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日蓮大聖人・池田大作

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師弟勝利の7月(下) 人生は生涯闘争なり!

2007.7.28 随筆 人間世紀の光4(池田大作全集第138巻)

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2   激戦に
    また激戦を
      勝ち越えて
    連続勝利を
      同志と築けり
 出獄後、私は、苦難を共にした関西の同志に、励ましの言葉を贈った。
 「百折不撓の精進を共々誓うのみ。人生は生涯闘争なり」
 「お互いに大いなる人間革命をなしゆく機会です。最後の勝利者が真の勝利者である。一人起てる時に強き者が真の勇者である」
 「大阪大会」から十日余りが過ぎた七月二十九日、私は公職選挙法違反の容疑で起訴された。
 釈放された身ではあったが、「刑事被告人」となったのである。
 当然ながら、「起訴」即「有罪」ではない。「被告人」即「犯罪者」ではない。
 ましてや、私は、容疑とされる選挙違反など一切関与していない。
 起訴は無実の罪を押しつけた「冤罪」であり、でっち上げの虚構なのである。
 だが、日本の刑事裁判においては、いったん起訴されれば、有罪率は実に九九パーセントに及ぶと、巷間言われている。
 担当の弁護士までもが、全くの無実と知りながら、「有罪は覚悟してください」などと言い出すありさまであった。
 しかし──牧口先生、戸田先生の弟子として、断じて勝たねばならない! いな、断じて勝ってみせる! いな、断じて勝つ!
 私の一念は微動だにしなかった。
 「真実は勝利します」(カレル・チャベック『マサリクとの対話』石川達夫訳、成文社)
 ──私が対談した欧州統合の父クーデツホーフ・カレルギー伯爵も心の師と仰いだ、チェコの哲人政治家マサリクの大信念である。
 この日、七月二十九日は、国家権力を背景にした宗教弾圧の嵐に立ち向かい、若獅子が正義と真実の完全勝利を誓った日である。
 初代と二代の仇討ちに、第三代が挑み起った日なのだ。
 そのような心の深き不惜身命の弟子が躍り出ることを、私は待っている。
 一人でもよい。その一人は百万人に通ずるからだ。
 いな、一千万人に通ずるからだ。
3   負けるなと
    また勝ちゆけと
      祈るらむ
    師弟の道は
      不敗の道かと
 わが師が衰弱しゆく身体で、力を振り絞りながら、今世の広宣流布の最後の指揮を執られていた一九五八年(昭和三十三年)の三月五日、私は裁判に出廷するため、先生に大阪行きのご挨拶をした。
 先生は、しみじみと言われた。
 「大作......君は罪を一身に背負おうとした。本当に人の良い男だな。
 でも、だからこそ安心だな、学会も」
 「裁判は容易ならざる戦いになるだろう。いつまでも、君を悩ませることになるかもしれぬ。しかし最後は勝つ!
 金は金だ。いくら泥にまみれさせようとも、その輝きは失せるものか!
 真実は、必ず明らかになる。堂々と、堂々と、男らしく戦え!」
4   仏法は
    勝負なりせば
      断固して
    全てに勝ち抜け
      健康長者で
 これは、わが埼玉の同志に贈った和歌である。
 日蓮大聖人は、生きて帰られないと言われていた流罪地の佐渡で、厳として明言なされた。
 「私、日蓮も、たとえ鎌倉殿(北条時宗)が赦免しないと言われようとも、諸天善神等に申しつけて、鎌倉に帰りましょう」(御書一三四三ページ、通解)
 そして、足かけ四年に及ぶ佐渡流罪を勝ち抜かれて、広布の主戦場たる鎌倉へ──今日の神奈川の天地へ凱旋なされ、仏法勝負の鑑を示してくださったのだ。
 「仏法と申すは道理なり道理と申すは主に勝つ物なり
 ここに仰せの「主」とは、一切の権力の象徴である。
 いかなる戦いも、仏法の正義に徹して戦い抜くならば、諸天を動かし、最後は絶対に勝利を飾ることができる。
 執念の祈りと行動で勝つ!
 これが「法華経の兵法」だ。
 一九六二年(昭和三十七年)の一月二十五日、四年半にわたった裁判の判決公判を迎えた。
 勝てば、そのまま、会長。負ければ、法律に基づいて、公民権を停止され、会長職も辞せざるを得ない──。
 法廷に、田中勇雄裁判長の凛とした芦が響きわたった。
 「池田大作は無罪!」
5  ナチスに打ち勝った、ド・ゴール大統領は叫んだ。
 「要するに、戦闘のまっただなかに、彪大な努力を尽して、われわれは生まれかわり、新しくなりかわらなくてはならぬ」(『ド・ゴール大戦回顧録』1、村上光彦・山崎庸一訳、みすず書房)
 入獄と出獄から、五十年。
 勝利の判決より、四十五年。
 正義ゆえに迫害された。
 そして正義ゆえに、断固として勝った。
 この破邪顕正の勝利の血脈を、今、わが本門の池田門下が受け継いでくれている。
 それは、最高幹部ではない。青年部である。
 ゆえに、私は幸福だ。
 かつて、戸田先生の前で、朗読したホイットマンの詩を、わが弟子に贈りたい。
 「おお、僚友よ、ぴったりと寄りたまえ! おお、最後には君とわたしと、わたしたち二人だけなのだ」
 「おお、今こそわたしは勝利を得る──そして君もまた同様に」(『詩集 草の葉』富田碎花訳、朝日新聞社)
  有り難き
    偉大な弟子の
      君たちが
    師弟勝利の
      誓いを歴史に
 真のわが弟子、万歳!

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