Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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ぺレストロイカの設計者 ヤコブレフ博士

随筆 世界交友録Ⅰ Ⅱ(前半)(池田大作全集第122巻)

前後
8  「国家よりも人間を」
 九一年八月、保守派によるクーデター失敗の後のことである。
 氏は沸騰するモスクワの広場で演説し、話を、こう結んだ。
 「皆さまお一人お一人が幸福でありますように!」
 七十年間、「個人よりも国家」だった体制への決別を象徴する言葉だった。
 話し終わるや、思いがけないことが起こった。熱狂した人々が博士を取り巻いた。そして「胴上げ」を始めたのだ。
 「一人の人を幸福に」。その祈りにペレストロイカの心がある。
 博士は、ニーナ夫人との間に二人の、お子さんがいて、七人の、お孫さんがいる。しかし「今はもう、″地球上の子どもは皆、わが子″の思いですし、そう心がけています」。
 東京で博士を出迎えた子どもたちが博士の似顔絵を渡した。「私の顔が日本人になっていました。今も、執務室に大事に飾っていますよ」
 博士は創価大学での講演では、こう言われた。
 「私は人間主義を信じています! 人間性を信じています! 人間そのものを信じているのです!」
 今、地球を舞台にした劇が幕を開け始めた。
 「国家から人間へ」という壮大な劇が。
 日本も国家主義を捨てて、この人間主義の劇の参加者になれるだろうか。あるいは劇の傍観者にとどまるのだろうか。それとも破壊者になろうとしているのだろうか。
 (一九九七年二月二日 「聖教新聞」掲載)

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