Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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「たたき上げ」の英国の宰相 メージャー首相

随筆 世界交友録Ⅰ Ⅱ(前半)(池田大作全集第122巻)

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6  「人生という大学」で学んだ
 首相は言う。「政治家として大事なのはコモンセンス(良識)です。私には高い学歴はありません。しかし『人生という大学』で学んだコモンセンスがあります」
 コモンセンスとは──貧しき人のことを忘れない人間性ではないだろうか。
 社会で一番大切なのは民衆である。政治も経済も宗教も、全部、民衆のためにある。民衆を幸福にする手段である。
 その目的と手段を転倒するところに「堕落」が始まる。
 「貴族だから偉いのか! 議員だから偉いのか! 大学を出ているから偉いのか!」
 メージャー首相は、人を見下す人間と戦ってきた。そして勝った。
 その勝利とは、首相になったことではない。自分だけは絶対に庶民を見下す人間にはならないという誓いを実行したことである。
 「最近感銘した本」を、私がうかがうと、読書家の首相は「何冊もありますが」と言いながら、小説『バンク・ダムのクラウザー家』(トマス・アームストロング著)を挙げられた。
 十九世紀のヨークシャー地方、綿工場で働く一家の苦闘を描いた小説だという。
 いつも心は、貧しき人のもとにあるようだつた。
 (一九九六年十二月八日 「聖教新聞」掲載)

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