Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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希望の新天地・第二総東京  

2004.3.12 随筆 人間世紀の光1(池田大作全集第135巻)

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1  我らの「大願」は広宣流布!
 「『春』は私のシンボルですから――」
 こう言って、わが偉大な友人ゴルバチョフ氏は、あの快活な笑顔を浮かべられた。旧ソ連の大統領であられた一九九〇年(平成二年)の七月二十七日、モスクワのクレムリンで、私が初めて会見した時に、「春になったら、必ず訪日したいと思います」と明言された一コマである。
 彼の生まれは三月。書記長の就任も、また大統領の就任も、三月であった。
 そして初の来日は、私との約束通り、お会いした翌年の四月となった。
 さらに、大統領を退任してから、愛妻ライサ夫人とご一緒に、わが八王子の創価大学を訪問されたのも、春四月である(一九九三年)。
 春! それは、硬直したイデオロギーによる人間抑圧の冬に決別し、人間尊重の春へ大きく舵を取った改革者にふさわしい季節であった。創価大学で、ゴルバチョフ氏は、決然と社会変革に立ち上がった信念を吐露して、こう言われた。
 「『善』を『善』と言い、『悪』を『悪』と言えることが、人間にとって最大の権利と考えたからです」と。
 同感だ。善は善、悪は悪と明確に言い切り、はっきりさせねばならない。そうでなければ、嘘と邪悪がまかり通る、暗黒の時代が続くだけだ。正義は堂々と叫べ! 悪を暴け! これが人間の権利であり、人間の証である。
 ともあれ、我らの誇りとする「平和のフォートレス(要塞)」創価大学も、第二総東京の八王子にある。この大学より、幾千、幾万の若き「信念の闘士」が、「学問の博士」が、「幸福の賢者」が、賑やかに、そして勢いよく巣立っている。
 この人材の勝利と不滅の城が続く限り、創価の世界は永遠に盤石である。
 八王子には、創価大学があり、創価女子短大があり、東京富士美術館がある。
 ″創価教育の風点″である東京の創価学園も、第二総東京の小平市にある。
 さらに、″創価の父″牧口先生の正義の魂をとどめる、わが東京牧口記念会館も八王子である。ここには、「教育」と「文化」と「平和」の光がいつもいつも輝き、創価の連戦連勝の歌声が響きわたっている。
 フランスの文豪ロマン・ロランが叫んだ言葉が、私は好きだ。
 「初めから私は闘争のなかにいる。だが、それが人生だ」(新村猛編『ロマン・ロラン』講談社)
 まさに、第二総東京は、新しい二十一世紀の希望の大地である。東京二十三区と並んで、いな、それ以上に若々しい、世界の創価学会の中心の天地となった。
2  「さあ、戦闘開始だ!」
 今年(二〇〇四年)の一月二日、私は牧口記念会館から、十二年ぶりに立川文化会館へ向かった。ここは、栄光の創価の歴史と、光輝燦たる勝利の学会魂を刻印した、大法戦の本陣でもある。
 あの暗い、陰湿な「第一次宗門事件」の嵐のさなか、私は立川に陣地を定めた。ここ第二総東京(当時は第二東京)で、卑劣な宗内の黒き権力と、それに連なる邪悪と陰謀の反逆者との戦いの指揮を、私は未来を、そしてまた未来を展望しながら、厳然と執り始めた。
 その未来の広宣流布への大激戦を胸中に納めながら、昭和五十四年の四月二十四日、私は、学会本部にほど近い新宿文化会館で、第三代会長の″勇退″を発表した。
 翌日、再び、静まり返った立川文化会館に戻り、信頼する幾人かの同志と語り合った。
 「また来たよ。お世話になるよ」
 「これからが、私が自由奔放に指揮を執っていける時代なのだ。これからは、形式や機構に縛られることなく、妙法の剣を高らかに掲げながら、無限の力で戦闘を開始していくことができるからだ。これが妙法だ。御仏智だ。皆、がっかりしないで、一生涯、学会のため、広布のめに、生き抜き、戦い抜くのだよ。そして勝利の人生を築くのだ」
 皆が泣いていた。その時、第二総東京の友が流した悔し涙は、終生、わが胸から消えることはない。この健気な、広宣流布に立ち上がった同志である無名の庶民を、いったい誰が守るのか! 牧口先生、戸田先生が命がけで創造された尊き学会を、誰が守り抜くのか!
 悪賢き反逆の坊主と提婆の如き一派の連中は、卑劣にも私を辞めさせて、してやったりと下品に笑っている。そんな我利我利亡者の下劣愚劣な悪党どもの天下には、絶対にさせてたまるものか!私は、ただ一人、深く深く決意した。
 広宣流布は、御本仏の御遺命である。もう一度、無敵の「正義の学会」を築くのだ。手作りで「師子王の弟子」を厳然と育ててみせる。
 私に続け! 猛然と立ち上がれ! 正義を叫べ! わが真実の弟子たちよ! と、私は師子の如く走り始めたのである。
