、一五七六年イタリアを脱出。パリ、ロンドン、プラハなどで講義をしながら放浪。九二年ベネチアで捕らわれ、ローマで火刑に処される。
 フロイト
 (一八五六年―一九三九年)ジークムント。オーストリアの精神病理学者。人の心には無意識層が存在すると考え、ヒステリー治療に催眠法を用いる。のちに催眠法と訣別し自由連想法という精神分析療法を考案。一九〇〇年に『夢判断』を著し、精神分析学の基礎的理論を体系づけた。心理現象の動因は性欲であるとする彼の説は、社会科学者や作家に大きな影響を与えた。
 ブローク
 (一八八〇―一九二一年)ロシアの詩人。一九一七年の十月革命を歓迎し、革命をテーマとした象徴的叙事詩『12』とヨーロッパに呼びかけた『スキタイ人』の二つの詩を作った。
 フロム
 (一九〇〇年―八〇年)エーリッヒ。ドイツ生まれのアメリカの社会心理学者、精神分析学者。ナチス政権成立でアメリカに移住、四〇年帰化。フロイトの生物学的偏向を社会的立場から再検討する新フロイト派の一人。著書に『自由からの逃走』『正気の社会』など多数。
 平和旅
 この対談直後に、アメリカ、カナダを訪問。(一九九三年九月十五日―十月四日)
 ベーコン
 (一五六一年―一六二六年)イギリスの哲学者、政治家。ジェームズ一世のもとで大法官まで栄進し、男爵・子爵に叙せられたが、一六二一年汚職収賄のかどで議会から弾劾され、のちに許され隠棲。晩年は科学技術時代の到来を予見し、発明・発見の方法論などの書を著し、雪の防腐作用の実験中に病気で死去。デカルトとならぶ近代西洋哲学の祖といわれる。『随筆集』も名高い。
 ベートーヴェン
 (一七七〇年―一八二七年)ドイツの作曲家。ロマン派音楽の先駆として、主にウィーンで活動。「英雄」「運命」「田園」など九つの交響曲や歌劇「フィデリオ」のほか、ソナタ・弦楽四重奏曲など不朽の傑作を多く遺した。
 ヘッケル
 (一八三四年―一九一九年)エルンスト・H。ドイツの生物学者、医学者、哲学者。ダーウィンの進化論をいち早く支持し、その学説の普及に尽くした。
 ベフテレフ
 (一八五七年―一九二七年)V・M。ロシアの精神医学者。神経病学を研究後、反射学を樹立した。
 ベルクソン
 (一八五九年―一九四一年)アンリ。フランスの哲学者。一九〇〇年から一四年までコレージュ・ド・フランス教授。一八年アカデミー・フランセーズ会員。二九年ノーベル文学賞受賞。フランス唯心論の伝統を受け継ぎ、H・スペンサーの進化論の影響を受けて、生の創造的進化を唱えた。著書に『時間と自由』『物質と記憶』『創造的進化』『道徳と宗教の二源泉』など多数。
 ヘルツ
 (一八五七年―九四年)ハインリヒ。ドイツの物理学者。マクスウェルの基本方程式とウェーバー、ノイマンの電気力学との関連を研究。のちに「ヘルツの実験」として有名な電磁波の存在を実証し、マクスウェル理論を整理、現代的体系に築き上げた。
 ヘロドトス
 (前四九四年―前四三〇年頃)古代ギリシャの歴史家。エジプト、フェニキア、黒海北岸、バビロニア、キレネなど東方世界を広く旅行し、その見聞をもとにギリシャとアジアの対立抗争を巨大な歴史物語として著した『歴史』は有名で、当時の世界史ともいえる。キケロ以来「歴史の父」といわれる。
 ペンフィールド
 (一八九一年―一九七六年)カナダの脳外科医。一九三四年にモントリオール神経研究所を設立し、一貫して焦点性てんかんの外科治療に従事。患者の脳の各部位を電気刺激し、その反応を詳細に調べ、さまざまな機能が大脳に局在化していることを示し、“脳の機能地図”を作り上げた。
