Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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世界的物理学者 銭偉長上海大学学長

随筆 世界交友録Ⅰ Ⅱ(前半)(池田大作全集第122巻)

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6  「日本の国家主義が残念」
 銭学長と私は、時を惜しんで語りあった。
 周総理の「人の心を知る努力」について。金庸氏(中国の文豪)、ノーマン・カズンズ氏など共通の友人について。東洋文明について。そして古代の歴史から中国の現代史にいたるまで、話題が尽きなかった。
 語れば語るほど、該博な知識と、海のように広いお心がわかった。
 「私は日本の人民の感情を傷つけたくはありません。しかし、あえて言いたい。日本は若い人に正しい歴史を教えるべきです。
 中国と日本が力を合わせて、偉大なる東アジアを建設すべきです。唯一、残念なのが日本の国家主義なのです」と強く強く話しておられた。
 その場所は、上海大学の中心キャンパス。かつて日本軍の攻撃により破壊されつくした場所であった。
 学長に就任して以来、銭先生は、時代の急速な進歩を先取りすべく、かつての理想そのままに上海大学を改革し、着々と成果を上げておられる。
 今、昇龍のごとく栄えゆく中国。生涯かけて追い続けてきた新世紀が、ようやく見えてきたのだ。
 学長は決意しておられる。
 「生ある限り、夜を日に継いで働とう! たとえ、わずかであろうと、私自身の流した汗を、祖国の怒涛のごとき発展の大河に注ぎこむのだ!」
 今、との意気で働いている日本の指導者は、どれだけいるであろうか。
 偉大なるかな、立ち止まらぬ人生。
 学長が自分の活動を紹介した文章のタイトルは、「疾駆前進」であった。
 (一九九七年七月二十日 「聖教新聞」掲載)

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