 今まで、どれほどの中傷非難を、私は受けてきたことか。これは、御聖訓通りの正義の難である。恩師の決意を、わが決意としていくならば、そんな中傷非難など物の数ではない。臆病者の師子などはどこにもいない。
3  それは、会長を退任して一年余りが過ぎた、昭和五十五年の夏のことである。私は、小説『人間革命』の第十一巻の執筆を再開した。一生涯、どういう立場であれ、学会の正義を書いて、書いて、書きまくって、会員の方々に、学会の正義と仏法の正義を知っていただきたかったからである。
 とともに、広宣流布の途上で亡くなっていった同志の努力と功績を後世に残したいと決意し、連載「忘れ得ぬ同志」の執筆に挑んだ。
 さあ、新たな戦闘の開始だ! そして決然と、反撃の陣地を八王子に構えた。
 嘘八百の一部のマスコミに言いたい放題に言われ、どれほど会員が苦しんでいることか。沈黙は悪だ。無慈悲だ。本当に会員を思うならば、私が表面に出て、会員を守ることだ。役職ではない。会員を守り、広宣流布をしていくことだ。いかなる迫害にも、敢然と戦い抜いていくことだ。その姿を示して、後世の同志たちの励みにしていかねばならない。
 邪悪の闇を打ち破る光は、真実の言論しかない。正義の師子吼しかないのだ。
 この年は、寒いくらいの冷夏に見舞われ、私の体調も大変に悪かった。そのなかで、来る日も来る日も、大切な尊い全国の同志に、勇気を送ろう、希望を送ろう、自信を持たせようと、一心不乱に激励の執筆を続けていったのである。
 あれから四半世紀――師子の学会は断固として勝った。世界にそびゆる、偉大な正義の民衆城となった。広布城となった。勝利城となった。
 反対に、学会を破壊しようと謀略をめぐらせた反逆者、悪辣な坊主たちは、無惨なる衰亡の末路を辿っている。仏法の勝負は厳然である。
 御義口伝に、「秘とはきびしきなり三千羅列なり」と仰せの如く、仏法の因果は峻厳である。
4  本年は、懐かしき戸田先生とご一緒に、男子部の人材グループ「水滸会」が、奥多摩の氷川で初の野外研修を行ってから今年(二〇〇四年)で五十周年になる。
 氷川に続いて、その翌年(一九五五年)の野外研修は、わが第二総東京が舞台と一体である山梨の河口湖、山中湖畔が舞台であった。
 まさに、この第二総東京・山梨の大地こそ、二十一世紀の鳳凰である青年たちが自身を錬磨し、勝利の大空に雄飛しゆく、歴史輝く天地であったのである!
 思えば、河口湖畔の青年部の研修の時であった。
 戸田先生に、ある幹部が「故郷へ錦を飾りたい。まだ自分は錦がないけれども、どうしたらいいか」と聞いた。
 ところが、その一言を聞いた途端、先生は笑みを消し、激怒して言われた。
 「広宣流布のために戦う姿が、学会の幹部をしていることが、最高の錦じゃないか! あらゆる次元から見て、これ以上の錦はないのだ」
 世間の名声が何だ! 評判が何だ! 地位が何だ! 財産が何だ! 小さな、小さな「錦」ではないか。
 師の叱咤は、青年たちの胸中を激しく揺さぶった。いな、境涯を激震させたのである。
 「願くは我が弟子等・大願ををこせ」とは、あまりにも有名な蓮祖の御聖訓である。広宣流布の大願に生き抜く我らは、全人類の幸福のために戦っているのだ。全世界の永遠の平和のために戦っているのだ。
 これに勝る「錦」はどこにもない。その栄誉は、三世永遠である。
 スイスの思想家ヒルティは言っている。
 「早くから自分自身をこえて、自分だけのために生活しないということが、青年を向上させ、強健にして、事に屈せぬ力を与える唯一の道である」(『幸福論』草間平作訳、岩波文庫)と。
 五十年前(一九五四年)の氷川での研修のころは、多摩方面の学会員は、微々たるものであった。しかし、「すべての勝利は自分に勝つことから始まる」との決意で、難渋の道を歩きに歩いて、戦い開いていった第二総東京は、今や人材また人材の広宣流布の大波となって広がっている。
 武蔵野、小金井、立川、八王子、秋川、青梅、学園、村山、町田、日野、府中、調布の十二総区が、山梨と共に、がっちりとスクラムを組み、世界が感嘆する正義と人道の大城となったのだ。
 私は、今、東京二十三区と第二総東京が一体の、ここ大東京で命を張って戦っている。
 大東京の戦いを、日本中の、いな世界中の友が見つめているのだ。そして、皆が大東京の活気ある法戦の実像を感じながら、勇気を湧かせているのである。
 大東京の勢いに触れて、全国の、さらに全世界のすみずみに電流が走っているのだ。
 第二総東京には、深き深き、その責務があることを忘れまい。
 勝つことだ! 大東京は、断じて勝つことだ!
 なかでも、創価の中心のなかの中心たる使命を帯びた第二総東京は、わが広布と勝利の歴史を飾りゆく新天地なのである。
 「教育」と「文化」と「平和」の無限の希望の新天地よ!
 そして、偉大な広宣流布の創価の新天地よ!
 第二総東京、万歳!
 第二総東京に栄光あれ!
 第二総東京に勝利あれ!
 第二総東京の同志に、長寿と無限の幸福あれ!
 我らの完勝の勝鬨こそ、未来を決定する祝福だ!

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