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日蓮大聖人・池田大作

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わが偉大な同志・壮年部に贈る 勝ち飾れ! 広布と社会の黄金柱

2005.7.2 随筆 人間世紀の光3(池田大作全集第137巻)

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1  「信仰とともにあるあいだは私は幸せです。信仰は私のもっとも暗い夜を昼に変えてくれます」(「懐疑者〈ダウター〉の祈り」森松健介訳、『ブロンテ全集』10所収、みすず書房)
 イギリスの詩人アン・ブロンテは、こう謳った。
 我々は、最極の妙法の信仰をもって生き抜いている。
 それは、あらゆる苦難も、あらゆる苦悩も、そしてまた、あらゆる宿命をも勝ち越えていく太陽の大仏法である。
 ここにこそ、人間が人間として、最も正しく、最も強く、最も深く生きゆく人生勝利の軌道があることを、断じて忘れてはならない。
 この最も気高き正義と幸福の信仰の世界を、いかなる魔の軍勢からも、厳然と護り抜き、わが同志に限りなく威光勢力を贈りゆくことこそ、我ら壮年部の名誉ある使命であり、責務である。
2  思えば、あの高潔なトインビー博士も、人生の苦悩の嵐を突き抜けて生き切られた。
 二度の世界大戦。多くの学友が戦場で命を落とした。最愛のご子息も亡くされた。いわれなき中傷を浴びせられ、世間の毀誉褒貶も幾たびとなく経験してきた。
 それでも博士は、毅然と生き抜かれた。
 「世の人びとのためになれば」と、ご自身の信念の道を歩み通された。
 八十代になられても、博士の日常は、朝六時四十五分に起床。朝食をすませると、九時には仕事を開始された。どんな気分であろうが、ともかく机に向かわれた。
 「仕事をしたいという気持ちになるのを待っていたのでは、いつまでも仕事はできないものです」
 博士は、人生の最終章まで、自らの働く場所、いな、戦う場所に、勇敢に男らしく身を置き続けておられた。
 「ラボレムス(さあ、仕事を続けよう!)」という不朽のモットーのままに――。
 我らもまた、「今日も働こう!」「戦いを起こそう!」と、使命の戦場に打って出るのだ!広宣流布の大闘争に出撃していくのだ! 日蓮大聖人は、「命限り有り惜む可からず遂に願う可きは仏国也」と仰せになられた。
 いかなる激戦にあっても、真剣にして、粘り強い丈夫が、最後の勝利を決する。
3  古代ギリシャの劇詩人エウリピデスは言った。
 「何の苦労もしないで高い誉れを得る者がいるだろうか。惰弱でありながら最高のものを手に入れた者がいるだろうか」(『アルケラーオス』根本英世訳、『ギリシャ悲劇全集』12所収、岩波書店)
 その通りと思う。
 嬉しいことに、この六月七日、敬愛する海洋冒険家の堀江謙一さんが、ヨットの一人旅で、"無寄港世界一周(東回り)"を美事に成し遂げ、晴れ晴れと帰国された。
 堀江さんは、私の十数年来の大切な友人である。
 今回の航海中、赤道を越えられた時には、「油断することなかれ。絶対の勝利を! 大成功の航海を!」とメッセージを送らせていただいた。
 最大の難所・南米南端のホーン岬に挑まれる前にも、「世界一の英雄の帰還を待っています」と伝言した。
 凱旋の報を聞き、私は快哉を叫んだ。
 これで、実に三度目の世界一周である。
 しかも、今回は東回りで成功され、東西両回りによる単独無寄港の世界一周は、史上二人目の壮挙である。
 現在、六十六歳。
 今回も、全行程五万キロ、二百五十日間にわたる大航海であった。
 なぜ挑戦し続けるのか。
 「一度、自身の限界に挑戦する醍醐味を味わうと、どうしても、また挑戦したいという気持ちになるのです」と、堀江さんは語られた。
 若々しい心。不屈の闘志。まさに「挑戦王」である。
 二十三歳で太平洋を横断。以来、幾多の冒険航海に挑んだ。荒海に翻弄されることはしばしば。ヨットが横倒しになったり、逆さまになったこともあったという。
 だが、そのたびに堀江さんは学んだ。たとえ失敗があっても、それで臆病になるのではなく、新たな前進への教訓としてこられた。
 堀江さんは言われた。
 「チャレンジし続ける、行動し続けることで、新しい力が生まれてくるんです」
 人生は航海の如し。
 ゆえに、荒れ狂う怒濤をものともせぬ巌の如き信念で、わが航路を切り開いていくことだ。嵐になればなるほど、「さあ来い」と激しい闘志を燃え上がらせて、雄渾の名指揮を執りゆくことだ。
 その悪戦苦闘のなかでこそ、常勝不敗の熟練の智慧が磨かれる。そして「勝利王」の歴史が刻まれていくのだ。
4  社会の現実は厳しい。過酷であり、冷酷ともいえる。
 景気は上向きといっても、社会の最前線は、日々、激浪のなかで死に物狂いだ。
 経済的な破綻の苦痛がいかなるものか。私も、戸田先生のもとで働き、お仕えして、否応なく、この五体に刻み付けてきた。
 いつもは悠然たる、あの先生が憔悴しきっておられた姿を忘れることはできない。