 ポアンカレ
 (一八五四年―一九一二年)アンリ。フランスの数学者、物理学者。微分方程式論に新境地を開き、フックス関数を発見。太陽系の生成を論じた『天体力学』は有名。晩年にはトポロジー(位相幾何学)概念の基本をつくりあげた。
 ホイル
 (一九一五年―)イギリスの天文学者、数学者、作家。ケンブリッジ大学卒。同大天文学・経験哲学教授、理論天文学研究所長などを歴任。四八年にH・ボンディ、T・ゴールドとともに「定常宇宙論」を展開。太陽の生成についての大胆な宇宙論で知られる。またヘリウムからの炭素合成理論は有名。現在、カーディフ大学教授。創作にも手を染め、五七年にSF小説『暗黒星雲』を発表し好評を博す。一九九一年六月ロンドン郊外で、ウィックラマシンゲ博士とともに、池田名誉会長と会談している。
 膨張宇宙説
 一九二二年にA・フリードマンが、アインシュタインの重力場方程式に「膨張する宇宙」の解を導き出した。この宇宙は永久に膨張しつづける開いた宇宙であるという考えで、七年後にハッブルの観測的な裏づけを得て確立した。
 ポーリング
 (一九〇一年―九四年)アメリカの物理化学者。現代化学結合論の基礎研究から生化学の研究に進み、医学とくにビタミンの医療効果の研究を行うなど、その領域は多岐にわたる。五四年にノーベル化学賞、六二年にノーベル平和賞を受賞。池田名誉会長との対談集『「生命の世紀」への探求』(本全集第14巻収録)がある。
 ホールデーン
 (一八九二年―一九六四年)ジョン・B。イギリスの生理学者、遺伝学者。ロンドン大学教授、遺伝学会会長を歴任。酵素反応論から集団遺伝学の数学理論、生命の起源と研究も幅広く、その啓蒙書も多い。五七年にインドに渡り、六一年に帰化。
 北米・南米訪問
 一九九三年一月二十四日―三月二十一日。
 ボク
 スウェーデンの平和運動家、社会倫理学者。ハーバード大学で哲学を教え、ブランダイス大学哲学科教授を経て、ハーバード大学人口研究センター上級研究員のかたわら、平和運動家として幅広い活動を展開。著書に『戦争と平和』(大沢正道訳、法政大学出版局。原著は一九八九年刊)がある。
 ホフロフアレクセイ
 (一九五四年―)ロシアの物理学者。モスクワ大学で物理学を学び博士号を取得、八八年同大学教授、九〇年科学アカデミー準会員に就任。専攻は高分子統計物理学。
 レム(一九二六年―七七年)物理学者、元モスクワ大学総長。池田名誉会長と四度会見し、七四年初来日の折、創価大学名誉教授となる。
 ホラティウス
 (前六五年―前八年)クイントゥス。古代ローマの詩人。初め共和派の陣に加わりカエサル軍に敗れて、恩赦によりローマに帰り詩作を始める。平和なアウグストゥス治世を称え、中庸をわきまえた人間生活を高らかに歌った。
 ボロジノの古戦場
 一八一二年九月七日、モスクワの西百二十四キロにあるボロジノという村でナポレオン軍とロシア軍が戦った。そのときナポレオン軍十三万五千人、ロシア軍十二万人であったという。
7  ま行
 牧口常三郎
 (一八七一年―一九四四年)創価学会初代会長。創価教育学の提唱者。一八七一年、新潟県刈羽郡荒浜村に生まれる。半生を教育界に捧げ、地理教育の改革、新教育学の樹立に尽力。一九二八年、日蓮大聖人の仏法に帰依し、以来、宗教革命の先駆者として不惜身命の活動をつづけ、一九四四年、獄中で七十三歳の生涯を閉じた。
 マクスウェル
 (一八三一年―七九年)ジェームズ。イギリスの物理学者。電磁気学を確立し、「ファラデーの力線について」「物理的力線について」「電磁場の動力学理論」の三論文で、マクスウェルの方程式と呼ばれる電磁場の基本方程式を導き出した。
