Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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プーミポン タイ王国国王 国民の中へ中へ

随筆 世界交友録Ⅱ(後半)(池田大作全集第123巻)

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4  文化大王の五十年
 国王は、音楽も絵画も写真もスポーツも、それぞれ傑出し、「文人国王」として国際的に英名を馳せておられる。
 私は国王にお願いし、芸術作品の代表作を広く紹介させていただくことができた。御撮影の特別写真展を東京、ロサンゼルスで。
 そしてロンドン展を、国王の祖父君ラーマ五世が、かつて二カ月間滞在された、ゆかりのタプロー・コート(イギリス創価学会の文化拠点)で。
 また御作曲作品の特別演奏会は創価大学で開かれた。
 それらの曲には、華があり、月光があり、勇壮な流れとともに、幽玄の響きがあり、大都会の洗練があり、天人の舞う緑園の風光があった。だれもが魅了された一夜となった。
 そして御即位五十周年の九六年は慶賀の特別展として、御制作の絵画、玉璽をはじめとする王室の貴重な名宝を貸与していただいた。
 これらのために、わざわざ来日してくださったガラヤニ王女、チュラポーン王女の御厚意も忘れられない。
 私は、日本とタイの関係が経済だけを中心に進むことが寂しかった。“民衆の心に触れる”友好の歴史を残したかったのである。
 タイ王国の「黄金の大地」を洗う悠久の大河チャオプラヤのごとく、時は流れ、時は走る。すべては変わる。
 変わらないものは――ただ民衆という厳たる実在。ゆえに民衆に根を張ってこそ、激しき変化の波を越えて、永遠なる建設はある。
 プーミポン国王の「国民の中へ」の人生も、その確信に発しておられるのではないだろうか。
 草の根をわける思いで、民衆の中へ、人間の中へ、心の中へ。
 国王は平和への思いを、こう語ってくださった。
 「『平和』といっても、『世界』といっても、結局は一個の人間に集約されます。ゆえに私が言いたいのは、こういうことです。『人間の問題』を解決せよ! そうすれば『世界の問題』を解決することになる」
 哲人王。人間主義の王。
 プーミポン国王には、全国民の総意で「大王」の称号が贈られた。

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