 生きるか死ぬかの瀬戸際であった。
 若い私は、必死に走った。給料は出ない。仲間は去る。体調も最悪だった。それでも師をお守りしてみせると、私は阿修羅の如く戦った。
 そして、泥沼に倒れ伏すような最悪の窮地から、広宣流布の使命に生き抜く師弟の力で、一切を乗り越え、勝ち越え、戸田先生は第二代会長に就任されたのだ。
 五十一歳。まさに男性として、壮年として、働き盛りの年代であった。
 戸田先生は叫ばれた。
 「私には広宣流布しかない。私は立つぞ! 誰がなんと言おうが、恐れるものか! もう、何ものにも邪魔させるものか!」
 どこまでいっても「仏法は勝負」だ。勝つための仏法であり、信心なのである。
 広宣流布の師弟は、「絶対勝利の信心」を、人生と社会のうえに断固と示し切っていく大使命があるのだ。
5  仏の異名は「世雄」――。
 現実の世の中において、最も雄々しく煩悩に打ち勝った勇者である。
 日蓮大聖人は、「仏法は体のごとし世間はかげのごとし体曲れば影ななめなり」と断言なされている。
 人間は、世間を離れて生きることはできない。しかし、世間に振り回され、翻弄される人生は不幸だ。絶対に強く賢くあらねばならない。
 「体」とは、個人でいえば「信心」である。
 何があろうと、信心を奮い起こして、頭を上げ、胸を張ることだ。
 いかなる局面にあっても、「絶対に勝つ!」と決めて祈り切ることだ。
 これこそ、最強無敵の「法華経の兵法」なのである。
 ともあれ、わが壮年部こそ、この濁乱の社会を、厳として大善の方向へリードしゆく指導者である。
 ドイツの詩人ヘルダーリンは訴えていた。
 「偉大な事業はみな戦争だ。そこでは人間の力と精神だけがものをいう」(『ヒューペリオン』手塚富雄訳、『ヘルダーリン全集』3所収、河出出版書房)
 わが誉れの同志である壮年部よ、どうせ戦うなら、偉大な目標に向かい、喜び勇んで戦おうではないか!
 そして、あとに続く無数の若き後輩たちのために、威風も堂々と、すべてを勝ち切ってみせようではないか!
 信仰とは、自ら選んだ最高の権利であるからだ。
6  御書全集には、南条時光の父へ宛てた御手紙が一編だけ収められている。
 時光の父は、法華経に帰依したが、全面的に謗法を捨てきれない迷いがあった。
 それに対して、大聖人は、「二心があって、人の風聞を恐れるようなこと」があってはならないと、強く指導されている(御書一四九八ページ)。
 「二心」とは、法華経への無二の信仰を貫けない迷いであり、弱さである。
 ともあれ、「一心」に貫き通してこそ、真の信心だ。
 反対に、世間体を気にして臆病になり、法華経の敵を呵責できないのは、「二心」に通じよう。それでは、どんなに仏法を学んでも、成仏することはできない。
 何が正しく、何が誤っているかを知りながら、それを人びとに語らないのは、「一切衆生の怨敵だ」「無間地獄に堕ちてしまう」と、大聖人は誡められている。
 「誰かがやるだろう」と、他人まかせな生き方も、厳しく言えば「二心」に通じる。
 御聖訓には――
 「謗法を責めないでいて、成仏を願うことは、火の中に水を求め、水の中に火を尋ねるようなものである。はかないことである。はかないことである」(御書一〇五六ページ、通解)と、峻厳に記されている。
 結局、中途半端な戦いは、万歳に悔いを残す。自分自身の敗北である。
 腹を決めることだ。誇りある創価学会・壮年部として、一生涯、逡巡なく、創価の正義の旗を掲げて、まっしぐらに歩み抜くことだ。
7  「日蓮にりて日本国の有無はあるべし」――日蓮こそ日本の魂であり、柱であると、大聖人は宣言なされた。
 立正安国の御心を受け継ぐ「創価学会」こそ、日本の柱であり、魂である。
 この崇高な民衆の大殿堂の柱――"柱の中の柱"こそ、壮年部の本地であるといってよい。
 「百二十まで持ちて名を・くたして死せんよりは生きて一日なりとも名をあげん事こそ大切なれ
 広布に生き抜く一日は、永遠に通じる宝の一日だ。
 悔いを残しては、絶対にならない。
 スコットランドの民衆詩人バーンズは言った。
 「今がその日、今がその時、見よ、戦いの機が熟すのを」(『ロバート・ブルースのバンノックバーンへの進軍』木村正俊訳、『ロバート・バーン詩集』所収、国文社)
 今、立ち上がるのだ!
 今、戦い切るのだ!
 文豪ゲーテは叫んだ。
 「土壇場にくると事が峻烈になるのは世の慣いです」(『ファウスト 第二部』相良守峯訳、岩波文庫)
 ゆえに何があっても、一歩も退くな!攻め抜け!
 戦いの勝利の要諦は、強盛な祈りである。さらに、自分自身が吼えながら動くことである。
 そして、「勇気」と「希望」と「執念」をもって、共に勝利へ、勝利へと励まし合いながら、皆を動かしゆくことである。
 これが、戦闘の勝利の方程式である。
 わがヤング壮年部よ!
 わが尊貴なる太陽会よ!
 広宣流布の偉大な黄金柱の全壮年部の同志よ!
 断じて負けるな!
 本門の雄々しき壮年部の勇者たちよ!
 共々に、勝って、勝って、勝ちまくろう!

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