 マヤ
 アメリカ中部のユカタン半島からメキシコ南部のグアテマラ高地にかけて住むインディオ諸族が、巨大なピラミッドや神殿を中心に、優れた暦法や数学、象形文字などを特色とする高度な都市文明を築いた。
 マルクス
 (一八一八年―八三年)カール。ドイツの経済学者、哲学者、革命家。一八四〇年代の中頃、エンゲルスとともにドイツ観念論、空想的社会主義、古典経済学を批判的に摂取して科学的社会主義の立場を創始。資本主義体制を批判し、終生、国際的社会主義運動のために尽くした。主著に『資本論』など。
 マルロー
 (一九〇一年―七六年)アンドレ。フランスの作家、政治家。若くからインドシナ革命やスペイン内乱に参加。第二次大戦中はレジスタンス運動で活躍し、戦後ドゴール政権で情報相、文化担当国務相を務める。著書に『人間の条件』『芸術心理学』『希望』『人間革命と人間の条件』(池田名誉会長との対談集)など多数。
 マンデラ
 (一九一八年―)ネルソン。南アフリカ共和国大統領。反アパルトヘイト運動の黒人最高指導者。フォートヘア大学在学中に政治運動に入り、四四年ANCに参加。反逆罪で六二年から九〇年二月まで獄中生活を送る。七八年ネルー賞、九一年ユネスコ平和賞、九三年ノーベル平和賞を受賞。
 三木成夫
 (一九二五年―八七年)医学博士。東京芸術大学教授を歴任。解剖学を専攻。八四年まで同大学保健管理センター所長。
 みずからの「死」や……
 川口正吉訳『死ぬ瞬間の子供たち』読売新聞社。
 脈動宇宙
 フリードマン・モデルの閉じた宇宙(振動宇宙)で、いつかは現在の膨張がやんで収縮に転ずるとする考え。
 宮沢賢治
 (一八九六年―一九三三年)詩人、童話作家、農芸科学者、宗教思想家。岩手県花巻に生まれ、十代から終生、熱烈な法華信者として生きる。一九二一年ごろから童話や口語詩の制作をはじめ、詩集『春と修羅』を自費出版。ほかに詩「雨ニモ負ケズ」や童話『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』など。
 妙楽大師
 (七一一年―八二年)湛然。中国・唐代の天台宗第六祖。二十歳のときに玄朗から天台教義を学び、三十八歳で出家。当時は禅、華厳、真言、法相など各宗が盛んで、天台宗は衰亡の危機に瀕していた。そこで法華一乗真実の立場から各宗を論破し、天台の法華三大部の注釈書を著し大いに天台学を宣揚し、天台宗中興の祖といわれる。
 ミランドラ
 (一四六三年―九四年)イタリア・ルネサンス期のヒューマニスト、神秘思想家。人間の究極の目的は、大宇宙の創造者である神に復帰し、神と一致することであると主張。ルネサンス的な人間観、世界観を提示した、主著『人間の尊厳について』は有名。
 ミンコフスキー
 (一八六四年―一九〇九年)ヘルマン。ドイツの数学者、物理学者。相対性理論を幾何学的に解釈し、いわゆるミンコフスキー空間を提唱。時間を第四の座標とする四次元によって世界を説明した。
 ムーディ
 (一九四四年―)レイモンド・A。アメリカの医師、死後の世界研究者。バージニア大学卒。在学中に死後の世界の体験談を聞き、その後も数多くの体験者に面接し、この特異な現象の研究を行い『かいまみた死後の世界』を発表。そのことからキューブラー・ロス博士に紹介され、はじめて類似した研究をしていることを知る。
 無著
 四世紀頃のインドの大乗論師。唯識論師・弥勒の大乗教を学び、これを組織的に論述。小乗に執着していた弟・世親を教化して大乗に帰入させた。『摂大乗論』などを著す。
