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日蓮大聖人・池田大作

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第一章 二十一世紀の「科学」…  

「科学と宗教」アナトーリ・A・ログノフ(池田大作全集第7巻)

前後
15  未来を開く「生命論」「宇宙論」を
 ―― 最後に、今後取り上げる予定のテーマについて、読者のために、その大まかな項目だけでもお話しいただきたいと思います。
 先日のスペースシャトル「エンデバー」に関する報告が続々と発表されていますので、できれば次章はレポートもまじえながら、このあたりからお願いできればと思います。
 池田 いいですね。宇宙空間は「相対性理論」と「量子力学」の世界ですから、まさに博士の専門領域ですね。一般には難解な、この二つの現代科学の最先端の理論を、宇宙船に乗った気分でうかがいたいですね。(笑い)
 原子などのミクロな世界を支配する基本的な物理法則。マクロな世界で有効なニュートン力学などとは大きな違いがある。
 ログノフ わかりました(笑い)。「物質の究極とは何か」「素粒子の寿命はどれくらいか」といった話題から、「時空論」「宇宙は有限か無限か」といった問題にも取り組んでみましょう。
 ―― 宇宙飛行士たちは、宇宙空間で何を体験し、何を見、何を感じたか。池田先生は何人かの宇宙飛行士と会われておりますし、この点もぜひお願いします。
 池田 わかりました。また、身近なところでは「電気と電波」「光と鏡」といった、やさしい科学も取り上げたいですね。
 「冷蔵庫はなぜ冷えるのか」「電子レンジで温められるのはどうしてか」とか「鏡の原理」といった、日常の科学もお聞きしたい。
 ログノフ いや、じつはこれらのテーマは「量子力学」につながっていく重要な問題なんです。
 池田 アインシュタインの「相対性原理」も、光の速さについての素朴な疑問から生まれたと聞いています。このへんも、博士にわかりやすくお話しいただきたいと思っています。
 ログノフ どこまでご期待に応えられるかわかりませんが……。
 池田 それから、博士の取り組んでこられた「高エネルギー加速器」による研究は、世界的にも最重点の課題になっていますが、そこではどのような研究をされ、何が解明されたのか。
 また、その「ミクロの世界」と「マクロの世界」とがどのような関係にあるのか、量子力学の視点と仏法の視点から、一度論じておくのはどうでしょうか。
 ログノフ 賛成です。
 池田 また、オパーリンをはじめとする生命の発生に関する議論、ダーウィンに代表される進化論や人類の誕生など「生命と精神の領域」についても、博士のお考えをお聞きしたい。
 「恐竜はなぜ滅んだのか」とか、「人類を超える知的生物は存在するか」などの興味深いテーマも取り上げましょう。
 ログノフ この分野は、私の専門ではないものですから、この機会にしっかり勉強してみるつもりです。
 池田 心の領域というと、大脳生理学の分野ですが、ここでは「夢と睡眠」、それから先ほど出ました「記憶の問題」がありますね。具体的には、「頭のよくなる薬はあるか」とか(笑い)、「睡眠はどれくらいとればよいのか」とか、「夢はなぜ見るのか」についても、どうでしょうか。
 ログノフ いいですね。それから、生命の本質といわれる「遺伝子」も取り上げましょう。
 池田 生物学のテーマですね。私も仏法者として、できるかぎり思索を深めておきます。
 ログノフ 精神の分野に入ったところで、今度は、池田先生に本格的な「宗教論」をうかがいたいと思います。
 池田 歴史上、科学と宗教はさまざまな関わり方をしてきました。周知のように、西洋近代科学の誕生には、キリスト教とイスラム教が深く関わっております。また、インドや中国の科学にも、仏教をはじめとする東洋の宗教が貢献しております。
 ログノフ 池田先生には、人類史における「宗教」と「科学」の“相互関連”を踏まえて、いよいよ未来の人類のための「宗教論」「科学論」を展開していただきたいのです。とくに、「仏教」は未来の科学にどのように貢献するのかについて、おうかがいしたいと思います。
 池田 「生とは」「死とは」また「生命とは何か」、そして「永遠の生命」という宗教の根本的テーマについても語り合いましょう。仏法に説く「生命論」「宇宙論」こそ、ダイヤのごとき英知の光源といってよいと思います。
 ―― たいへん楽しみな、示唆に富む対談になりそうで、胸がわくわくする思いです。

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