 メシアニズム
 メシアとはヘブライ語で「油を注がれた者」の意。キリストはそのギリシャ語訳。救世主をさし、メシアニズムとは救世主を待望する生き方をいう。
 免疫
 体内に侵入した病原体や毒素に対し、強い抵抗性をもつ状態をいい、その抗体が発病を防いでいる。
 メンデル
 (一八二二年―八四年)グレゴール・J。オーストリアの遺伝研究者。植物の交雑実験を行い、科学的分析によって、植物の形質が世代を経て伝えられる遺伝現象の実体を明らかにした。当時は反響がなく、一九〇〇年にド・フリースたちによって「メンデルの法則」が再発見され、のちの遺伝学研究に大きな影響を与えた。
8  や行
 ヤーマン
 (一九三一年―)アメリカの文化人類学者。七一年からハーバード大学教授、のち人類学部長を兼任。南アジア研究の名著『菩提樹の下で』がある。
 ヤスパース
 (一八八三年―一九六九年)カール。ドイツの哲学者。精神病理学者として人間を研究対象とするが、のち科学の限界を認識して哲学に転身、実存の非合理性をむしろ強調。ハイデッガーとともに実存哲学を代表する一人。
 ヤング
 (一七七三年―一八二九年)トーマス。イギリスの医師、物理学者、考古学者。音の伝播から類推して、光振動の媒質としてエーテルを考え、偏光現象の説明に初めて光が横波であることを主張、光の波動説を唱える。生物発光や乱視の発見や古代エジプト文字の研究にも貴重な業績がある。
 ユイグ
 (一九〇六年―九七年)ユイグ。フランスの美術史家、美術批評家。パリ大学、ルーブル学院卒。二七年ルーブル美術館に入り、三五年―五一年同館絵画部長。五一年コレージュ・ド・フランスで造形芸術心理学の講座を創設し教授となる。七四年以降はパリのジャクマール・アンドレ美術館館長を兼務、フランス美術館協会会長も務める。池田名誉会長との対談集『闇は暁を求めて』(本全集第4巻収録)がある。
 ユークリッド幾何学
 紀元前三〇〇年頃のギリシャの数学者ユークリッドが大成した幾何学。公理を結合、順序、合同、平行、連続の五群に整理した。
 ユーリー
 (一八九三年―一九八一年)ハロルド・C。アメリカの化学者。重水素の発見により、一九三四年ノーベル化学賞受賞。太陽の古代温度の測定や地球の宇宙塵生成説でも知られ、地球外生物の存在も主張した。
 湯川秀樹
 (一九〇七年―八一年)理論物理学者。中間子が存在することを予言し、ノーベル物理学賞を受賞。その後の素粒子論への道を開いた。核兵器廃絶を訴え、平和運動にも貢献した。
 ユゴー
 (一八〇二年―八五年)フランスの詩人、小説家、劇作家。ロマン主義運動の中心的存在で、一八三〇年の七月革命の頃、自由主義や人道主義の思想に目覚める。五一年のナポレオン三世のクーデターに反対し、十九年間亡命生活をおくる。その間に『懲罰詩集』『静観詩集』『レ・ミゼラブル』などの名作を発表。上院議員も務め、国民的文学者として尊敬された。
 四次元の時空世界
 「四次元世界」という呼称を導入したのは、ドイツの数学者H・ミンコフスキーである。
9  ら行
 ライプニッツ
 (一六四六年―一七一六年)ドイツの数学者、哲学者。微積分学を形成し、今日の記号論学の萌芽も示す。
 ラプラス
 (一七四九年―一八二七年)フランスの数学者、天文学者。数学を駆使して天文力学に一紀元を画し、星雲説を唱えた。メートル法の制定に参与。
 ラブロック
 (一九一九年―)ジェームズ。イギリスの化学者。ハーバード大学医学部研究員、ベイラー大学医学部・化学教授を経て、フリーランスの科学者として発明、研究、著作活動を行っている。その間にNASAのコンサルタントとして火星の生命探査計画に参加し、大気分析によって、生命が存在しないことを実証した。また環境分析に革命をもたらした電子捕獲検出器を発明している。
 ラ・メトリ
 (一七〇九年―五一年)ジュリアン・ド。『人間機械論』を著したフランス啓蒙期の唯物論者。
 ランダウ
 (一九〇八年―六八年)レフ。ロシアの物理学者。理論物理学のほぼ全分野に足跡を残す。リフシッツとの共著に『理論物理学』。
 リニアモーターカー
 車輪を用いた鉄道では時速三〇〇キロが限度とされるため、より高速をねらって研究開発されている次世代の交通手段。モーターを線状にしたもので回転接触部分がないため、騒音、振動、故障が生じないなどの長所をもつ。
 龍樹
 二世紀初頭のインドの大乗論師。大乗仏教の「空」思想を哲学的に基礎づけ、後世の仏教思想に深い影響をおよぼした。“八宗の祖師”と仰がれる。主著に『中論頌』『十二門論』『大智度論』などがある。
 ルボ
 (一八五六年―一九二八年)ロシアの芸術家。三つのパノラマを描いたといわれ、彼の作品中の最高傑作「ボロジノの戦い」と、クリミア戦争での「セバストポリの戦い」が残っている。
 レーニン
 (一八七〇年―一九二四年)ウラジミール・I。ロシアのマルクス主義者。一九一七年、ロシア革命に成功し、社会主義建設を指導。その功績はマルクス主義を帝国主義とプロレタリア革命の時代における理論として発展させたことにあり、国際的革命運動に影響を与えた。
 レーピン
 (一八四四年―一九三〇年)イリヤ。十九世紀ロシア絵画の巨匠。ペテルブルク美術学校に学び、卒業後まもなく「ヴォルガの船ひきたち」を制作、注目を集めた。ロシア絵画史上、肖像芸術を最も高い水準に引き上げたといわれる。一八八〇年にトルストイと知り合い、彼の肖像画を数点描いたほか、『二人の兄弟と金貨』『人はなんで生きるか』『闇の力』『イワン・イリッチの死』などに挿画を描いている。トルストイもまた、レーピンの天才を高く評価した。
 レティクス
 (一五一四年―七六年)ドイツの数学者。角度に対する三角関数を初めて記し、当時最高の三角関数表を作った。三九年コペルニクスの最初の弟子になり、翌年コペルニクスの手書きの本の要約を出版、さらにその全文出版の仲立ちをした。
 レム
 REM(rapid eye movementの略)。これに対して普通の睡眠をノンレム睡眠という。
 老子
 (前五七九年―前四九九年)中国・春秋時代末期の思想家。儒教に対し無為自然の道を説き、太古の黄帝時代を理想とした。道家の始祖。
 ローレンツ
 (一八五三年―一九二八年)オランダの理論物理学者。電子理論および相対性理論の先駆者。マクスウェルの電磁理論を発展させ、光の媒質としてエーテルを仮定した。
 ロバチェフスキー
 (一七九三年―一八五六年)ニコライ・I。ロシアの数学者。非ユークリッド幾何学の創始者。
 ロモノーソフ
 (一七一一年―六五年)ミハイル・V。ロシアの科学者、詩人。物理、地理などの自然科学から歴史、文学などの人文科学まで学芸百般に秀でた人物で、一七五五年にはモスクワ大学を創立し学長となる。
10  わ行
 ワイルドスミス
 (一九三〇年―)ブライアン。イギリスの画家、絵本作家。少年時代は化学者に憧れ、学生時代は美術を勉強、数学を教え、ピアノを愛するなど多彩な才能の持ち主。“色彩の魔術師”といわれる。

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